税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

計数の変動

平成19年からの変更点(株主資本の計数の変動−その5:損失処理)

会社法上、純資産の部の株主資本間の項目の変動は比較的自由に認められています。
大きな制約は、資本と利益の区別です。
払込資本(資本金と資本剰余金)と留保利益(利益剰余金)をまたぐ変更は、認められていません。
しかし、それぞれの間における変動は比較的自由です。

資本と利益の区別の例外としては損失処理があげられるでしょう。
もっとも繰越利益剰余金は、マイナス(借方残)になっても通常は、そのままです。
以前のように未処分利益と未処理損失(繰越利益と繰越損失)といった使い分けはしません。
損失処理といっても繰越利益剰余金がマイナスのままだとみっともない。
そんでもって、これをその他資本剰余金で補てんしようというケースです。

その他資本剰余金→繰越利益剰余金
(借)その他資本剰余金××× (貸)繰越利益剰余金×××


その他資本剰余金が借方で減少というのは、よいとして、貸方の繰越利益剰余金が微妙かもしれません。
私は、すごく遠回りかもしれませんが、すごくゆっくりでも正確にだせるようにするには、次のような感じがよいのではないかと思っています。

(1)当期純利益が出た
(借)損  益××× (貸)繰越利益剰余金×××

(2)当期純損失が出た(上の逆)
(貸)繰越利益剰余金××× (貸)損  益×××

(3)損失処理(上の反対側)
(借)その他資本剰余金××× (貸)繰越利益剰余金×××

って、何だかなあと思う方は、流してください。

平成19年からの変更点(株主資本の計数の変動−その4:利益剰余金間での変動)

会社法では、払込資本(資本金・資本剰余金)間、留保利益(利益剰余金)間での変動は、比較的自由に認められています。
留保利益(利益剰余金)間での変動には、以下の組み合わせが考えられます。
仕訳処理としては、資本項目が貸方(増)、借方(減)であることを踏まえていれば、覚えるという感じにはならないでしょう。

利益準備金、その他利益剰余金(任意積立金、繰越利益剰余金)間の組み合わせです。
利益準備金とその他利益剰余金ということですと、1×2=2個です。
ただし、こちらは払込資本とは異なり、その他利益剰余金を任意積立金と繰越利益剰余金に分ける必要があるかもしれません。
ので、繰越利益剰余金→任意積立金(積立)と任意積立金→繰越利益剰余金(取崩)を加えておきました。
※会社法(会社計算規則)の規定の仕方とは異なります。

(1)利益準備金→その他利益剰余金(繰越利益剰余金)
(借)利益準備金××× (貸)繰越利益剰余金×××

(2)その他利益剰余金(繰越利益剰余金)→利益準備金
(借)繰越利益剰余金××× (貸)利益準備金×××

(3)その他利益剰余金(繰越利益剰余金)→その他利益剰余金(任意積立金)
(借)繰越利益剰余金××× (貸)任意積立金×××

(4)その他利益剰余金(任意積立金)→その他利益剰余金(繰越利益剰余金)
(借)任意積立金××× (貸)繰越利益剰余金×××

平成19年からの変更点(株主資本の計数の変動−その3:資本金・資本剰余金間での変動)

払込資本(資本金、資本準備金、その他資本剰余金)間での変動には、次の組み合わせが考えられます。
3×2=6個の組み合わせです。
ただの組み合わせに近いです。
もっとも仕訳処理は、資本項目が貸方(増)、借方(減)であることを踏まえていれば、覚えるという感じにはならないでしょうし、その必要もないと思います。
(1)と(2)が資本金の減少(減資)、(3)と(5)が資本金の増加(増資)で、純資産は増えませんので、いわゆる形式的減資、形式的増資ということになるでしょうか。
※実際の会社法(会社計算規則)の規定の仕方とは異なります。

(1)資本金→資本準備金
(借)資本金××× (貸)資本準備金×××

(2)資本金→その他資本剰余金(資本金及び資本準備金減少差益)
(借)資本金××× (貸)その他資本剰余金×××

(3)資本準備金→資本金
(借)資本準備金××× (貸)資本金×××

(4)資本準備金→その他資本剰余金(資本金及び資本準備金減少差益)
(借)資本準備金××× (貸)その他資本剰余金×××

(5)その他資本剰余金→資本金
(借)その他資本剰余金××× (貸)資本金×××

(6)その他資本剰余金→資本準備金
(借)その他資本剰余金××× (貸)資本準備金×××

平成19年からの変更点(株主資本の計数の変動−その2:柱立ての確認)

株主資本の計数の変動は、次の(1)と(2)をまたぐのはダメですが、それぞれの内部にでは、比較的自由に認められています。

(1)払込資本(資本金・資本剰余金)
(2)留保利益(利益剰余金)

これらの項目(結局は、純資産の部の株主資本)をしっかりとおさえておく必要があるでしょう。
株主資本の柱をしっかりとおさえておけば、後は会社の処理に忠実に従えばよいことになります。
えーっと、100%ということでよろしくお願いいたします(←うろ覚えでは、実践で支障があります)。

(1)払込資本
資本金
資本資本準備金(株式払込剰余金、合併差益等)
その他資本剰余金(自己株式処分差益、資本金及び資本準備金減少差益)

(2)利益剰余金
利益準備金
その他利益剰余金(任意積立金、繰越利益剰余金)

平成19年からの変更点(株主資本の計数の変動−その1:資本と利益の区別)

会社法では、純資産の部の株主資本の計数の変動がかなりの程度に可能になっています。
大した意味はないので、勝手に変えていいよといった感じでしょうか(←ホントか?)。

制約は、資本と利益の区別が厳格になっている点です。
会社法では、基本的に、払込資本(資本金・資本剰余金)と留保利益(利益剰余金)をまたぐ変更を認めていません。
払込資本(資本金・資本剰余金)間での変更、留保利益(利益剰余金)間での変更は、比較的自由になっています。
※払込資本・留保利益という呼称が会社法上、存在する訳ではありません。

(1)資本金・資本剰余金
(2)利益剰余金

会計処理としては、減った項目を借方、増えた項目を貸方という感じになります。

(1)払込資本(資本金・資本剰余金)
資本金
資本準備金
その他資本剰余金

(2)利益剰余金
利益準備金
その他利益剰余金

株主資本の柱立ては、ガチガチにおさえておく必要があります。
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