税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

許容勘定科目の話

許容勘定科目の話(前払費用・未収収益・未払費用・前受収益)

(利息の例)

◎前払利息、未収利息、未払利息、前受利息
○前払費用・未収収益・未払費用・前受収益

経過勘定についてです。

前払費用を例にとれば、勘定科目としては、前払利息、前払保険料等の方が一般的といってよいかもしれませんが、前払費用でもかまいません。

正式な貸借対照表の表示科目は、前払費用です。

簡易とはいえ、解答要求が貸借対照表である場合は、前払費用になる点に注意しましょう。

許容勘定科目の話(貸付金)

◎貸付金
○従業員貸付金

貸付金については、従業員に対するものを従業員貸付金とすることもあります。
簿記論では、財務諸表の表示を意識した短期貸付金・長期貸付金が用いられることは多くありません。
いずれも勘定科目というよりは、財務諸表の表示科目ですが、もちろん試算表で用いられていればこれを尊重すべきです。

資金の貸付時に手形を受け入れた場合には、受取手形勘定ではなく、手形貸付金勘定で処理するのが一般的です。
受取手形では、誤りになりますので、注意しましょう。
手形貸付金については、単に貸付金でも誤りではありませんが、手形貸付金とすることが多いようです。

許容勘定科目の話(未収金)

◎未収金
○未収入金

固定資産の譲渡代金等の未収を処理する勘定科目です。
未収金が一般的ですが、未収入金が使われることもあります。

消費税や法人税などの還付未収金については、他の未収金と区別するのが一般的です。
消費税の未収については、未収消費税、法人税の未収については、未収法人税等が用いられる場合が多いです。

許容勘定科目の話(立替金)

◎立替金
○従業員立替金

立替金については、従業員立替金などとする場合もあります。
日商の許容勘定科目としては、従業員立替金がメインになっていますが、簿記論では、立替金が多い感じでしょうか。


簿記の受験指導をはじめた時に、3級の問題集を1冊といてみました。
間違いはたくさんありました(って、ダメじゃん)。
ただ、補助簿を除くと(←何故除く?)マジでダメだったのが次の2点でした。

(1)従業員への給料の前貸し
貸付金×、立替金○

(2)商品券
こんなのやったか?と思いつつ、商品券(負債)は出てきたものの、他店商品券(資産)は出てきませんでした。

いずれも簿記論で合否に絡んでくる項目とはとてもいえませんですが、3級の範囲でももちろんバカにできないことを痛感しました。

2級でも同様の事をやったんですが、これは多すぎて(恥ずかしくて)いえませんので、内緒です。
へへへ(←ダメなやつ)。

許容勘定科目の話(前渡金)

◎前渡金
○前払金
△前払手付金、支払手付金

商品代金の前払いについてです。

日商簿記検定では、「前払金」がメイン科目となっています。

簿記論では、財務諸表の表示が前渡金であることからも「前渡金」を軸にした方がよいかもしれません。
でも、仕訳で書くときは、前払金の方が画数が少なくていいか(って、軟弱な)。

前払手付金とか、支払手付金あたりは、ほとんどみませんが、仮に試算表にあったらそれを使うという感じでよいのではないかと思います。

許容勘定科目の話(消耗品)

◎消耗品
○事務用消耗品

消耗品については、日商の許容勘定科目表をみますと、事務用消耗品がありますが、あまり、簿記論ではみかけないかもしれません。
むしろ、期中は、費用処理しておいて、決算で未使用分を計上する場合に、貯蔵品勘定を使用する場合の方が多いかもしれません。

消耗品の処理には、次の二つがあります。

(1)期中に資産処理する方法
購入時:(借)消 耗 品100 (貸)現  金100

決算時:(借)消耗品費 30 (貸)消 耗 品 30

(2)期中に費用処理する方法
購入時:(借)消耗品費100 (貸)現  金100

決算時:(借)消 耗 品 70 (貸)消耗品費 70

いずれの方法をとっても決算整理後の試算表の金額は同じになることは確認しておいてください。
また、期中に費用処理する方法の場合には、翌期首に決算時の逆仕訳が必要になる点に注意しましょう。
って、許容勘定科目の話じゃなくなってますが。

許容勘定科目の話(売買目的有価証券)

◎有価証券
○売買目的有価証券

有価証券は評価上の4区分と勘定科目とが必ずしもリンクしている訳ではないので、面倒なところでしょうか。
日商の許容勘定科目表では、売買目的有価証券がメイン科目で、有価証券が許容科目です。
このあたりも4区分と同じでいくならそうなってもらいたい気もします。

勘定科目自体は、企業の自由という面があります。
ただ、一般的な科目が一個しかないものも多くありますし、学習上も最初から複数の科目を登場させても、混乱が大きくなる可能性はあります。
日商では、許容勘定科目表というのを定めて、メイン科目を決めていますので、参考書籍や模範解答でも勘定科目のバラツキは少ないです。
でも、税理士試験は、4人の試験委員がいて、それぞれの任期が3年で、それぞれが勝手に(失礼な)に問題を作っていますので、時々きいたことのないような勘定科目名が登場することもあります。
その対処法としては、あらかじめ複数の勘定科目になれておく必要もあるでしょう。

勘定科目としては、すべての有価証券を「有価証券」勘定で処理するということも考えられなくはありません。

いずれにせよ、慣れでしょうか(って、そんなオチ?←いや、オチはいらんでしょ)。

許容勘定科目の話(割賦売掛金)

ちと、競馬予想風にお届けします。

◎割賦売掛金
○割賦未収金
△割賦販売売掛金

割賦売掛金をはじめとする特殊商品販売についての許容勘定科目は多いです。
割賦販売の借方科目では、割賦売掛金以外ですと割賦未収金、割賦販売売掛金あたりでしょうか。

処理方法との関係もあって、混乱しがちかもしれません。
私は、次のような感じで対処していました。

(1)自分で仕訳をきるときは、科目を決めてしまう(対照勘定は、割賦未収金と割賦仮売上でした)。

(2)総合問題では、試算表の科目に忠実に従う。

対照勘定法で使用される勘定科目の例はとても多いですが、覚える必要はないと思います。
試算表に貸借に同額で登場する訳ですから、最初に試算表を眺めて(気づいた段階)で、軽くマークしておくとよいと思います(←推奨、黄色のマーカー。って、色はいいか)。
見慣れない勘定でもびびらないことが肝心かもしれません。

許容勘定科目の話(売掛金・受取手形)

受取手形と売掛金については、それ以外の勘定科目はあまり使われません。
売掛金については、商品販売以外(役務提供)に、営業未収金といった勘定科目が利用されることはあります。
あえていうとすれば、受取手形と売掛金をあわせて、売上債権や営業債権という「勘定科目」が使用されることはあるでしょう。
問題としては、それほど重視していない場合に、ただ単に一括しているという程度の意味しかありませんが。

以下、参考程度の話です。
商工会議所の許容勘定科目表には、人名勘定(○○商店)がありますが、最近は、人名勘定自体の記述を見ることが少なくなりました。
試験的にも出題の可能性は低いといってよいと思います。
人名勘定は、そのものズバリ人名(会社名等)です。
考え方としては、本支店勘定などと同じで、例えば、A商店に商品を売り渡したという場合に、通常は、次の仕訳を行います。

(借)売 掛 金××× (貸)売  上×××

これを、次のように仕訳します。

(借)A 商 店××× (貸)売  上×××

この場合の「A商店」が人名勘定です。
もちろん、意味は、売掛金勘定(の細分化されたもの)です。
その延長線上に補助簿があると考えると帳簿組織にも取組みやす………くはないか(残念)。

許容勘定科目の話(当座預金)

当座預金については、簿記論では、「現金預金」と一括される場合も少なくありません。

当座借越契約を結んでいる場合の標準的な科目の組み合わせは次のような感じでしょうか。

(一勘定制)
当座(当座預金)

(二勘定制)
資産……当座預金
負債……当座借越

二勘定制は、一つの勘定科目が資産になったり、負債になったりするのを嫌う処理方法ということになるでしょう。
資産としての科目には、当座預金を使い、負債としての科目には、当座借越を使うのが一般的です。
一勘定制を採用した場合には、当座勘定には、資産と負債が混在(時には資産、時には負債)することになりますので、これを一般的には、資産を意味する「当座預金」という勘定科目名は使用しにくい面はあるかもしれません。
もっとも、勘定科目はただの名前と割り切ってしまえば、当座預金でも構わないでしょうから、「一勘定制での当座預金」も軽く意識しておかれるとよろしいのではないかと思います。

(関連記事)
一勘定制と二勘定制

許容勘定科目(現金預金)

日商の簿記検定試験には、許容勘定科目表というのがあります。

メインの科目はこれで、他にはこれでもいいよという表です。

ですのでテキスト等も使用科目が安定します。

これに対して、税理士試験の簿記論は、結構、不安定です。

もちろん、入口の段階では、一般的な勘定科目で入るべきだと思います。

最初からでは混乱してしまいますので。

最終的には、ある程度、複数の勘定科目にもなじむべきでしょう。

その意味で、範囲の学習が終了した後にでも役立ちそうな事を勘定科目ごとに書きとめておこうと思います。

まずは、現金預金です。

実際の実務で、「現金預金」という勘定科目が使われることは少ないでしょう。

でも、簿記論ではありです。

もちろん、現金、当座預金、普通預金等といった使い方がされる場合があります。

総合問題の中で仕訳が要求される場合は、解答の指示や試算表の科目には、くれぐれも注意しましょう。
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