税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

準備金

(★)平成19年 簿記論講座 2月第2回(自己株式・準備金)

【学習時間の目安】
(1)インプット(2時間)
(2)問題演習(2時間)


【要チェックポイント】
(1)自己株式は純資産のマイナス、付随費用は営業外費用
(2)自己株式の取得・処分・消却の処理をおさえよう
(3)準備金の意義・種類取扱いをおさえよう


自己株式
(1)取扱い
自己株式……純資産のマイナス
付随費用……取得・処分・消却時の付随費用は、営業外費用(支払手数料等)
処分時は、繰延資産(株式交付費)計上可

(2)会計処理
1.自己株式の取得
(借)自己株式××× (貸)現金預金    ×××
2.自己株式の処分
(借)現金預金××× (貸)自己株式    ×××
              その他資本剰余金(自己株式処分差益)×××
3.自己株式の消却
(借)その他資本剰余金××× (貸)自己株式    ×××
※処分・消却によりその他資本剰余金が会計期間末において、マイナス(借方残)になった場合は、繰越利益剰余金から控除する。


準備金
(1)資本準備金
株式払込剰余金、合併差益等
(2)利益準備金
(要積立額)
資本準備金の額と併せて資本金の4分の1に達するまで配当の10分の1
(3)取崩
1.資本準備金……その他資本剰余金(資本金及び資本準備金減少差益)
2.利益準備金……繰越利益剰余金
純資産の部の表示

【その他資本剰余金の処分による配当】
その他資本剰余金の処分による配当……売買目的→受取配当金、それ以外→簿価減額



【チェック問題】オススメ度(◎→○→△、※は参考)
応用 上級編16(◎)
応用 細目編11(◎)
応用 細目編12(◎)

平成19年からの変更点(準備金の積立−その2)

準備金の積立に関して大きく変ったのが、資本剰余金(その他資本剰余金)からの配当を行った場合には、利益準備金ではなく、資本準備金を積立てる点です。

(1)配当額×1/10
(2)資本金×1/4−これまでの準備金(利益準備金+資本準備金)
(3)いずれか少ない金額

(借)その他資本剰余金××× (貸)未払配当金×××
                  資本準備金×××

やや、複雑なのが、両方(利益剰余金からの配当と資本剰余金からの配当)があるケースです。
準備金の積立限度額に達しない場合には、特に問題はありませんが、このケースでは、次のような手順で計算を行うとよいでしょう。
手順1:一度全体で準備金の積立額を出す(下記の3です)。
手順2:それを配当の比率で分ける。

計算パターンでいうと次のような感じでしょうか。
(1)配当額×1/10
(2)資本金×1/4−これまでの準備金(利益準備金+資本準備金)
(3)準備金積立額 いずれか少ない金額
(4)利益準備金積立額 (3)×利益剰余金配当割合(利益剰余金からの配当÷全体の配当)
(5)資本準備金積立額 (3)×資本剰余金配当割合(資本剰余金からの配当÷全体の配当)

(借)繰越利益剰余金 ×××(貸)未払配当金×××
                 利益準備金(4)
(借)その他資本剰余金×××(貸)未払配当金×××
                 資本準備金(5)


これまでの年度別変更点の個別記事一覧は、こちらからどうぞ。
税理士試験 簿記論 年度別変更点

平成19年からの変更点(準備金)

会社法では、資本準備金と利益準備金を「準備金」と呼んでいます。
これまでは、「法定準備金」という呼称が一般的でした。
これからは「準備金」です(勘定科目としては使用しません)。

以前も触れましたが、いずれも「勘定科目」としても「資本準備金」と「利益準備金」が一般化しそうです。

資本準備金の代表は、株式払込剰余金と合併差益になります。
勘定科目の使い方として、資本準備金が一般化するとすると、資本準備金に何が該当するのかも明確にしておかないと総合問題等がてがけにくくなります。
あわせてしっかりとおさえておきましょう。
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