税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

推定簿記

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推定の意味
推定簿記と簿記一巡の手続
原価率を利用した推定
売上と仕入関係の推定
その他の推定項目


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その他の推定項目

その他に推定的要素が絡みやすい項目について若干コメントしておきましょう。


【経過勘定項目】

再振替仕訳(前期末の決算整理仕訳の逆仕訳)を忘れないこと。

期首スタートの場合は、常に必要です。

あとは、できるだけ勘定を復元する習慣をつけた方がよいでしょう。



【貸倒引当金、外貨建項目、借入金、社債等】

貸倒引当金は、「繰入率」、外貨建項目は、「レート(相場)」、借入金・社債は、「利率」等が推定に絡んでくる場合があるので注意しましょう。



【固定資産関係】

固定資産関係では、特に期中の売却がある場合は、勘定の復元と期中処理の仕訳を考えた方がよい場合が多いです。



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売上と仕入関係の推定

【売上関係の推定】

売上関係の勘定推定に関しては、貸方・売上となる場合の借方項目、すなわち、現金、売掛金、受取手形、前受金勘定の分析から売上高を算出する場合が多いです。

勘定分析といっても実際にT字を書いて、そこに埋めていけば、あとは引算に過ぎません。

例えば、売掛金についていえば、

   売掛金
期首    現金
売上    期末

という関係があるから、どれか1個が不明なら、その金額は差額で算出できます。

この辺は、良質の問題を解いて、慣れる必要があるでしょう。

まずは、基本的な売掛金、受取手形勘定にどのような記入がなされるのか(結局は、どのような取引が仕訳→転記されるのかと同じであるが)を確認しおくと、推定が手がけやすくなります。

その他に売上関係の推定で注意したいのは、前受金がある場合、売掛金の貸倒れがある場合等がありますが、いずれも、仕訳を想起したうえで、勘定の復元に努めましょう。



【仕入関係の推定】

仕入関係の勘定推定についても、基本的には、売上と同様です。

仕入勘定の分析がやや特徴的で、原価率を絡めた出題にも留意しましょう。



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原価率を利用した推定

【原価率を利用した推定】

簿記では、原価率がらみの出題が多くなっています。

基本的な関係をしっかりおさえておきましょう。


原価率=売上原価/売上


推定で利用する原価率は、想定される原価率(予定・予想原価率)です。

この場合の売上からは売上値引・割戻は控除しません。

控除した後の金額(損益計算書の売上)なら、売上値引・割戻は足す必要があります。


売上原価=期首商品棚卸高+当期商品仕入高−期末商品棚卸高


※ボックス図で把握するとよいでしょう(下記記事参照)。

ボックス図の意味

仕入関係については、解答要求が、財務諸表(損益計算書、貸借対照表)なのか、決算整理後残高試算表なのか、損益勘定・残高勘定なのかは、しっかりと確認しましょう。

決算整理後残高試算表及び損益勘定における仕入は、当期仕入高ではなく、売上原価です。

くれぐれも注意しましょう。



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推定簿記と簿記一巡の手続

【推定簿記と簿記一巡】

計算の出題は、決算整理型の出題(整理前試算表→整理後試算表、財務諸表等)が多いです。

ただ、簿記一巡を問う出題もあります。

期首時点(前期末)から決算整理後までの資料が出ている出題に対処できるようにするには、結局は、簿記一巡の手続をしっかりと理解する以外にないと思います。

期首試算表(前期繰越試算表)→期中処理→決算整理前試算表→決算整理→決算整理後試算表

このような流れのなかで、何が資料として与えられていて、何を解答しなければならないのかを充分に確認する必要があります。


【注意点】

いくつか注意点をあげておきましょう。

(1)再振替仕訳

期首試算表ないしは前期繰越試算表(英米式での勘定上の次期繰越を集めたもの)が資料として与えられている場合には、再振替仕訳は行われていません。

この場合には、指示がなくても再振替仕訳が必要です。

これは、本当に忘れやすいので注意が必要です。


(2)仕訳の勘定科目は、試算表のものを使う

勘定科目の残高や合計を集めたものが試算表です。

そこで使用されている科目は、仕訳で使われる科目(勘定科目)です。

総合問題の中で仕訳が要求される場合には、その科目を使わないと間違いになるので充分注意しましょう。



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推定の意味

【推定の意味】
推定簿記という特別な簿記の領域がある訳ではありません。

簿記は、企業の経済活動の記録であり、その記録は仕訳からはじまって、元帳に転記されます。

その元帳の数字を集めたものが試算表です。

このような一般的な手続の順序では解答できない出題一般を「推定簿記」と呼ぶことがあります。


現実の実務でこのような意味での推定が必ずしも必要な訳ではありません。

あえて出題者の意図を想像するならば、このような推定的要素を出題して、仕訳や勘定記入が本当に理解されているかを問うているのです。

このことを意識しているか否かは大きいでしょう。

あまりに難解な推定問題は、むしろ学習の妨げになることもあります。

しかし、良質の推定問題は、簿記一巡の理解を確認するよい訓練になるでしょう。

あまりに難解な出題にたいしては、逆に「ムリ」と言えるだけの基礎的力をつけることが重要ではないでしょうか。



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