税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

試用販売

試用販売

<テキスト記事一覧>
試用販売の会計処理
手許商品区分法・その都度法
手許商品区分法・期末一括法

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試用期間


税理士試験 簿記論 講師日記 全テキスト記事一覧

試用期間

試用販売は、お試し販売です。
顧客に商品を引渡しただけでは、売上は計上しません。
実際に売上をたてるのは、顧客が買取の意思表示をした段階です。

もっとも一般的な試用販売では、買取の明確な意思表示を行うことはむしろ少ないでしょう。
通常は、一定の期間(例えば2週間)がたっても何も意思表示をしなかったら買ったことになりますというパターンではないかと思います。
買いたくない時だけ、一定期間(試用期間)内にイヤという意思表示(返品)をする訳です。

この場合には、試用期間を過ぎても、意思表示がない場合には、売上を計上する必要があります。

実際の出題も(特に第3問を考えると)こちらが絡んでくるケースが多いのではないかと思います。

(関連記事)
試用販売

手許商品区分法・期末一括法

【期末一括法の会計処理】

(1)試送時

(借)試 用 品 80 (貸)仕  入   80


(2)意思表示時

(借)売 掛 金120 (貸)試用品売上120


(3)決算時

(借)仕  入 80 (貸)試用品    80



【その都度法との比較】

手許商品区分法における「その都度法」と「期末一括法」は、試用品売上に見合う売上原価を売上を計上した時点でたてるか、決算で一括してたてるかの違いです。

(1)その都度法

試 送 時:(借)試用品 80 (貸)仕   入 80

意思表示時:(借)売掛金120    試用品売上120
        仕  入 80    試用品  80←この仕訳を決算でやる

(2)期末一括法

試 送 時:(借)試用品 80 (貸)仕   入 80

意思表示時:(借)売掛金120    試用品売上120

決 算 時:(借)仕 入 80    試用品   80



【決算整理前残高試算表の仕入勘定】
その都度法と期末一括法の処理の違いから決算整理前の試算表の仕入勘定の金額も異なっています。

その都度法……通常の仕入−当期試送高+試送品売上原価

期末一括法……通常の仕入−当期試送高

決算整理前の試算表が何を意味するかは、処理方法さえわかっていればわかる筈です。

処理(期中+決算)を追って、丹念にこなしましょう。



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手許商品区分法・その都度法

【期中処理】

原価80円、試用品売価120円の例を、手許商品区分法で示すと、次のとおりです。

(試  送  時)試用品 80 仕   入   80
(意思表示時)売掛金120 試用品売上120
          仕  入 80 試用品    80

試送段階では、一般の仕入と区別するために、仕入勘定から試用品勘定への振替えを行います(仕入勘定を減らして、試用品勘定を増やす)。

仕入の振替えなので、金額は、「原価」です。

なお、試用品勘定は、試送品勘定を用いる場合もあります。


買取意思表示時点(又は試用期間経過時点)では、通常の売上(ただし、試用販売の売上であることを示すために試用品売上、試用売上等の勘定を用いる場合が多い)をたてます。

借方の売掛金については、試用販売は、お試し販売であることが特徴的なのであえて一般の売掛金とわける必要性は乏しいでしょう。



【決算整理の考え方】

上記の例で、決算整理前の残高試算表はどうなっているでしょうか。

仕   入 80
試用品売上120

仕入(勘定に含まれる試用売上原価)、試用品売上ともに適正であり、決算整理は必要ありません。

ただ、ここで注意を促しておきたいのは、この時点での仕入勘定は、

当期の総仕入(0)−当期試送分原価(80)+試用品売上原価(80)

となっていることです。

つまり、仕入勘定に反映されているのは、当期の試送高ではなくて、試送品の売上原価なのです。



【総合問題への対処】
上記が実感できていないと応用的な総合問題はつらいかもしれません。

簡単な数字で自ら整理していれば、ゆっくりとでも頭の中で納得できるようになると思います。

いきなり決算整理前の試算表の問題の解き方から入るのは、本当は感心しません。

問題の景色が変るとまるで歯がたたなくなるのです。

長い目でみた場合には、地味に、期中処理と決算整理を自分の頭で納得することがポイントでしょう。

それを問題を解く力に転換できるかが勝負といえるでしょう。



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試用販売の会計処理

【試用販売の収益認識基準】

試用販売の収益認識時点は、相手方が買取の意思表示をした時点です。

試用販売は、お試し販売に他ならないから、商品を引渡した(発送した)だけで、「売上」とはいえません。

買う側からしても気にいらなければ、返品してしまえばよいのです。

試用販売の収益認識(貸方・売上)時点は、相手方(顧客)が、その商品の買取の意思表示をした時点です。



【試用期間がある場合】

一般的には、販売する側で、一定の期間(試用期間)を設け、その期間内なら返品OK、それを過ぎても返品がなければ、買ったことにするというスタイルが多いです。

そこでこのような場合には、買取の意思表示時点ではなく、試用期間の経過(例えば2週間を過ぎたら)をもって、売上を計上することも認められます。



【試用販売の会計処理】
試用販売の会計処理には、割賦販売と同様に「対照勘定法」があります。

また、試用販売は、割賦販売と異なり、商品引渡時点では、まだ、販売すらされておらず、その商品は、顧客のものではなく、まだ、当社の所有にあります。

そこで、一般的な在庫商品と区別するために、「手許商品区分法」が採用されることが多いです。

手許商品区分法には、売上原価を販売ごとに仕入勘定に振替える「その都度法」と期末において一括して振替える「期末一括法」とがあります。



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期末一括法



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