税理士試験 簿記論 講師日記

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売上原価対立(計上)法と二分法

【売上原価対立(計上)法の会計処理】

分記法や総記法は利益(販売益)のみを計上する方法です。

これに対して、売上原価対立(計上)法は、収益(売上高)と費用(売上原価)を両方たてる方法です。

仕入時:(借)商  品100 (貸)現金預金100
販売時:(借)現金預金150    売  上150
        売上原価100    商  品100


利益50(売上150−売上原価100)が示され、商品勘定の残高も適正なので、決算整理は必要りません。



【売上原価対立(計上)法の特徴】

売上原価対立(計上)法は、商品販売の都度、収益と費用を両建てする方法ですから、大変に素晴らしい方法といえるでしょう。

ただし、分記法の場合に問題となったように、商品販売の都度、売上原価を把握するのは困難です。

売上原価対立(計上)法の場合における

(借)売上原価××× (貸)商  品×××

の仕訳を商品販売のつど行わず、決算時に行う方法を二分法と呼ぶことがあります(この呼称は必ずしも一般的ではありません)。

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なお、「売上原価対立(計上)法」と「二分法」との関係は、特殊商品販売における手許商品区分法の「その都度法」と「期末一括法」の関係と同じです。

このような各処理方法間の相似に目がいくようになれば、商品販売の制覇も近いでしょう。



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総記法の決算整理

【総記法の決算整理】
総記法は仕入時に、借方・原価で商品、販売時に、貸方・売価で商品と処理する方法です。

総記法は、期中は簡便(貸方に売価で商品)ですが、決算がわかりにくいです。

まあ、現実的な利用も考えににくいので、力技でも解ければいいのではないかという気がします。

総記法の決算整理では、商品販売益の金額をもって、

(借)商  品××× (貸)商品販売益×××

という仕訳を行います。

「決算整理前の商品勘定に仮に期末商品を貸方記入した場合の貸方差額」が商品販売益です。



【総記法の決算整理の意味】
上記で充分という気もしますが、その根拠も書いておきましょう。

商品販売益20=売上100−売上原価80
売上原価80=期首30+当期90−期末40

これを前提に、総記法の商品勘定の記入を考えてみると、

(借方)期首30+当期90
(貸方)売上100

この貸借差額(借方20)が、総記法における整理前の残高です。

これ(借方20)に期末40を貸方記入すると貸方20の残になり、これが商品販売益になる訳です。

この計算は、上記の貸方に期末を加えて、

(借方)期首30+当期90
(貸方)売上100+期末40

貸方から借方を引いた金額です。

これを並べると、

貸方(売上100+期末40)−借方(期首30+当期90)

式だけにして、

(売上100+期末40)−(期首30+当期90)

期末40ってのを、最後にもってきて、

(売上100)−(期首30+当期90)+期末40

手前のかっこの中に入れると、

(売上100)−(期首30+当期90−期末40)

って、なんの事はない、売上から売上原価を引いて販売益の計算をしているに過ぎません。

これは、算式よりも勘定で図解した方がわかりやすいかもしれません。

ただ、一度でいいので納得しておいて、後は、「期末商品を商品勘定の貸方に入れた貸方差額」、これでいいのではと思います。




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総記法(※)

【総記法(※)】

分記法は、固定資産と同様の処理であり、まだアプローチしやすい気がします。

しかし、総記法となると思い切り首をかしげてしまいます。

会計士試験での比重は今でもやや高いかもしれませんが、日商簿記検定あたりでは、ほとんど出ていないようです(範囲外ではないでしょうが)。

税理士試験での出題可能性も低いと思います(平成22年に出題されました)。

そもそもこの総記法って、使ってる人が、いるんでしょうか。


一般的な理解としては、簿記の基本原理に照らせば、分記法が自然でしょう。

なにしろ商品という資産が増えた段階で、借方・商品、減った(売れた)段階で貸方・商品とやる訳ですから、簿記の基本的な仕組みに忠実といってよいでしょう。

しかし、商品販売の都度、その売れた商品の仕入原価(売上原価)を把握するのは著しく困難です。

一日に数個しか商品が売れないならともかく、ある程度の量の商品を扱うとするとその売れた商品の原価(売上原価)をいちいち把握するのは面倒でやってられません。

それなら思い切って、売れた段階で、売価で貸方・商品でどうだというのが総記法です。

売れた段階で原価と利益を分けずに、総額で記録するから総記法といったところでしょうか。


仕入時:(借)商  品100 (貸)現金預金100

販売時:(借)現金預金150 (貸)商  品150



【総記法の決算整理】

いま、期首、期末の商品がないとすれば、商品勘定の残は、貸方50です。

売れた段階で貸方・売価で商品とやったことで、商品勘定は、とんでもないことになっています。

これを適正な記録(商品販売益と商品)に戻すためには、当期の商品販売益をもって次の仕訳を行えばよいことになります。


決算時:(借)商  品50 (貸)商品販売益50


こう考えると分記法と総記法の違いは、商品販売益を販売の都度に計上するか、決算で一括して立てるかの違いにあることがわかります。



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分記法

今回は、分記法の会計処理についてです。

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商品勘定の処理

【商品勘定の処理】

商品勘定の処理方法には、様々な種類があり、何をどこまでをやるのかが難しいでしょう。

一般的な処理方法は、三分(割)法であり、実際の出題もほとんどが3分法です。

他の処理方法に力が入らないのも無理はありません。


3分法の典型的な出題をまずクリアすることに全力を注ぐべきです。

ただ、その他の方法も保険としておくべきでしょう。

3分法以外の出題の可能性は低いが、簿記論の合格レベルにあれば他の方法もおさえている(おさえる事は充分可能)という感じかもしれません。


実際の出題は決算整理を中心としたものが多いので、決算整理前から決算整理を軸に考える方が多いようです。

しかし、むしろ大事なのは、期中処理であって、期中処理がわかれば、決算整理はおのずからわかるという理解がベストに近いと思います。

あくまでも「買ったとき」と「売ったとき」の処理です。

決算整理は後でついてきます。


その理解をもって決算整理にのぞめば、それほど難解ではありません。

しかし、決算整理のみに固執すると出口が見えなくなるかもしれません。

いずれにせよ簿記では、財産と損益を計算していることを忘れてはならないでしょう。

なお、いずれの処理方法をとったとしても損益計算書の表示が変る訳ではありません。



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