税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

合併

(※)平成18年 簿記論講座 4月第3〜4回(合併)

【要チェックポイント】
(1)買収と合併の形式的違いを理解しよう
(2)合併会計の基本的な流れを理解しよう
(3)パーチェス法と持分プーリング法の基本的な考え方と会計処理を理解しよう


企業買収
(1)営業の譲受け
(借)諸資産××× (貸)諸負債 ×××
   営業権×××    現金預金×××
※営業権は5年で償却

(2)株式の取得
(借)子会社株式××× (貸)現金預金×××


【合併】
(1)合併の意義と種類
1.意義……複数の会社が一つの会社になること
2.種類
新設合併……A + B → C
吸収合併……A + B → A´

(2)合併会計の流れ
1.個別財務諸表の修正
2.企業評価額の算定
3.合併比率・交付株式数・増加資本金の算定
4.合併仕訳
5.合併貸借対照表の作成

(3)個別財務諸表の修正

(4)企業評価額の算定
1.純資産……ア 帳簿価額  イ 時価
2.収益還元価値 
ア 自己資本比率 企業評価額=(自己資本×自己資本比率)÷資本還元率
イ 総資本比率  企業評価額=(自己資本×総資本比率)÷資本還元率
3.株式市価法……企業評価額=平均株価×発行済株式総数
4.折衷法

(5)合併比率・交付株式数・増加資本金の算定
1.合併比率……被合併会社の1株当りの企業評価額÷合併会社の1株当りの企業評価額
2.交付株式数…被合併会社の発行済株式総数×合併比率
3.増加資本金……交付株式数×1株あたり増加資本金

(6)合併の会計処理
1.現物出資説(パーチェス法)
資産・負債の引継ぎ……公正時価(繰延資産や債務性のない引当金は引継がれない)
資本の引継ぎ……………受入純資産と増加資本金との差額は、合併差益(資本準備金)
2.人格合一説(持分プーリング法)
資産・負債の引継ぎ……帳簿価額(繰延資産や債務性のない引当金も引継がれる)
資本の引継ぎ……………そのまま引継がれる(合併減資差益は資本準備金)
3.商法による処理
原則(商法288条の2第1項5号)……現物出資説
特則(商法288条の2第5項)…………資本構成の引継ぎ(利益準備金の引継ぎは必須)

(7)自己株式の移転

(8)抱合株式の処理
1.新株の割当
合併会社が被合併会社の株式を所有している場合、新株の割当てはしない。
2.会計処理
合併会社の持分相当額<抱合株式の帳簿価額……差額は営業権

合併会社の持分相当額>抱合株式の帳簿価額……差額は合併差益(人格合一説では、合併減資差益)


【チェック問題】オススメ度(◎→○→△、※は参考)
なし

合併の出題を考える

新会社法が今年の税理士試験の範囲に含まれないことは以前お知らせしましたが、悩ましいのが合併です。
新基準以前には、この合併が割と出題されていて、簿記論での重要性が低い訳ではありません。

ただ、いろんな意味でわかりにくいのがまた合併です。

理論的な処理としては、現物出資説(パーチェス法)、人格合一説(持分プーリング法)という二つの会計処理があります。

今までの会計処理は、商法の規定に基づいて行われていました。
ただ、商法に合併受入資産についての細かい規定があった訳ではありません。
そこで、現実的には、時価以下での適宜な受入価額を付すことが行われていたようです。

もちろん、こんないい加減なことがいつまでもつづく訳はなく、平成15年には、「企業結合に係る会計基準」が制定されています。
新基準の実施は、平成18年4月1日以後に開始する事業年度からです。
ということは、かろうじて今年の試験範囲に入ります。

ただ、会社法の施行が平成18年5月1日ですから、これ以後の日付での出題は考えにくいでしょう。
ということで整理してみますと、次のような感じになると思います。

(1)商法
(2)新基準(+商法)
(3)新基準(+会社法)

(3)は、今年の出題範囲からはずれています。
それでも(1)、(2)は考えられる訳で、どうしたもんかという気もします。

私自身は、第3問(実務家出題)では、(1)、第1・2問(学者出題)では、新基準というよりも、従来からの理論的処理での出題はありという感じでみています。
つまりは、従来的な学習で足りると考えている訳です。
この辺はもしかすると見方が大きく分かれるかもしれませんので、あくまでも私の私的な考えとして受け止めていただきたいと思います。

合併は、出ないだろという方の清き一票をよろしくお願いいたします。

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どこまでをやるのか?(合併、株式交換・移転、会社分割)

合併については、やはり皆さんもいやだなーと思われているのは、配点の大きい本格的出題ではないかと思います。

本格的出題があるとすると第3問での可能性が高いのではないでしょうか。

無論、小問での、第1問・第2問での出題はあり得るでしょう。

第3問での出題がなされた場合には、極めて難易度が高くなる傾向があります。

この場合に大事な事は、一つです。

「あきらめてはいけません。」

第3問で、全面的に合併等を絡ませた出題がなされた場合には、難易度が高い可能性が高いですが、その場合にも解ける箇所は必ずある筈です。

そこを外さないためにも、例えできないなと感じても、いや、合併が出来なかったとしても、決してあきらめてはいけません。

あきらめた瞬間に細かい部分に目がいかなくなります。

問題を解く気力が無くなります。

とにかくできる箇所をやる。

それがとても大事です(このことは答練レベルでもいえることだと思います)。

第1問・2問の小問での出題の場合、基本的な事項の出題時は、慎重に対応する必要があるでしょう。

また、やや難解な出題がある可能性もありますが、小問での出題時は、あまり、時間をかけないことが重要かと思います。

ただし合併等は、ちょっとやっていないと勘がにぶるという面があるかと思います。

その意味では、典型的な出題(それほど難易度の高くない総合問題)については充分習熟しておく必要があるでしょう。

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