税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

委託販売・受託販売

委託販売・受託販売

<テキスト記事一覧>
委託販売の収益認識基準
委託販売の会計処理
積送諸掛
荷為替の取組み
受託販売
委託販売の売上計上時期

<軽めの記事一覧>
受託者段階の積送諸掛の処理


税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧

受託販売

【受託販売の意義】
受託販売とは、他人(委託者)の商品の販売を引き受けることをいいます。
委託販売を受託者の側からみると、それが受託販売です。

受託者は商品の販売を行いますが、その販売に伴って発生する収益と費用はすべて委託者に帰属し、受託者の側で生ずる損益は受取手数料のみです。

委託者に対する債権(立替金)・債務(預り金)はすべて受託販売勘定で処理します。
受託販売勘定の借方残高は、債権(立替金)を意味し、貸方残高は、債務(預り金)を意味します。


【受託販売の会計処理】
(1)荷為替引受時
(借)受託販売××× (貸)支払手形×××

(2)受託品受取時
仕訳なし

(3)受託品販売時
(借)売 掛 金××× (貸)受託販売×××

(4)代金回収時
(借)現金預金××× (貸)売 掛 金×××

(5)立替費用支払時
(借)受託販売××× (貸)現金預金×××

(6)売上計算書作成時
(借)受託販売××× (貸)受取手数料×××

(7)残金送付時
(借)受託販売××× (貸)現金預金×××


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積送諸掛
荷為替の取組み
委託販売の売上計上時期

荷為替の取組み

【荷為替の取組の意義】
委託販売では、委託者は、受託者に商品の販売を依頼するために商品を送付(積送)します。
商品の積送と同時に、貨物代表証券を担保として受託者宛の為替手形を振出し、銀行で割引くことがあります。
これを「荷為替の取組み」といいます。

荷為替を取組むことにより代金(の一部)を早期回収することができます。
しかし、この段階では、積送品はまだ受託者において販売されていません。
まだ、売上は計上すべきではありませんので、受託者からの販売代金の前受けとして、前受金勘定または委託販売勘定で処理します。
この前受代金は、実際に商品が販売され、受託者から売上計算書が到着したときに精算することになります。


【荷為替の取組みの会計処理】
(1)積送売掛金及び前受金で処理する方法
受託者に対する債権を積送売掛金勘定で処理し、荷為替の取組みによる債務は、前受金勘定で処理する方法です。

積送時:   (借)積送品  ××× (貸)仕  入 ×××
荷為替取組時:(借)当座預金 ××× (貸)前 受 金 ×××
         手形売却損×××   
代金精算時 :(借)前 受 金 ××× (貸)積送品売上×××
         積送売掛金×××
         積送諸掛費×××

(2)委託販売勘定で処理する方法
受託者に対する債権・債務を委託販売勘定のみで処理する方法です。
委託販売勘定が借方残高の場合には、債権(売掛金)を意味し、貸方残高の場合は債務(前受金)を意味します。
借方残高の場合は、期末売上債権に含まれ、貸倒引当金の設定対象になります。

積送時:   (借)積 送 品 ××× (貸)仕  入×××
荷為替取組時:(借)当座預金 ××× (貸)委託販売×××
         手形売却損×××
代金精算時: (借)委託販売 ××× (貸)積送品売上×××
         積送諸掛費×××

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受託者段階の積送諸掛の処理

【受託者段階の積送諸掛の処理】
積送品販売において、受託者の手数料等の処理は、積送品売上高を総額で計上するか、純額で計上するかで異なります。
なお、受託者が負担する費用であっても、未販売部分に対応する金額は資産(繰延積送諸掛)として翌期に繰り越すことになります。

(1)原則(総額)
受託者の売上高を積送品売上高とし、手数料等は積送諸掛費勘定(販売費)で処理します。

(借)積送売掛金1,000 (貸)積送品売上1,200
   積送諸掛費  200

(2)例外(純額)
委託者の手取高を積送品売上高し、手数料等と積送品売上高は相殺されることになります。

(借)積送売掛金1,000 (貸)積送品売上1,000

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積送諸掛

【積送諸掛の区分】
積送諸掛には、委託者段階でかかるものと受託者段階でかかるものがあります。

(1)委託者段階での積送諸掛(発送諸掛)
委託者が商品の積送段階でかかるもので、荷造費や発送運賃等があります。

(2)受託者段階での積送諸掛
受託者における保管料、得意先への発送運賃、手数料等があります。


【積送諸掛の会計処理】
(1)委託者段階での積送諸掛
1.発送諸掛を積送品原価と考える場合(積送品勘定に加算)
(借)積 送 品××× (貸)仕  入×××
              現金預金××× ← 発送諸掛

2.発送諸掛を販売費と考える場合(積送諸掛費勘定)
(借)積 送 品 ××× (貸)仕  入×××
   積送諸掛費×××    現 金 等××× ← 発送諸掛

(2)受託者段階での積送諸掛
1.売上計算書到着時(総額)
(借)積送売掛金××× (貸)積送品売上×××
   積送諸掛費×××

2.決算時
(借)繰延積送諸掛××× (貸)積送諸掛費×××


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委託販売の売上計上時期

委託販売の売上計上時期

委託販売では、商品の販売を他人に頼みます。
商品を頼む側を「委託者」、頼まれる側を「受託者」といいます。

委託者 →(商品)→ 受託者

委託者は、受託者に商品を送ります。
これを「積送」といい、送られた商品を「積送品」といいます。

他人に頼むためにその商品を送っただけでは、商品はまだ売れていませんので、売上は計上しません。
それでは、いつ売上を計上するのかというと、受託者が商品(積送品)を販売した時点です。
このような基準は、「受託者販売日基準」などと呼ばれます。

もっとも、委託者と受託者とでは、違うところにいる訳ですから、受託者が販売したことを委託者がすぐに知ることはできません。
委託者が、受託者の販売を知るのは、受託者からの報告を受けてからです。
この報告には、売上計算書(仕切精算書)が用いられます。
売上計算書が届いて、初めて委託者は、受託者が販売した事実を知る訳です。
そのため、委託販売における原則的な売上計上の時期は、受託者の販売時点ですが、継続的な適用を要件として、売上計算書が到着した時点で売上を計上することが認められています。

このような基準を「仕切精算書到着日基準」などと呼びます。

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委託販売の会計処理

委託販売においては、販売(受託者における販売)以前に、商品が委託者の手許を離れます

しかし、その商品は、委託者の手許にないだけで、委託者の商品です。

そこで、手許にある一般の商品とは区別するために採用されるのが、いわゆる手許商品区分法です。

基本的な処理は、試用販売の場合と同様ですが、処理を掲げておきましょう。

●その都度法
(積送時)
(借)積送品××× (貸)仕入×××
(仕切精算書到着時)
(借)売掛金××× (貸)積送品売上×××
   仕 入×××    積送品  ×××
(決算時)
処理なし

●期末一括法
(積送時)
(借)積送品××× (貸)仕入×××
(仕切精算書到着時)
(借)売掛金××× (貸)積送品売上×××
(決算時)
(借)仕 入××× (貸)積送品  ×××



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委託販売の収益認識基準

【委託販売の収益認識基準】

「委託販売」は、商品の販売を誰か(受託者)に頼む販売形態です。

商品を受託者に発送しただけでは、まだ商品が売れたわけではありません。

したがって、売上は計上しません。

いつ売上を計上するかというと、頼まれた側(受託者)がその商品(委託品)を販売した時点です。

このような基準は、受託者販売日基準とも呼ばれます。


ただし、委託者の側では、受託者の販売の事実を直ちに知ることはできません。

通常、委託者が受託者が販売した事実を知るのは、売上計算書(仕切精算書)と呼ばれる計算書を受け取ってからです。

そこで、継続的適用を前提として売上計算書(仕切精算書)の到着日をもって、売上を計上することも認められています。

このような基準は、「仕切精算書到着日基準」と呼ばれます。



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