税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

財務諸表論

「リスクからの解放とは何か」

唐突にはじめました「リスクからの解放とは何か」。

「利益とは何か」の続編でもあります。

また、例のごとく最後まで完成していない状態での開始になります。

予期せぬ事もないとはいえませんが、最後までお付き合いの程、よろしくお願いいたします。

年内完結をめざしていたのですが、微妙です。

こちらもどうか一つよろしくお願い申し上げます。

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リスクからの解放メモ(金融商品)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識に関する新しい考え方です。

これまでの収益の認識は、実現主義でした。

売れた時点で収益をたてる訳です。

歴史的には、実現→実現可能(リスクからの解放)と実現概念は、拡張しています。

これらの考え方(実現、実現可能、リスクからの解放)の区別の実益があるのは、有価証券等の金融商品等についてです。

そもそも市場のある有価証券については、換金性という意味では、貨幣に近い性格があります。

そして、それは、別に今、急にそうなったという訳でもありません。

昔からそうだった訳です。

株式市場は、昔からあります。

なんで、急にやれ時価評価だの、評価益を計上するという話になったのでしょうか。

その大きな原因は、端的には、金融商品が増えたとことにあります。

もう少しきちんといえば、経済の中で、金融商品の占めるウェイトが増えたというのが大きな原因です。

たこ焼をはじめとする実体のある経済は、極端に膨張するということはありません。

というのも私が(みんながでしょ)食べる量がある程度、限られているからです。

これに対して、いわば信用の上に成り立つ金融商品は、上限を知らない的なところがあります。

特にデリバティブといったよくわからない金融商品の開発は、金融商品の経済に与える影響を大きくしたのでしょう。

このウェイトが小さい段階では、それほど大きな問題は生じませんでした。

しかし、その比重が高まるにつれて問題も生じてきたのです。

金融商品を原価のままで放置していたため、実際に多額の含み損を抱えた企業が倒産という事例が相次ぎました。

つまりは、これまで会計学的に放置されてきた有価証券等の金融商品を含んだところできちんとした理論をつくる必要が生じたのです。

つづく。


ジリジリとポイントを下げております。お手すきの方のご声援(1クリック)の程、よろしくお願い申し上げます。

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リスクからの解放メモ(税理士試験 財務諸表論 平成18年度 第2問)

概念フレームワークをはじめとする新しい考え方が、公認会計士試験や税理士試験でもじわじわと出題されています。

いま、話題としているリスクからの解放について、これまでに直接的な出題はありません(たぶん)。

ただ、平成18年度 第2問の税理士試験の財務諸表論の出題では、かなりかすった出題がなされています。

これまでも税理士試験では、特に有価証券をめぐる評価ないしは収益の認識については頻出です。

実際の出題については、こちらをご覧下さい。

実現とは何か(9)


財務諸表論の理論は、2題でそれぞれがある程度のテーマ(横断的ではありますが)をもっている事を考えるといかに出題頻度が高いかがわかるでしょう。

そしてついに昨年度の出題では実現概念との関連が俎上にあがりました(配点的には小さそうですが)。

「金融商品に係る会計基準(以下「基準」という。)においては、売買目的有価証券について時価をもって貸借対照表価額とし、その評価差額は当期の損益として処理することとされている。基準で示されたこうした会計処理の根拠を、下線部(ア)で要求された会計処理と関連させながら述べなさい。」

上記出題における下線部(ア)は、企業会計原則の損益計算書原則一Aのただし書で「未実現収益は原則として、当期の損益計算に計上してはならない。」という部分です。

損益計算書原則一Aでは、本文で発生主義を規定しており、ただし書以降が、いわば伝統的な実現主義です。

で、売買目的有価証券の時価評価、評価差額を損益とする取扱いを実現主義との関連で説明しろという出題です。

実際の出題が直ちにリスクからの解放を意図したものなのかについては、私もよくわかりません(むしろ複数の回答を想定しているようにも思えます)。

しかし、伝統的な実現概念(引渡+貨幣性資産の受領)で、有価証券の評価益(損)を説明できないことは明らかでしょう。

伝統的な実現概念を超えた出題が既に実際の税理士試験の出題でなされている点は注目すべきだと思います。

そしてこの問題を出題された試験委員の方が、本年も出題をなさるとすると、横断的な出題の一部に新しい考え方を盛り込むということは、極めて自然に想定されるでしょう。

概念フレームワーク、そしてリスクからの解放について、なんか急にはじめた一つの理由でもあります。


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リスクからの解放メモ(リスクからの解放)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識に関する新しい考え方です。

収益(利益)の認識の考え方は、実現→実現可能と拡大しています。

ややこしいのは、概念フレームワークでとっている「リスクからの解放」=「実現可能」ではない点です。

関係性としては、実現 < リスクからの解放 < 実現可能 です。

とてもわかりやすいのが、その他有価証券の取扱いです。

実現………………………原価評価
リスクからの解放………時価評価・差額は純資産(←現状の取扱いです)
実現可能…………………時価評価・差額は利益

結果としての取扱いはわかりやすいのですが、問題は、やはりリスクからの解放の考え方そのものでしょう。

概念フレームワークでは、「投資に対して不可逆的な成果が得られた状態」をさすものとして使用されています。

不可逆的というのは、戻ることができないといった意味でしょうが、私にとって全くなじみはありません。

概念フレームワークを読んでいて感じるのは、このようななじみのない用語が多いなあという点です。

リスクからの解放で軽く引いた感じになって、「不可逆」で、戻れなくなります。

戻れないというのが投資の成果ではなく、意識です。

ふーっ。

ため息ばかりついていてもしょうがないので、先を進めようとするのですが、言葉がつなぎにくいです。

概念フレームワーク自体が、特定の取引を想定して、その具体的な会計処理を規定している訳ではありません。

いわば、その前提となる考え方を書いてある訳で、具体的な会計基準よりもどうしても抽象的になってしまいます。

で、耳慣れない言葉も多いとなるとどうしても近寄りがたい感じがしてしまいます。

しかし、です。

税理士試験でいえば、財務諸表論で概念フレームワークをやらざるを得ない日は来ます。

それが来年であるかどうかは見方がわかれるかもしれませんが、来ます。

で、私は、来年度の財務諸表論で何らかの形で絡んだ出題があってもおかしくないと思っています。

で、おそらく選択肢は2つです。

ある程度ちゃんとやるか、いい加減にやる(ほとんどやらない)か です。

というのも抽象度が高い分、直前の暗記的な対策はききにくいと思うからです。

で、しっかりやる道を選ぶべきだというのが、私の考えです。

ここはたぶん判断の分岐点でしょう。

少なくともこのブログをご覧の財務諸表論受験生の皆様には、やるという選択をして欲しいです。

仮に実際の講座でやっていなかったとしてもです。

そして実際の試験で概念フレームワークが直に出題されても、されなくても、合格答案が書ける。

そんな予備知識をこのブログでご提供できればと思っています。

そう、それが、この「税理士試験 財務諸表論 講師日記」の使命です(←ついにタイトルまで変りましたか)。


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リスクからの解放メモ(実現可能とリスクからの解放)

リスクからの解放は、利益(収益)の認識(タイミング)の新しい考え方です。

従来的な売上計上のタイミング(認識)は、実現(資産の引渡)時点でした。

たこ焼でいえば、たこ焼を売った(引渡した)時点です。

それを実現可能(引渡可能)というところまで拡張したのです。

もっとも通常の商品は、そのまま実現です。

この点についての変更がある訳ではありません。

実現可能という考え方がとられる(ことがあるのは)有価証券をはじめとする金融商品です。

典型は、株式です。

市場で常に売買されているような株式です。

これが問題なんです。

タコ焼は、つくっても売れるかはわからない。

でも、例えば上場有価証券のようにきちんとした市場があれば、少なくとも値段の問題はありますが、売れることはほぼ間違いありません。

それじゃあ、売ることができる、つまりは実現可能でいいじゃんというのが一つの考え方でしょう。

うーん、実現可能………。

まとめますと、次のような感じでしょうか。

たこ焼(商品) →実現

株式(有価証券)→実現可能(リスクからの解放)

まあ、たこ焼は、うまいけど作りおきはダメとそんな感じです(←違うし、すべってるでしょ←すべる言うな!!)。

つづく。


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リスクからの解放メモ(実現から実現可能へ)

概念フレームワークにおける利益(収益)の認識の考え方、リスクからの解放についてお届けしています。

伝統的な実現概念は、歴史的にみるとだんだんと広がっていきました。

最初は、具体的な取引を実現と考えていました。

商品を(具体的な)誰かに売ったら実現です。

タコ焼屋でいえば、タコ焼をお客に渡した時点で売上です(なぜタコ焼屋?)。

これはわかりやすいです。

タコ焼が現金になった時点が売上計上のタイミングです。

会計学的にいえば、タコ焼という費用性資産が現金という貨幣性資産に転化した段階が売上計上のタイミングという感じでしょうか。

要は、売ったら実現です。

企業会計原則にもそんな事が書いてあります(←いい加減な。財務諸表論を学習している方は損益計算書原則三B参照)。

それが、売る事が可能な状態ならいいじゃんという方向に拡大しています。

もっとも、一般的な「商品」にこの考え方が適用される訳ではありません。

タコ焼屋の売上をタコ焼をつくった段階で計上するなら、タコ焼屋の業績は、いかにタコ焼を早く焼けるかの勝負になってしまいます。

そうするとおいしいタコ焼を真心をこめて丁寧につくっているタコ焼屋さんは、廃業です。

そうすると私は冷えたタコ焼しか食べられません。

これではあんまりです(←って、話ズレてないか?)。

まあ、レンジでチンすればいいか(キレもないのね)。

残念。

つづく。

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リスクからの解放メモ(実現との違い)

概念フレームワークが利益(純利益)を認識する考え方としてとったのが「リスクからの解放」です。

従来の収益の認識には、実現主義(実現主義の原則)がとられていました。

商品の販売についていえば、商品を相手に渡して、現金等を受取った段階で売上を計上する。

それが実現主義の考え方です。

この場合、相手もいますし、その金額もはっきりしています。

相手先との実際の取引(これが実現でしょう)があった段階で収益をたてれば、確実で、客観性もあります。

その後の税金や配当の支払いに困ることもありません(処分可能ってやつですな)。

逆にいえば、相手との取引という具体的な事実がなければ、収益をたてない訳です。

ところが、現行制度上、相手との具体的な取引に基づかないで収益(利益)をたてるケースがあります。

売買目的有価証券の評価益です。

従来の「実現利益+売買目的有価証券の評価益」が「リスクからの解放」による利益ということになります。

まあ、結果としての処理はわかりやすいです。

というか現状の処理です。

ですが、「リスクからの解放」という表現というか何というか。

えーっと、もう少しなんとかならないでしょうか。

ならないでしょうね。

ふーっ。


えーっと、無事、陥落いたしました(泣)。

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「リスクからの解放とは何か」進捗状況

進んでます。

「リスクからの解放とは何か」。

前作「利益とは何か(1)〜」の続編として世間の注目を集めるこの「リスクからの解放とは何か」。

ええ、(8)まで、書いて、最初からやり直してます(←って、進んでますか?)。

まあ、簡単にはいかないかなあとは思っていましたが、簡単にいきません。

このままだと自然消滅の危険がありますので、予告して自分にカツを入れさせてください。

ええ、書きますよ。

書きますってば。

うーん、早く「リスクからの解放」から解放されたい!!


どうやらランキング1位からは解放される時が近づいたようです。

っていうかこの「解放」の使い方はあってるんでしょうか?

っていうか「解放」ってあんまし使わないですよね?(←誰に言ってるんだか)

っていうか「解放」されたくないです。

どうか一つ、軽めのご支援(1日1クリック)の程、よろしくお願い申し上げます。

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利益とは何か(5)

純利益は、損益法と財産法という二つの方法によって計算することができます。
損益法や財産法の計算要素である収益、費用、純資産をきちんと決めることができれば、純利益の意味もみえてくるでしょう。
収益と費用は、これを積極的に定義しようとすると曖昧になりがちで、純資産の方がすっきりといきそうです。

純資産は、資産と負債の差額です。
資産と負債がきちんと定義できれば、その差額としての純資産の意味も明確になります。
資産概念と負債概念は対照的ですので、資産概念をきちんと定義できれば、純資産の意味も明確になります。

かなりラフには、概念フレームワークは、このような選択をしました(おおっ、概念フレームワークが登場ですな。ちなみにすでに(5)ですが)。
つまり、曖昧になりがちな収益や費用を直接的に定義する事は避け、「純資産の変動額」として利益を捉えたのです。
純資産は、「資産と負債の差額」ですので、概念フレームワークで独立した定義が与えられているのは、この資産と負債だけになります。
負債は、資産と対照的ですから概念フレームワークの諸概念の理解には、資産の定義が大きな意味を持ちそうです。

それでは、概念フレームワークでは、資産をどのように捉えているのでしょうか。
ここでは、それ以前の資産概念との比較で簡単にみておきましょう。

概念フレームワークで資産は、「経済的資源」と定義されています(もっと長いですが)。
経済的資源というと石油とか、石炭を思い浮かべてしまいそうですが、概念フレームワークの資産概念はちと違うようです。
経済的資源は、「将来のキャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」とされています(ちと、厳しいですな)。

概念フレームワークでは、誤解をおそれずにいえば、「現金収入の獲得に役立つもの」を資産と考えたのです。
決算日に売却したと考えた場合の収入をもたらすものだけではありません。
「将来の」現金収入に役立つものも資産と考えたのです。

現金やこれに準ずるもの、直ちに現金収入をもたらすものはもちろん資産でしょう。
「将来の」現金収入に貢献するものも資産です。
えーっと、この事が何を意味するのかは、直ちにはわかりませんが(←わからないのね)、概念フレームワークの資産概念の中枢に、現金(キャッシュ)があることは間違いないようです。

概念フレームワークで唯一の独立した定義を与えられている資産は、現金と関連づけされています。
それは、偶然にも簿記の学習をはじめた当初、借方と貸方がゴチャゴチャになっていた初学者の私と同じようです。
しかし、単なる偶然とは言い切れない面もあるのかもしれません。
現金というとても明確でわかりやすいものにいずれもが向かったと考えることもできるのではないでしょうか。
その意味では、概念フレームワークは私です(←そ、それは違うでしょ。たぶん)。

ただ、大きな違いがあります(←やっぱり違うのね)。
それは、私は目に見える現金、そこにある現金を想像していました。
概念フレームワークで想定されているのは、あくまでも現金の流れという点です。
「将来の現金収入」に「現時点」で貢献しているであろう資産の姿が、浮かび上がって………こないか?

利益とは何か(6)

利益とは何か(4)

簿記を学習した当初に仕訳がゴチャゴチャになった記憶があります。
借方と貸方って、どっちがどっち?
金を貸して、何で借方に貸付金?
資産と収益って、どっちも有利っぽいけどなんで増減の関係が逆?

今では、五区分の増減を間違えることはあまりありません(←ちょっとはあるのね)。
しかし、学習をはじめた当初は、ゴチャゴチャでした。
そのゴチャゴチャも時間とともに解消していきました。
仕訳を数多くこなすことで自然と解消していった面もあるでしょう。
五区分の増減のルールーが頭に入ってきたということもあるのかもしれません。
しかし、私自身が最もゴチャゴチャの解消に貢献したと思えるのは、別のルートでした。
それは、現金に注目することです。

現金は資産。
資産の増加は借方。

この二つの事実だけにとても着目しました。
たぶん講師に促されたのだとは思いますが、残念ながらきっかけについてのはっきりした記憶はありません。
現金という一つの資産に着目するだけで、相手科目がわかれば、多くの仕訳をきることができます。
それは、現金がなじみもあり、とてもわかりやすく、明確だったからなのでしょう。
具体的で明確なものを元に仕訳の仕組みを考えたので記憶にも定着しやすかったのだと思います。

そのうち、対象は具体的な現金以外の資産(預金や備品等)に広がりました。
そしてその延長に貸付金や売掛金といった他の資産を考えました。
さらにその反対として借入金や買掛金といった負債を想定することで、きれる仕訳も増えていったように思います。
資産と負債が反対の性格を持っていて、その増減の記録も逆になるということが明確に意識できてからは、仕訳の貸借を間違えることは極端に減ったと思います。
五区分で最後に残ったのは、やはり費用や収益ではなかったかと思います(資本もですが)。

自らの実体験のみに照らして五区分のわかりやすさを判断する訳にはいかないかもしれません。
しかし、資産や負債、そしてその差額としての純資産(当時は資本)よりも費用や収益の方が捉えどころのない概念であることは間違いないのではないでしょうか。

純利益は、収益と費用の差額として算定されますが、収益や費用を直接的に定義することはどうも難しそうです。
その事は、収益や費用がわかりにくいことと同様かもしれません。
どうやら、「資産と負債の差額」として純資産を定義する方が近道のようです。

利益とは何か(5)

利益とは何か(3)

損益法によれば、純利益は収益と費用の差額として算定されます。
財産法によれば、純利益は、期末純資産と期首純資産の差額、つまり、「純資産の変動額」として算定されます。
そして両方法による純利益は一致します。
両方式の計算要素である収益や費用、純資産が明確であれば、何も問題はありません。
しかし、それぞれの概念(収益、費用、純資産)は、それほど明確なのでしょうか?

もちろん、収益、費用、純資産は、簿記会計で一般的に使用されている用語です。
皆目検討がつかないということはないでしょう。
しかし、例えば、「収益とは何か?」という問いに置き換えて考えてみてください。
案外とやっかいな問題であることに気づくのではないでしょうか。

損益法では、純利益は収益と費用の差額として算定されます。
純利益を仮に、「収益と費用の差額」と定義するなら、収益や費用がきちんと定まっていないと意味がありません。

それでは、収益とは一体何なのでしょうか?
費用とは一体何なのでしょうか?

極めて抽象的には、収益は「成果」であるとはいえそうです。
100円の商品を仕入れて、その商品が150円で売れれば、150円の成果があがったとはいえるでしょう。
150円の売上という成果を獲得するためには、100円の売上原価という犠牲は不可欠です。
このように考えると費用は「犠牲」だといってよいかもしれません。

売上という価値の獲得=成果が収益で、売上原価という価値の消費(喪失)=犠牲が費用ととりあえずはいえそうです。
しかし、どうも判然としないとの印象を抱くのは私だけでしょうか。
もう少しいえば、すっきりしないのです。
経験的には、すっきりとしているかいないかということは案外と大事なように思います。
誰もが言っている事であったとしても、それが正しい事であったとしても、自分ですっきりしていないことを元にして、その先を語ることはできません。

おぼろげながらも成果や犠牲という語を使えば、収益や費用の性格を何らかの形であらわしていることにはなりそうです。
しかし、もっと明確な考え方をとることはできないのでしょうか?
すっきりすることはできないのでしょうか?

利益とは何か(4)

概念フレームワーク

本年は、財務諸表論、強化年です(←そうなのね)。

その中でも注目は、「討議資料 財務会計の概念フレームワーク」

以前、簡単な記事でご紹介しました。

概念フレームワーク(1)〜(3)」

記事の中では、まだ試験的な重要性としては微妙であるかの表現になっています。

しかし、来年度の税理士試験の財務諸表論では必須といってよいでしょう。

理由は二点です。

(1)「貸借対照表の純資産の部の表示に関する会計基準」といった新しい会計基準の制定時に反映されている点

(2)理論での出題が先行する傾向にある公認会計士試験において出題がみられた点

実際の出題があるかはもちろんわかりません。

しかし、財務諸表論学習者にとって避けることはできないといってよいでしょう。

今後、このブログにおいても概念フレームワークについて書く機会は増えると思います。

で、どなたかお教え願いないでしょうか。

「講師だって教えて欲しい!!(純利益と包括利益)」


で、ダメならこっちをクリックということでお願いできないでしょうか(なんか、ズルズル降下の予感がします。はい)。

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財務諸表論 講義 問題5(資本と利益の区別の原則)

「資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。」
上記の文章は、企業会計原則の一般原則三の資本と利益の区別の原則です。
これに関連して下記の問に答えなさい。

問1
次に掲げる取引を資本と利益の区別の原則にいう(1)資本取引、(2)損益取引、(3)いずれにも該当しない取引に区別しなさい。
ア 現金による増資
イ 商品の掛けによる売上
ウ 借入金元本の返済 
エ 新株発行費用の支払い

問2
次に掲げる項目を(1)資本剰余金と(2)利益剰余金に区別しなさい。
なお、資本剰余金と利益剰余金との振替取引は一切行われていないものとして解答しなさい。
ア 株式払込剰余金
イ 利益準備金
ウ 自己株式処分差益
エ 資本金減少差益
オ 繰越利益剰余金

問3
次の利害関係者のうち資本剰余金を利益剰余金と混同することによる悪影響が大きくなると考えられるのはいずれですか。
ア 株主
イ 債権者
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財務諸表論 講義

今年は、ちと財務諸表論に力を入れています。

もちろん、簿記論もがんばりますよ。

超大型企画「○×簿記論」も大好評です(たぶん)。


財務諸表論については、ある程度の推敲後、例のごとく別ブログにまとめることにしました。

すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、左サイドバーにリンクしてあります。

一つのブログにまとめる分、後で読むにはとても便利だと思います。

あと大きいのが、シーサーさんのブログは、カテゴリーごとに日付順に表示させることができますので、ホントにテキストに近いイメージでご利用いただけるのではないかと思います。

ここに、問題とガイダンスも集めようと思っていますので、ぜひご利用ください。

こちらです。

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おりょりょ。

うっかり間違えちゃいました。

いかん。いかん。

いやー、暑いんで、つい(ほーっ)。

こちらでした。


「財務諸表論 講義」

財務諸表論 講義 問題4(正規の簿記の原則)

「企業会計は、すべての取引につき、正規の簿記の原則に従って、正確な会計帳簿を作成しなければならない。」
上記の文章は、企業会計原則の一般原則二の正規の簿記の原則です。
これに関連して下記の問に答えなさい。

問1
下線部の正規の簿記であるための要件を3つあげなさい。

問2
正規の簿記の原則にいう正規の簿記と複式簿記の関係として適切なものを次の中から選びなさい。
(1)正規の簿記 = 複式簿記
(2)正規の簿記 > 複式簿記
(3)正規の簿記 < 複式簿記
(4)正規の簿記 ≠ 複式簿記

問3
貸借対照表の作成方法には、誘導法と財産目録法とがあります。
正規の簿記の原則では、いずれの作成方法による貸借対照表の作成を要請していますか。

(解答)
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財表ガイダンス(制度会計の意義・目的・種類、財務諸表の種類)

会計や財務会計という大きなくくりに関して、直接的出題がやや考えにくいのに対して、制度会計となると出題の目が出てくると思います。
最近の出題傾向からして、単に制度会計そのものの意義や目的を聞くというよりも、何かに関連してという形でしょうが。

今年が会社法元年で、税理士試験での出題は、来年が最初です。
その意味でも、会社法会計は、きちんとやっておく必要があるでしょう。
それぞれの制度会計(会社法会計と証券取引法会計)の意義・種類・目的等について、簡単にまとめておかれるとよろしいのではないかと思います。

本ブログでは、制度会計におけるより具体的な取扱いについて、財務諸表をより具体的にとりあげる際にもう一度ふれる予定です。

財表ガイダンス(会計の意義、財務会計と管理会計)

会計の意義について説明しなさい、などという出題が財務諸表論でなされることは、考えにくいでしょう。
しかし、結果論かもしれませんが、財務諸表論の合格者に「会計とは」という問いを発して、その返答にまるで窮することはないと思います。
これから学習していくその対象を自らの言葉で自然に語れるようでなければ(もちろん最終的にですが)、合格は遠いでしょう。
その意味で、試験に出るでないとは別に、しっかりと刻み込んでおく必要があるのではないかと思います。

会計は、一般的には、「計算」の意味をもって使用される場合が多いですが、会計学的には、むしろ報告(伝達)に重点が置かれる場合が多いかもしれません。
その点を踏まえて、「会計」と「企業会計」の意義を覚えるという感じではなく、当然に出てくるという状態にしておく必要はあると思います。

会計の意義よりは、出題の可能性は高いとはいえるかもしれませんが、やはり、財務諸表論の出題で、「財務会計について述べよ」なんていうのも想定しにくいです。
ただ、これも会計の場合と同じように、財務会計と管理会計、後に出てくる制度会計とどう違うの?という問いに、財務諸表論合格者が答えられないというのは、考えにくいです。

特に税理士試験では、試験そのものから管理会計が除外されていますので、この辺は、日商一級や公認会計士試験との学習範囲の違いの大きな点ともいえるでしょう。

財務会計が外部報告会計で、管理会計が内部報告会計ってのを常識的に知っていればよいかなあというあたりに落ち着きそうです。

財務諸表論 講義 問題3(真実性の原則)

「企業会計は、企業の( ア )及び( イ )に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。」
上記の文章は、企業会計原則の一般原則一の真実性の原則です。
これに関連して下記の問に答えなさい。

問1
空欄の(ア)、(イ)に該当する語句を答え、併せてこれらを表示するための財務諸表の名称を示しなさい。

問2
真実性の原則にいう真実性は、一般にどのような真実性であると言われていますか。

問3
問2にいう真実性とならざるを得ない理由を簡潔に記しなさい。

(解答)
続きを読む

財務諸表論 講義 問題2(会計公準)

企業会計の基礎的な前提は会計公準と呼ばれます。
会計公準に関する下記の問に答えなさい。

問1
企業会計の基礎的な前提としての会計公準には、(ア)企業実体の公準、(イ)会計期間の公準、(ウ)貨幣的評価の公準があります。
次の内容は、上記のいずれの公準を示していますか。符号で答えなさい。
A 企業会計の時間的限定に関する公準
B 企業会計の内容的限定に関する公準
C 企業会計の場所的限定に関する公準

問2
支店独立会計制度をとる甲社(A)は、本店(B)の他に支店(C)を有している。
甲社における会計単位と公表財務諸表の作成単位をそれぞれA、B、Cの符合で示しなさい。

問3
企業会計上、期間計算が行われますが、その前提として想定されている企業は一般に何と呼ばれますか。

(解答)
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財務諸表論 講義 問題

大好評をいただいております財務諸表論講義。

ええ、大好評です。

どうも何かに凝り出すと集中してしまう癖がありますが、早々にどこかで止まる予感もしていますので、安心です。

ある程度、後追いになりますが、進行にそった問題をご提供することにしました。

形式は、ちょっと実践っぽく(本試験っぽく)していますが、できるだけ符号や短い言葉で解答できるような形式にしていこうと思っています。

なんとなく本試験の問題の雰囲気を味わいつつ、復習のお役に立てていただければと思います。

並行した企画も同時に考えてはいるんですが、当面は、この2本立てでいこうと思います。

テキスト部分を読んで、(まとめ)を参考にしながら、自分で短い文章でいえるようにしてみる。

その短い文章からテキスト部分の内容がそれなりに復元できる。

そんな読み込みができていればできる筈という難易度の問題にするつもりです。

解答をみてそれを覚えるという事は想定していません(解答箇所が短いので、効果が薄いです)。

ただ、一つくらいは考えないと出てこない箇所も織り交ぜようかとも思っていますが、あまり交えると私がわからなくなるので考えものです。

はい。

簿記論も着々と進行中です。

ええ、着々です。

着々ですってば。

財務諸表論化?

なんか、ブログが完全に財務諸表論化しておりますが、そのうちストップしますので、安心です(←か?)。

しかし、最初はスイスイといくと思っていたんですが、なかなかです。

「書けると思うこと」と「書けること」の間にはとても大きな壁あるように感じます。

大きいです。

はい。

あまり手を広げず、王道を心がけるようにしたいとは思っています。

って、王道ってなんだろ(←大丈夫なんでしょうか?)。



簿記論の方も問題や記事の来年度版への書き換え等をすすめていきます(←これからなのね)。

9月からは平成19年 簿記論 講座の開講を予定していますので、簿記論受験予定の方は、お付き合いいただければと思います。

こちらもお付き合いいただければ幸いです。

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財務諸表論 講義

唐突にはじめました「財務諸表論 講義」。

できるだけ短くと思いながらも何故かだんだんと長くなっています。

なるべくコンパクトに修正しつつ、書き進めていきたいと思います。

狙いは、税理士試験 財務諸表論の理論です。


本文にメインの項目と(まとめ)をつけました。

(まとめ)の短い文章から本文の内容が復活できるようにできればしめたものです。


「続きを読む」以降では、やや細かい話や出題傾向等の付随した事を書いています。

あくまでも理解の補足という程度の意味です。


毎度のことながら、装飾はしていませんが、かっこ書を多く付しています。

これは絶対という訳ではありませんが、会計学固有の専門用語に付しているつもりです。

財務諸表論では、文章を丸覚えする必要はありませんし、それはかえって効率が悪い場合が少なくありません。

とはいうものの専門用語やキーワードを外すことは許されません。

そんな重要区、専門用語にかっこ書を付しました。


たぶん途中でとまったり、かなりの長丁場になると思いますが、お付き合いの程、よろしくお願い申し上げます。

制度会計の意義

「企業会計」や「財務会計」とは別に、「制度会計」という語が用いられることがあります。
「制度会計」とは、法律や規則等に準拠した会計をいい、そうでない会計は、非制度会計と呼ばれます。
「制度会計」を単に「財務会計」と同様の意味で用いる場合も少なくありません。

制度会計には、「金融商品取引法会計」、「会社法会計」、「税務会計」があります。
「税務会計」は、報告する相手先が国に限定されるため、以下の記述では基本的に触れることは多くありません。
制度会計のうち税理士試験の財務諸表論で重要性が高いのは、「会社法会計」です。

もっとも最近の一連の会計基準の変革を受けて、「会社法会計」と「証券取引法会計」は接近してきています。
逆に「税務会計」との距離は広がったといえるかもしれません。

(まとめ)
法律等に準拠した会計を「制度会計」といい、「会社法会計」、「証券取引法会計」、「税務会計」がある。
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夏休みと財務諸表論

夏休みですね。

アクセス数も夏休みです。

って、この右肩下がりは、どうにかならないもんでしょうか。

って、なりませんよね。

ふーっ。


ランキングも急降下の予定です。


ふーっ。



今年の財務諸表論の理論は、ズバリでした(「て、的中?」参照)。

試験後に頂いたコメントには、財務諸表論の話が随分と出ていました。

もともと、財務諸表論についても視野には入れていたつもりなんですが、本格的に試験に向けたものを書こうと思っています(理論限定ですが)。

ライブドアさんのブログに残されたカテゴリーが残り少ないので、単一のカテゴリーで、できるだけ一つ一つの記事を短くして書こうと思っています。

おつきあいの程、よろしくお願いいたします。



こちらは最後の悪あがきです。

はい。

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損益計算書原則一

「損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用を記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。」

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動態論の考え方

資産概念は、おおむね次のように推移してきました。

(1)売却価値のある財産(静態論……財産計算中心)
(2)貨幣性資産と費用性資産(動態論……損益計算中心)
(3)経済的資源等(新静態論……?)

静態論のもとでの資産は、売却価値を有する財産であり、その貸借対照表価額は、売却時価になります。
考え方そのものは極めて明確なのですが、売却時価の算定は必ずしも容易ではありません。
そこでより確実な評価の標準として求められたのが原価だったといってよいかもしれません。

動態論(動的貸借対照表論)は、貸借対照表ないしは会計全般に関する考え方ですから、原価(支出)に限定するとやや正確性を欠きます。
むしろ、収支(収入と支出)といった方がよいでしょう。

静態論は、財産計算を重視しますが、動態論では、損益計算をその中心においています。
ある期間の損益は次のように計算されます。

収益−費用=利益

今、仮に、企業の全生涯を仮に想定した場合、その全生涯における損益計算は、収入から支出を差し引くことにより計算できる筈です。
この場合、もちろん資本取引は除外します。

収入=収益、支出=費用

収入−支出=「利益」

しかし、ある会計期間だけを抜き出した場合には、収入=収益、支出=費用という関係がなりたっている訳ではありません。
ある会計期間において、収入と収益、支出と費用の違いから生ずる項目を収容するのが貸借対照表だというのが動態論における基本的な貸借対照表に対する考え方といってよいでしょう。

では、より具体的に動態論のもとでの資産はどのように考えられているのでしょうか。

つづく(ふーっ)

新財務諸表の相互関係

新会社法に関連した「新しい簿記の話」を続けています。
思ったよりうまくいかなくて、びっくりしています(←なんじゃそりゃ)。
メインは、次の三点です。

●貸借対照表の「資本の部」が「純資産の部」になる。
●利益処分案がなくなり、「株主資本等変動計算書」が導入される。
●損益計算書が、当期純利益までになる。
(試験的な影響は、平成19年度以降になると思います)

これまで、新しい財務諸表についてみてきました。
貸借対照表の資本の部は、純資産の部(資産−負債)になります。
株主資本等変動計算書は、純資産の部の変動計算書ですが、その中心は、株主資本の変動についての記載です。

資本の部の純資産の部への変更は、新静態論とも呼ばれるような新しい会計観に見合うものといってよいと思います。
しかし、本当の意味で会計を全体を統一的に説明できるような理論を基礎にしているのかといると、必ずしもそうはいえないかもしれません(←軟弱ですいません)。

以前、静態論(新静態論)については、ごく簡単に次のような説明をしました。

資産−負債=純資産
純資産の増=利益

新しい損益計算書の最終値は、当期純利益ですが、これが一期間の「純資産の増としての利益」を意味している訳ではありません。
むしろ、当期純利益は、「株主資本の増」を意味していることになります。
主として、その「株主資本」の増減の計算書が株主資本等増減計算書ということになります。

財務諸表論カテゴリー

今、実現主義について書いていますが、当初は、3回くらいで終わる予定でした。
それが、もう4回を数えました。
いやはや困ったものです。
そのうえ、結末が見えなくて困っています(←いろんな事で困りますな。)。

今までに会計基準の重要性を簿記・財務諸表論を問わず指摘してきました。
ただし、すべてが会計基準がらみの出題になるかというとそうとは限らなくて、財務諸表論でいえば、損益計算とか、資産評価とか、総論(一般原則等)からの出題ももちろん考えられます。
会計基準に触れられておらず、極めて重要と思える部分をいくらかでもご提供できればというのが、財務諸表論カテゴリーになりつつあります。

私らしくくどさ満開といったところかもしれませんが、極めて重要と考えられる概念等を自らの言葉(難しい言葉の必要はありません)で語れる程に整理しておくことは、極めて重要ではないかと思います。
寝しなにでもぜひご一読の程、よろしくお願いいたします(←寝れなくなるって)。

「簿記論、財務諸表論の学習方法を考える」の巻

今まで、簿記論における会計基準の重要性を指摘してきました。
このことは、財務諸表論については、より顕著といってよいと思います。
過去4年の理論出題のメインテーマは、8問中6問が会計基準(連続意見書を含みます)からのものといってよいでしょう。
このような傾向は、今後も続く可能性が高いと考えてよいと思います。
ちなみに、過去4年の出題を考えますと、次のような感じです。

平成13年 第2問 連続意見書 第四(棚卸資産)
平成14年 第2問 研究開発費等に係る会計基準
平成15年 第1問 外貨建取引等会計処理基準
平成15年 第2問 自己株式等会計処理基準
平成16年 第1問 連続意見書 第三(有形固定資産)
平成16年 第2問 金融商品に係る会計基準

ただし、会計基準からの出題だったとはいえ、会計基準をそのままおさえているだけですべて解答ができるかというと必ずしもそうとはいえません。
では、どのような学習をすればよいのかですが、これを確認するとてもよいと思える方法があります。

それは、実際に会計法規集をみながら解いてみることです。
実際の出題を模範解答やテキストを参照するのではなく、あくまでも会計基準のみをみながら解答を考える訳です。
会計基準には、本編以外に意見書や結論の背景といったものがついていますので、どの辺をみれば解答できるのかを考えることは、どの辺を学習すればよいのかの大きな参考になるのではないでしょうか。
そのものズバリという箇所もあれば、そうでない箇所もあると思います。
直近で出た項目がそのまま出題されにくいのは事実であろうと思います。
しかし、それ以上の効果が見込まれるのではないかと思います。
実際の試験問題を見ることは、とても大事です。
形式の変化等、気付くことも多い筈です。
今後、財務諸表論の過去出題の分析も行いたいと思います。
その時までに、ぜひ、会計法規集を参照した解答をつくってみてください。

最近、財務諸表論の話が多い理由

最近、ちょっと財務諸表論の話が多くなっています。
もともと会計学は、趣味に近いものがあって、簿記論の講師でありながら、財務諸表論の理論にはかなりうるさいです(まあ、うるさいだけですが。というか、いつもうるさいです)。

新基準ができて、自分が受験生であった頃には、なかったものを新しく身につけなければならないというのは正直しんどいです。
ただ、だからこそ、いろいろ考えたり、感じたこともあります。
もちろん、今でもわからないことは多いですが、簿記論受験生の方で財務諸表論を並行受験なさる方も多いでしょうから、簿記論講師の財務諸表論の話にもぜひお付き合いください。

サイドバーの下の方に、携帯用のバーコードリーダーをつけました。
もともと文字だけのブログですので、携帯で見ても違和感は少ないと思います。
これで、いつでもどこでも「税理士試験 簿記論 講師日記」ということで、よろしくお願いいたします(←って、「ドア」じゃないんだから)。

概念フレームワーク(3)

「概念フレームワーク」は、会計基準をつくる際の指針の役割をもつ基本的な考え方のまとまりです。
なんか難しい事がいろいろと書かれています。
まあ、ほとんどわかってませんが(って、あんた)。
その中でちょっと気になったのが、今までとても大事だと考えられていた基本的な考え方で概念フレームワークに出てこないものの存在です。

一つは、「実現」です。

以前、企業会計原則の規定、(損益計算書原則一A)をご紹介しました。

そこでは、収入・支出を発生期間に割り当てろと規定されていました。
ただし、収益については、限定があって、未実現収益を計上してはいけないことになっています。
つまり、収益については、「実現」したら計上することとされている訳です。
その「実現」という概念が、概念フレームワークには登場しません。
ただ、それに似た概念が登場しています。
概念フレームワークが「実現」概念にかえて用いているのが、「リスクからの解放」という考え方です。

「リスクからの解放」???

なんだかよくわかりませんが。
なぜ、リスクからの解放という新たな考え方を採用したのでしょうか。
果たして、実現概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点については、日を改めて書きたいと思います。

実現概念については、いわば、別の言葉に置き換えたということのようですが、それ以外に、同様の物が存在しないものとして、「対応」と「配分」とがあります。
おおざっぱにいえば、従来の企業会計は、収益を実現主義で認識する。
その収益に対応する費用が該当期に配分される。
この両者の差引計算で損益計算を行っていた訳です。
対応と配分は、これまでの企業会計の核だった筈です。
概念フレームワークでは、これらの概念を捨て去ってしまったのでしょうか。
この点についても日を改めて書きたいと思います(って、やっぱり)。

概念フレームワークは、まだ討議資料の段階で、試験での直接的出題の可能性が高い訳ではありません。
しかし、これまでの核であるとみられていたものを変質、あるいは登場させないというのであれば、やはりこれは大きな転換ということになるのでしょう。
とするならば、試験委員の意識にものぼりやすく、試験での出題の可能性も高くなる筈ではないでしょうか。
このことは、討議資料をみなければいけないとか、リスクからの解放という考え方を知っていなければならないことを意味している訳ではありません。
ただ、従来の「実現」、「対応」、「配分」ということに対して、きちんとした理解をもって準備しておいた方がよいのではないかと思うのです。
では、より具体的に、どんな出題が想定されるのかは残念ながらわかりません(って、オチまで、マンネリなのね←マンネリいうな)。

概念フレームワーク(1)

「概念フレームワーク」をご存知でしょうか。

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試験委員考(財務諸表論編)

今まで、簿記論の試験委員には、かなり触れていますが、本来、試験委員対策がある程度の意味を持ちうる可能性があるのは、むしろ財務諸表論でしょう。
もっとも私が、財務諸表論の試験委員について、それほどの予備知識がある訳ではありません。
ただ、実は、新試験委員発表の際に、ちょっと、「おおっ」と思ったのは、むしろ財務諸表論の新試験委員の石川純治先生の名前を目にしたときでした。
実際の出題予想などできるほどの蓄積はありませんが、事前に著作を読んだことがありましたので、ちょっと知っていることを書いておきたいと思います。
もちろん実際の試験に反映されるかも定かではありませんが。

学説等については難しくてわかりません(なんじゃそりゃ)。
単独の著作のある分野としては、金融商品の時価会計に関するものが目を引きます。
そして著作等でよく目にする会計学者がお二人。
お一人は、井尻雄士先生です。
日本人ですが、アメリカの会計学会において業績を残されている数少ない国際的に通じる会計学者といってよいようです。
もうお一方が、笠井昭次先生です。
以前、最強の過去問と呼ぶべき簿記の過去問(公認会計士試験)をご紹介しましたが、この出題をされた先生です(「最強の過去問」)。
石川先生も含めて共通するのは、極めて独自性が強い点にあるといってよいように思います。

これに最近の国家試験や検定試験における基本回帰、定型的な出題の回避の傾向を考えあわせると、やはり、誰もが知っている基本的な分野からのやや思考を問うような出題が想定されるのではないでしょうか。
ではどの分野から、どのような出題が想定されるのか。
それは、もちろんわかりません(←って、相変わらずの役立たずですな)。
オススメ
税理士財務諸表論穂坂式つながる会計理論【第2版】
穂坂治宏
ネットスクール出版
2021-09-16

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