税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

独立処理

独立処理

為替予約取引は、将来の異なる変動相場と固定相場による現金収支の交換取引です。

変動相場による現金収入(未収金)と固定相場による現金支出(未払金)の交換取引を考えてみましょう。

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独立処理の考え方としての処理

今、輸入取引を例にとって考えてみましょう。

【輸入取引】(借)仕  入×××    (貸)買 掛 金×××(変)

【為替予約】(借)未 収 金×××(変) (貸)未 払 金×××(固)

為替予約は、スワップ(交換)の一種で、将来の現金収入(借方・未収金)と将来の現金支出(貸方・未払金)の交換取引です。

独立処理は、輸入取引で生じた買掛金と為替予約とを別個に換算する方法です。

買掛金は、通常どおり、現物の為替相場で換算することになります。

問題は、為替予約についてです。
取引金額を1ドルとして予約相場が次のように推移したとしましょう。

予約100 → 決算104 → 決済106

貸方・未払金は、固定されています。
変るのは、借方の未収金です。
借方の未収金が、

100→104→106

と動くことになります(次の処理は、実際の処理ではなく、あくまでも考え方です)。

(1)予約(100)
(借)未 収 金100 (貸)未 払 金100

(2)決算(104)
(借)未 収 金  4 (貸)為替差損益 4

(3)決済(106)
(借)未 収 金  2 (貸)為替差損益 2
   現金預金106    未 収 金106
   未 払 金100    現金預金100

独立処理と振当処理

為替予約の会計処理には、独立処理と振当処理があります。
極めて、ざっくりとこの二つの会計処理を考えてみましょう。

(1)輸入取引
(借)仕  入×××    (貸)買 掛 金×××(変)

(2)為替予約
(借)未 収 金×××(変) (貸)未 払 金×××(固)


【独立処理】
独立処理は、外貨建金銭債権債務(買掛金)と為替予約を別々に換算(評価)する方法です。
輸入取引で生ずる外貨建債権債務(買掛金)は、現物の相場でそのまま換算します。
為替予約は、予約時点では、上記のような処理を行う訳ではありません(仕訳なし)。
その後は、先物相場の変動部分で評価されます。

【振当処理】
振当処理は、いわば上記の(1)の貸方・買掛金(変)と(2)の借方・未収金を相殺してしまう考え方です。
もっとも両者は、逆の性格をもっていますが、全く等価という訳ではありませんので、実際には、その差額を処理しなければなりませんが。
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暮木孝司

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