税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

税効果会計基準

税効果会計基準の読み方(税効果会計基準を読む前に)

税効果会計基準、読んでますか?(←だからまだだって)

何回かにわたって、税効果会計基準をご紹介していこうと思います。

試験でのヤマ度は、エベレストです(←高いってことね)。

要注意です。

はい。



税効果会計基準を読む前に、簡単に計算テキストの特にさわりの部分を読んでおきましょう。

その方が効果が高いです(←税効果だけにね。って、ベタですな)

多くの計算問題を解く場合は、基本的な知識を割とスルーしても大丈夫だったりします。

しかし、理論はそうはいきません。

計算のテキストの最初のほうには、法人税等の簡単な仕組みが書いてある筈です。

そこを読んでから基準を読んだ方がよいでしょう。

計算の復習にもなります。

収益−費用=利益

益金−損金=所得

所得×税率=法人税等

というような箇所です。

法人税法の学習経験のある方にとっては基本中の基本ですが、ある程度の整理は必要です。

税効果会計基準を読む前に、法人税等の簡単な仕組みを確認しておきましょう。

その方が遠回りのように見えて近道だと思います。

法人税等に何が入るのかのチェックも忘れずに!!



そうだ、会計基準を読もう!!(法人税等の簡単な仕組みを確認しておきましょう)



会計基準を読もう!!<目次>

税効果会計基準の読み方(構成とどこを読むか)

税効果会計基準、読んでますか?

何回かにわたって、税効果会計基準をご紹介していこうと思います。

試験での重要性は高いです。

ジャイアント馬場です(←高いんでしょ。けっ)

はい。



基準の構成です。


(1)税効果会計に係る会計基準の設定について(以下「前文」)

(2)税効果会計に係る会計基準(以下「本文」)

(3)税効果会計に係る会計基準注解(以下「注解」)


まずは、本編の個別(連結が入ってます)中心です。

税効果会計基準は、前文が本文とかなりかぶりますので、本文中心でいきましょう。

前文ではずせないのが、次の箇所です。

二 税効果会計の適用の必要性 2の「このうち繰延税金資産は、将来の〜考えられる。」の6行

ここは一字一句に近いです。

繰延税金資産の資産性と繰延税金負債の負債性の話です。

あとは、連結・中間にかかる部分ととりあえず注記(第四)を除いて、本文をよく読みましょう

その後に注解も合せて読んだり、前文部分に目を通す感じでよいと思います。

重要性を競馬予想風にお届けします。

前文6行……………◎
第一…………………◎
第二 一 1〜4…○
第二 二 1〜3…○
第二 二 4〜5…△
第三…………………○
第四…………………△(後で○)

おっと、「資本の部」は、古いので、「純資産の部」に直しておきましょう。



そうだ、会計基準を読もう!!(まずは、本文をしっかり読みましょうね♪)



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税効果会計基準の読み方(税効果会計の名前)

税効果会計基準、読んでますか?

今日は、税効果会計の名前そのものの話です。

名前、どうなんでしょう?

税効果会計は、何か名前で引っかかってしまう部分があるかもしれません(って、いうか私が引っかかりました)。

税効果というと何かスゴイ効果?がある感じです。

でも、税に効果はないです(ただの負担なので)。

で、税繰延会計とか、税配分会計とか、そんな感じの呼び名の方が、実際には近いかもしれません。

理屈は、経過勘定項目(前払費用等)とそんなに違わないと思います。

ちょっと長くなりますが、考えておきましょう。


(1)税引前当期純利益=課税所得のケース

税引前当期純利益(=課税所得)1,000

法人税等(課税所得×40%)………400

当期純利益………………………………600


これはいいです。

でも、法人税法上の損金にならない費用(損金不算入)が、例えば2,000あるとします。

課税所得=1,000+損金不算入2,000=3,000

法人税等=3,000×40%=1,200


(2)税引前当期純利益≠課税所得のケース(税効果なし)

税引前当期純利益…………………1,000

法人税等(課税所得×40%)…1,200

当期純損失?……………………………200


これは、ヤバイです。

当期純損失はヤバイです。

原因は、法人税等と税引前当期純利益の対応関係が崩れているからです。

この対応関係を修復するためには、法人税等を損金不算入2,000×40%だけ、調整(この場合は繰延)すればいいです。

これが税効果会計の考え方です。


(3)税引前当期純利益≠課税所得のケース(税効果あり)

税引前当期純利益………………1,000

法人税等……1,200−800=400

当期純利益……………………………600


当期の費用とすべきではない法人税等(800)を翌期以後の費用として繰延べる。

その意味では経過勘定項目(前払費用)の設定と同じです。


(借)前払費用(資産)800 (貸)法人税(費用)800


ほら、同じじゃないですか。

でも、税効果ですから、実際の仕訳は、次のとおりです。


(借)繰延税金資産800 (貸)法人税等調整額800


で、税「繰延」会計のがいいんじゃないでしょうか。

むむっ。見越もあるから税「見越繰延」会計か。

いや長いか。

税「配分」会計か。

いや、やっぱり税効果会計にしときましょう(って、戻ってますが)。



そうだ、会計基準を読もう!!(税効果会計は、費用収益の見越繰延と変りません。変りません。変りません←3回ですな)



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税効果会計基準の読み方(注解との接し方)

税効果会計基準、読んでますか?

まずは、本編部分(+前文6行)と第一から第三の連結・中間以外(○印以上)を読んでいきましょう。

重要性は高いですよ。


経験的には、税効果会計基準は読みにくいです。

私には、若干の(若干なのね)法人税の知識があります。

それでも距離感は、バリバリです。

法人税になじみのない方は、もっとあるでしょう。

ですから、ゆっくりと本編を段落ごとに区切って読んでいくのがよいかもしれません。

とくかく読む。

とにかく慣れることが第一です。

ある程度、読まないことには、計算項目での参照もできません。

これまでもよく計算や理論の学習時に基準を参照することをススメています。

なぜかというと、経験的に参照(とくに自分視点のケース)で読んだときの方が、通読などよりも理解が深まり、記憶が長持ちするからです。

これは記憶の持ちが何%違うという次元ではありません。

何倍、何十倍という違いがあります。

ただ、その前提として、だいたいでもどこに何が書いてあるのかがわからないと参照する気もおきません。

とにかく慣れる。

「将来減算一時差異」に気持ちで引かないくらい本文を読んでみてください(←気持ちが大事です。)

私なんか毎日、将来減算一時差異です(←ウソの上に、意味がわかりませんが)。


さて、今日は、注解との接し方についてです。

最近の会計基準では、本編部分に注解が織り込まれたりします。

ある程度、本編になじんできたら、本編とあわせて注解も読むとよいでしょう。

税効果会計基準の注解は、死ぬほど大事という感じではありませんが、これは全く不要というものもありません(残念です)。

あくまでも本編部分を優先させる感じてよいと思います。

その後でよいですので、注解部分も本編とあわせて(むしろ本編部分とセットで)読んでいきましょう。

おっと、注3の利益処分は、剰余金の処分にかえておきましょう。



そうだ、会計基準を読もう!!(まずは、本編。その後に注解もねっ♪)


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税効果会計基準の読み方(法人税等)

税効果会計基準、読んでますか?

税効果会計基準の重要性は高いです。

それほど長くはありませんので、しっかりいきましょう。


いろいろな会計基準とどう取り組めばよいのかは、意外に難しいです。

すごく大事な基準もあれば、そんなに大事でない基準もあります。

短い基準もあれば、長い基準もあります。

同じ基準の中に重要な規定もあれば、それほど重要でない規定もあります。

基準とどう付き合っていけばよいのかは、なかなか一言ではいえません。

新しい企業会計基準委員会のつくったものは、理論的に一貫していて、長いです。

ただ、以前の基準はいろいろです。

両方の基準が混在している現在は、基準ごとにやや読み方を変えていく必要があるかもしれません。



で、税効果会計基準です。

税効果会計基準は、必ずしも長くはありません。

ですので、とりあげ方についてもテーマ性をもってお送りしています。

今回は、「法人税等」です。

損益計算上は、「法人税、住民税及び事業税」です。

基準の第一に、次のようにあります。

(1)「法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金」

これは、「内容」を踏まえた定義といってよいでしょう。



注1には、次のようにあります。

(2)「法人税等には、法人税のほか、都道府県民税、市町村民税及び利益に関連する金額を課税標準とする事業税が含まれる」

ここでは、法人税等に該当するものが「列挙」されています。



いずれも法人税等は「何?」に関する記述です。

(1)が、内容に着目し、(2)が具体的に列挙しています。

(1)内容……利益に連動した税金

(2)列挙……法人税、都道府県民税、市町村民税、利益に連動する課税標準

計算では、(2)列挙がしっかりしていばよいです。

しかし、理論では、内容を踏まえた定義が大事ですよね。



定義の仕方にも二種類あるんですね。

で、内容を踏まえた重要な概念の定義を短い言葉でいえるようにしておくことは重要です。

それは、定義は、抜けたとき(忘れたとき)に、まず出てこないからです。

計算に関係のある項目や自分視点で解決した「何?」は、文章として忘れた場合でも、ある程度の復帰が可能です。

しかし、定義は厳しいです。

よそから引っ張ってこれないという意味でも重要性は高いです。

しっかりといきましょう。


そもそも利益(所得)に連動する租税を費用と考える。

そこに税効果会計の出発点があります。

これが、利益の処分(剰余金の処分)であれば、利益と法人税等との関係を考える必要はありません。

利益が出た後の話であれば、そもそも対応関係を考える必要がないからです。

法人税等のもとになる利益と所得(あるいは、資産と負債)が企業会計と法人税法とで異なるので、税効果会計が必要になる訳です。

法人税等って何?

税効果会計の学習の前提として意識しておきましょう。



そうだ、会計基準を読もう!!(大事な定義規定は、きっちりだよん←「だよん」できましたか)


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税効果会計基準の読み方(定義)

税効果会計基準、読んでますか?

本文は、それほど長くありません。

しかし、じっくり読まないと意味がとりにくいです。

「第一」なんかは、じっくりと読みましょう。

じっくりとコツコツがコツです(なるほど)。



企業会計原則には、「何?」があまり書いてません。

新しい会計基準には、多くの「何?」が書いてあります。

実際の試験では、「何?」を前提とした「何故?」等が聞かれることが多いです。

でも、「何?」をおろそかにして、「何故?」だけをおさえるなんて芸当はできません。

少なくとも私にはムリです。


税効果会計基準にある「何?」に注目してみましょう。

基準の定義部分(〜とは)は、用語をマークして、定義部分を「」でくくるとよいでしょう。

例によって私は、インチキ(←自分で言ってますが)でいきます。


一時差異………………会計と税務の資産・負債の違い

将来減算一時差異……将来に所得が減る一時差異

将来加算一時差異……将来に所得が増える一時差異

一時差異等……………一時差異+繰越欠損金等


とにかく最低限、上記の内容はずさないようにして、基準の定義部分はしっかりと読みましょう。

はじめから一字一句をめざすのは、案外と効率が悪かったりします。

すぐ忘れちゃうんですよね(私だけ?)。

もっと簡単に短くいうとどうなの?

そこから入って、じゃあちゃんというとどうなの?

だんだんとふくらませていく感じがよいです。

段階をふむ方がもちろん時間がかかります。

でもそれを勧めるのは、記憶の定着率が高いからです。

全部についてそれをやっている時間はありません。

でも、重要な個所だけでもやっておくとよいです。

基準(これは全般ですが)の重要な定義については、覚えるというより短くいえるようにする(どこが違うのかという話はありますが)。

そして、計算の内容を言葉で確認する感じでしっかりと読むとよいと思います(←これが難しいですが)。



そうだ、会計基準を読もう!!(定義はしっかり、でもはじめは短くわかりやすい言葉でねっ♪♪←2個?)



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税効果会計基準の読み方(資産負債法と繰延法)

税効果会計基準、読んでますか?

税効果会計の重要性は、極めて高いです。

このブログのレベルと同じくらいです。

いや、高いんですってば。

これ、ホント(いや、どっち?)。




今回は、税効果会計の方法、資産負債法と繰延法についてです。

会計上の資産・負債の違いに注目した方法が資産負債法です。

会計上の収益・費用と税務上の益金・損金の違いに注目した方法が繰延法です。


将来減算一時差異を例にとれば、次のような会計処理が行われます。


(借)繰延税金資産××× (貸)法人税等調整額×××


すごく単純には、借方:繰延税金資産に着目したのが、資産負債法です。

貸方:法人税等調整額に着目したのが繰延法です。


資産負債アプローチ→資産負債法

収益費用アプローチ→繰延法

といってもよいです。


とすると繰延法をいったん収益費用法と読み替えた方が、わかりやすいかもしれません。

以前にご紹介した税「繰延」会計とか、税「配分」会計の方が名前として適切じゃないのか。

そんな場合は、繰延法的な考え方が土台にある感じでしょうか。

概念フレームワークの資産概念を元に繰延税金資産の資産性を説明する。

こんな場合は、資産負債法を前提にしている感じです。

で、税効果会計基準の「第一」では、………こりゃ、混じってる感じかもしれないですね。

前段が資産負債法的で、後段が繰延法的です。

この「第一」からは必ずしも明らかではありませんが、税効果会計基準では、資産負債法がとられています(前文の三の最初です)。

ここの「資産負債法」という語には、マーカーを入れておきましょう。



資産負債法と繰延法での違い部分を税効果会計基準で拾っておきましょう。

(1)第二 一 4(本文2行)……繰越欠損金等に対する適用

(2)第二 二 2(3行)……差異の解消期の税率を適用

(3)第二 二 3 ただし書(4行)……その他有価証券評価差額金に対する適用


この3点が、資産負債法と繰延法の違いになります。

これはどう考えても重要です。

該当箇所をマークして、「繰延法との違い」なんてコメントを入れておくとよいでしょう。

資産負債法と繰延法の簡単な説明と両者の違いはとても重要なので、しっかりといきましょう。

税効果会計は、ヤマといってよいと思います。

より発展的な論点の前に、税効果会計基準をしっかりと読んでおきましょう。

税効果会計基準については、ひとまず終了です。

税効果会計基準は、長くはありません。

で、やや発展的な論点もあります。

そのうちのいくつかは後に本ブログでも取り上げる予定です。

それまでに税効果会計基準をしっかり読んでおきましょう。

まずは、本文です。

その後→+注解→+意見書という具合に広げていきましょう。

また、忘れた頃に読んでますか?って聞きますよ。

たまには、通しで、参照はコマ目に読んでみてください。


そうだ、会計基準を読もう!!(資産負債法と繰延法の違いは大事ですよね♪)



会計基準を読もう!!<目次>
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