【資本的支出と収益的支出】
「資本的支出」は、耐用年数の延長をもたらしたり、価値を増加させたりする支出を意味します。
「収益的支出」は、いわば原状回復費用です。
資本的支出は、資産として処理され、収益的支出は、費用(修繕費)とされます。


【資本的支出と収益的支出の区分】
一つの修理・改良等に資本的支出部分と収益的支出が混在することは少なくありません。
むしろ、原状回復を図る場合に、ついでに前よりよくしてやれというのは極めて自然で、その場合は、原状回復と価値の増加とが混在することになります。
このような場合は、耐用年数の延長部分に対応する部分を資本的支出とするのが一般的です。
残りが収益的支出(修繕費)になります。

資本的支出=支出額×「延長」耐用年数÷「残存」耐用年数


【事後の減価償却】
耐用年数を延長した場合には、残存耐用年数により計算し、耐用年数を延長しない場合には、当初の耐用年数により計算するのが合理的です。
なお、問題の指示が最優先です。

(1)残存耐用年数による場合
支出後の減価償却費=(資本的支出を含めた取得原価−資本的支出を含めた残存価額−前期末までの減価償却累計額)÷残存耐用年数

(2)当初耐用年数による場合
従来部分、資本的支出部分ともに当初耐用年数により減価償却費を計算します。
この場合の計算は、当初の耐用年数による新しい有形固定資産を取得した場合と全く同様です。


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