税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

租税

法人税等の手がけ方

事業税に外形標準課税ができてからちょっとややこしくなった法人税等の取扱い。

問題を解く視点からまとめてみました。
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租税

<テキスト記事一覧>
租税公課
法人税等
過年度法人税等
源泉所得税
消費税の会計処理
消費税の会計処理(固定資産の売却)
消費税の会計処理(固定資産の買換え)
外形標準課税

<軽めの記事一覧>
租税公課と法人税等
過年度の法人税等
源泉徴収


税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧

外形標準課税

事業税の種類とその取扱いをまとめると次のとおりです(結局、所得割との違いは、借方科目だけになります)。

(1)所得割
1.勘定科目………法人税等
2.未払計上………未払法人税等
3.税効果会計……適用あり

(2)外形標準課税(資本割・付加価値割)
1.勘定科目………租税公課(販売費及び一般管理費)
2.未払計上………未払法人税等
3.税効果会計……適用あり

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消費税の会計処理(固定資産の買換え)

消費税の会計処理でもやっかいなのが、固定資産の買換えでしょう。
買換えは、売却と購入の複合した取引ですので、ゆっくりとやれば、難しい筈はないんですが、難しいです。

【例】車両(簿価120)を税込対価110で下取りに出し、新車両200(税抜き)を購入した。
下取価格を差し引いた新車購入代金は、現金で支払っている。

(借)車  両 200 現  金 110
   仮払消費税 20 車  両 120
   車両売却損 20 仮受消費税 10

それぞれの金額の算出を考えてみましょう。

借方の車両200と仮払消費税20はよいでしょう。
ここは、消費税の関係がみえますので、わかりやすいです。

貸方の減少する車両120は、売却車両の帳簿価額です。
借方の車両売却損は、税抜対価100−売却車両の簿価(←もとが税抜)120です。

税抜の金額同士で計算するのがポイントでしょうか。

仮受消費税は、例の文章から10と算出できますが、仕訳上からは痕跡がなくなっています。

取得価額(税込)220から売却価額(税込)110を引いた金額が、貸方の現金110です。
こっちは、税込同士の計算になります。


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消費税の会計処理(固定資産の売却)

消費税の経理方式には、税込経理方式と税抜経理方式があります。
税込経理方式は、消費税の金額をそのまま代金に含めてしまう方法ですので、それほど問題はないでしょう。
問題は、税抜経理方式です。

売上や仕入、経費の支払い、資産の購入あたりはよいのですが、資産の売却、買換えあたりになるとかなり雲行きが怪しくなってきます。
わかりにくさの原因は、消費税の元になる金額が仕訳からは見えにくくなることにあるのかもしれません。

簡単な例をあげましょう。

【例1】商品販売(税込110)

(借)現  金110 (貸)売   上100
              仮受消費税 10

出題のされかた(税抜100、税込110等)に注意すれば、それほど問題はないでしょう。

【例2】備品売却(簿価120 税込売価110)

(借)現   金110 (貸)備   品120
   備品売却損 20    仮受消費税 10

仮受消費税は、税込売価110円×10/110=10 で算出できます。
ただ、仕訳上の金額からこの金額がややわかりにくくなっています。
先ほどの商品販売の例では、貸方の売上100×10%=仮受消費税10という関係が成り立っています。
これがみえない分、ややわかりにくいのではないでしょうか。

備品売却損の金額は、税抜対価100−備品帳簿価額120=△20 です。
もともと備品を購入した場合には、税抜で処理されていますので、備品の帳簿価額も税抜です。
備品売却損益は、「税抜」の金額から「税抜」の金額を出しています。

総合問題での出題への対処のためにも、まずは、仕訳を確実にこなせるようにしましょう。

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源泉徴収

配当や利子を受け取る場合には、所得税(や住民税)が天引きされています。
この天引き制度は、源泉徴収制度と呼ばれます。
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過年度の法人税等

過年度の法人税等を支払った場合には、法人税等追徴税額(追徴法人税等)で処理します。
過年度の法人税等(の還付金)を受け取った場合には、法人税等還付税額(還付法人税等)で処理します。
法人税等追徴税額や法人税等還付税額といった科目を使うのは、あくまでも過去の法人税等の訂正があった場合です。
確定申告での納付額や還付額に使う訳ではありません。
いったん申告をしたものが、後になって何らかの理由(税務署の調査等)で変更になる場合(修正申告)に、この法人税等追徴税額や法人税等還付税額を使うことになります。
問題では、何となくわかるのではないかと思います(って、何となくって)。

確定申告で生じた租税の納付や還付については、未払法人税等や未収法人税等という勘定科目を設けている筈ですから、こちらで処理することになります。
納付のケースを前提に、会計処理を示すと、次のようになります。

【修正申告】
(借)過年度法人税等××× (貸)現金預金×××

【確定申告】
(決算時)
(借)法人税等××× (貸)未払法人税等×××

(納付時)
(借)未払法人税等××× (貸)現金預金×××


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租税公課と法人税等

いわゆる租税は、固定資産の取得原価に算入されるものを除いて、「法人税等」か、「租税公課」(または各税金の名称)で処理されます。

法人税等は、損益計算書の正式な名称でいえば、「法人税、住民税及び事業税」です。
ぶっちゃけ、利益に応じて課される税が、法人税等で処理されることになります。

それ以外の租税の種類は、多いですから、こちらを完璧にしておくのが、得策でしょう。

固定資産の原価に算入される租税が結構、微妙かもしれません。

固定資産税は、付随費用として原価に算入されることはありません。
税の仕組みとして、毎年、1月1日の所有者にかかるからです。

それ以外の租税は微妙ですが、取得に際して支払ったものは、原価算入というのが、基本的な考え方といってよいと思います。
法人税の取扱いが、租税公課は、取得に際して支払ったものでも経費(損金)算入を認めるというスタンスですので、実務に携わっている方は、注意が必要でしょう。

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法人税等

消費税の会計処理

【消費税の課税される取引】
簿記論は、消費税法の試験ではないので、消費税の課税・非課税の判断は必要ありません。
実際の問題では、何らかの形で、消費税を区別できる筈ですが、簡単に知っておくとよいでしょう。

(1)消費税の課税される取引
課税資産の譲渡・貸付、役務提供 → 対価のある場合

(2)消費税の課税されない取引
土地・債権(売掛金等)・有価証券の譲渡、税金・利息・配当金の受払い等


【会計処理】
※数字は、単なる例示です

(1)税込経理方式………損金となる租税と同様に取り扱う
 (売  上  時)現金預金 210 売  上 210

 (仕  入  時)仕  入 105 現金預金 105

 (資産購入時)固定資産 105 現金預金 105

 (貸  倒  時)貸倒損失等105 売掛金  105

 (中間納付時)租税公課 100 現金預金 100

 (決  算  時)租税公課  50 未払消費税 50

 (納  付  時)未払消費税 50 現金預金  50

(2)税抜経理方式………預り金として処理する
 (売  上  時)現金預金 210 売  上 200
                     仮受消費税 10

 (仕  入  時)仕  入 100 現金預金 105
         仮払消費税  5

 (資産購入時)固定資産 100 現金預金 105
         仮払消費税  5

 (貸  倒  時)貸倒損失等100 売 掛 金 105
         仮受消費税  5

 (中間納付時)仮払消費税100 現金預金 100

 (決  算  時)仮受消費税100 仮払消費税 50
                     未払消費税 50

 (納  付  時)未払消費税 50 現金預金  50

※仮払消費税は、仮払消費税等と「等」をつけることもあります。
仮払消費税等の「等」は、特別地方消費税を指しています。


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源泉所得税

【源泉所得税】
受取配当金から控除される所得税(20%等)、受取利息から控除される所得税(及び住民税利子割15%+5%)は、法人税等の前払いの意味を有しています。
仮払法人税等または法人税等で処理します。
※源泉徴収税額の率については、時期や会社の種類等により異なるケースもあるので、必ず問題文を確認する必要があります。

(配当金受領時)
(借)現金預金        ××× (貸)受取配当金×××
   仮払法人税等(法人税等)×××


【手取額で計上されている場合】
手取額で計上されている場合には、総額で計上する必要があります。

(例題)
決算整理前残高試算表の受取配当金900円は、源泉徴収所得税10%控除後の金額です。

(借)仮払法人税等(法人税等)100 (貸)受取配当金100


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過年度法人税等

【過年度法人税等の意義と会計処理】
過年度の法人税の修正等により前期以前(過年度)の法人税等の追加納付(追徴)や還付を受ける場合があります。
追徴税額は、「法人税等追徴税額」(費用)などで処理し、還付の場合は、「法人税等還付税額」(収益)などで処理します。

追徴の場合:(借)法人税等追徴税額××× (貸)  現金預金×××

還付の場合:(借)現金預金  ××× (貸)法人税等還付税額×××

※法人税等追徴税額は、追徴法人税等でもかまいません。
※法人税等還付税額は、還付法人税等でもかまいません。


【損益計算書の表示】(※企業会計原則 注解13参照)
税引前当期純利益   500
法人税住民税及び事業税200
法人税等追徴税額   100
当期純利益      200


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法人税等

【法人税等の意義と取扱い】
簿記上、企業利益(所得)に応じて課される租税は、「法人税等」で処理します。
損益計算書上の正式な表示科目は、「法人税、住民税及び事業税」です。
法人税等は、企業利益(所得)に応じて課されます。
企業会計上は、これを費用とみる考え方と利益処分(剰余金の処分)とみる考え方がありました。
税効果会計の適用は、法人税等を費用とみる考え方を前提にしています。
現在の損益計算書は、その中間をとって、いったん、法人税等を影響させないところで純利益を算出し(税引前当期純利益)、ここから法人税等を控除する形式をとっています。


【損益計算書の表示】
税引前当期純利益      ×××
法人税、住民税及び事業税×××
当期純利益          ×××


【法人税等の会計処理】
法人税等については、中間納付時に「仮払法人税等」で処理する方法と「法人税等」で処理する方法があります。
簿記論では、いずれの出題も考えられます。

(1)中間納付時に仮払法人税等で処理する方法
中間納付時:(借)仮払法人税等 50 (貸)現金預金   50
決  算  時:(借)法人税等   100 (貸)仮払法人税等50
                          未払法人税等50
納  付  時:(借)未払法人税等 50 (貸)現金預金   50

(2)中間納付時に法人税等で処理する方法
中間納付時:(借)法人税等    50 (貸)現金預金   50
決  算  時:(借)法人税等    50 (貸)未払法人税等50
納  付  時:(借)未払法人税等 50 (貸)現金預金   50

なお、決算時に納付(未納)ではなく、還付(未収)になる場合は、未収還付法人税等(法人税等還付未収金)などの勘定科目で処理します。


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租税公課

いわゆる租税(租税公課)の簿記上の取扱いは、利益に応じて課される租税とそれ以外の租税とでは異なります。



【法人税等】

利益に応じて課される租税には、法人税、住民税、事業税があります。

損益計算書では、「法人税、住民税及び事業税」として当期純利益の下に表示されます。

なお、簿記処理(仕訳)上の勘定科目としては、「法人税等」勘定が一般的です。



【法人税等以外の租税】

法人税等以外の租税には、固定資産税、印紙税、登録免許税等があります。

これらの租税は、固定資産等の取得原価に算入される場合を除いて、損金の額に算入されます(税務上の経費になる)。

各種加算税(金)、延滞税(金)、罰金等のペナルティの性格を有する租税等は、損金の額に算入されません。

法人税等以外の租税は、支出時に租税公課(または各々の税金の名称)の勘定科目で処理します。

もっとも、固定資産の取得に要した租税は、固定資産の取得原価に算入するのが、簿記処理としては、原則的です(実務上は、損金算入が認められるため費用処理する場合が多い)。



【租税公課のまとめ】
租税……利益に対する租税(法人税、住民税、事業税)→法人税等
    その他(固定資産税、印紙税、登録免許税等)→租税公課



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