税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

簿記一巡

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簿記上の取引
再振替仕訳の出題形態
資本振替と損益振替


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再振替仕訳の出題形態

ある項目が実際の出題にどう反映されているか。

そんなことを考えてながら問題に接していると応用問題や初見の問題に強くなるハズ。

で、取り上げたいのが再振替仕訳です。

今までにも再振替仕訳については、煮たり、焼いたりしています。

これまでの主な記事は次のとおりです。

再振替仕訳

再振替仕訳とは何か(1)から(9)


決算整理時に行われた「経過勘定項目設定時の翌期首における逆仕訳」が再振替仕訳です。

この再振替仕訳の出題形態を考えてみましょう。
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簿記上の取引

簿記上の取引とは、ちゃんというと「簿記上の資産・負債・資本に増減を生じさせる経済事象」です。
資産・負債・資本が増えたり減ったりする出来事、それが簿記上の取引です。

商品の販売契約を交わすことを「一般的には」取引といいます。
しかし、簿記上の取引ではありません。

火災で商品が燃えても、一般的には取引といいませんが、簿記上の取引には該当します。

商品や固定資産の場合は、販売契約をかわしただけでは簿記上の取引に該当しません。
当座借越契約を締結した場合も同じです。

ちと違うのが有価証券です。
正確には、金融資産・負債といった方がよいでしょう。

有価証券は、約定(契約)時点で発生・消滅を認識します。
契約を交わした段階で簿記上の取引に該当し、仕訳も必要です。


【関連記事】
有価証券の増加を記録するタイミング


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簿記一巡の手続考

【簿記一巡】
簿記一巡の手続は、次のような手順で行います。


(1)開始 → (2)期中 → (3)決算(整理+振替)


これを取引に着目すると、次のように区分できます。


期中      → 対外的取引

決算整理    → 損益(財産)の整理

開始、決算振替 → 形式的


「期中」は、相手のいる実際の取引。

「決算整理」は、相手はいないけど、実際に損益や財産に影響する取引。

「開始、決算振替」は、あくまでも簿記の手続上で必要な形式的手続です。



【簿記一巡の手続考】
相手の存在する対外的取引(「期中取引」)は、実際に資産・負債科目が動く場合が多いので、比較的、わかりやすいと思います。

問題で頻繁に問われるのが「決算整理」です。

よく出題される分、学習の比重も置かれます。

ここから抜け落ちるのが、「開始手続」と「決算振替手続」です。

いずれも相手が存在したり、損益等を確定させるための手続ではなく、わかりにくいです。

これらが「形式的」な手続であることを把握していないと、何のためにやっているのか?がわかりにくく、苦手意識を持ちやすいと思います。

「開始手続」は、英米式を前提とすれば、開始記入(前期繰越の記録)と再振替仕訳からなりますが、帳簿組織の学習の際には、重要性は高いといえます。

もっともわかりにくいのが、「決算振替」でしょう。

決算振替は、「損益振替」(収益費用勘定の損益勘定への振替)と「資本振替」(損益勘定の資本勘定への振替)からなります。

個人企業における資本振替の相手勘定は、「繰越利益剰余金」ではなく、「資本金」勘定であることには充分注意しましょう。



【関連記事】
簿記一巡の手続
損益振替と資本振替


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勘定科目と表示科目

【勘定科目と表示科目】
仕訳で用いる科目が「勘定科目」です。

損益計算書や貸借対照表で用いる科目が「表示科目」です。

税理士試験の簿記論では、財務諸表論ほど意識する必要はありませんが、両者を明確に区別しましょう。


勘定科目……仕訳→元帳→試算表

表示科目……財務諸表(損益計算書、貸借対照表等)


元帳の記録を集約したのが試算表です。

試算表で用いるのは、「勘定科目」です。

試算表が資料として与えられ、部分的な仕訳が要求されたら試算表の科目(勘定科目)を使います。

損益計算書や貸借対照表で使うのは、「表示科目」です。

勘定科目ではありません。

精算表における損益計算書欄、貸借対照欄は、スタートが試算表であるため、「表示科目」ではなく、「勘定科目」です。

総合問題の一部で仕訳が要求される場合は、「勘定科目」を使用する点に注意しましょう。


【関連記事】
簿記一巡の手続
簿記一巡の手続考


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再振替仕訳

【再振替仕訳の行われるタイミング】
簿記一巡の手続のスタートは、英米式を前提とすれば、元帳に前期繰越の記入を行うことから始まります(開始記入)。

その後に行われるのが「再振替仕訳」です。


【再振替仕訳の意味】
「再振替仕訳」とは、「前期末に行われた経過勘定項目(前払費用・前受収益・未払費用・未収収益)設定時の逆仕訳」です。

特に「期首試算表」や「前期の繰越試算表」が資料として与えられている場合は、指示がなくてもこの再振替仕訳を行う必要があります。

また、「決算整理前残高試算表」が資料として与えられていても、再振替仕訳をしていない(忘れている)場合があります。

この場合は、決算整理として再振替仕訳を行いましょう。


【再振替仕訳の行われる理由】
この再振替仕訳が行われる理由としては、

(1)理論的には、経過勘定項目に関する異なる処理方法(直接整理法と間接整理法)をとった場合でも期中取引に入る段階での帳簿記録を同じくするため。

(2)実践的には、再振替仕訳を行わなかった場合に、これを消し込むのが面倒なため。

といった説明がなされることが多いようです。


【参照記事】
再振替仕訳とは何か(1)〜(9)


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簿記一巡の手続考
再振替仕訳の出題形態


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簿記一巡の手続

【簿記一巡の手続の重要性】

簿記一巡の手続は重要です。

個別項目の理解の段階では、そのことをさほど感じないかもしれません。

しかし、特に総合問題を解く段階で、意識していないとつらいです。

総合問題対策として、とにかく入れてしまう(記憶する)のも手でしょう。

とにかく重要です。



【簿記一巡の手続】
大まかな簿記一巡の流れは、次のとおりです。


(1)開始手続 → (2)期中手続 →(3)決算手続(決算整理+決算振替)


【簿記一巡と試算表】

簿記一巡の手続の流れの中で作成される「試算表」の位置付けは特に重要です。

試算表は、勘定科目の残高や合計の集計表です。

資料として与えられることも多く、その数値の意味を正確に把握しないと処理ができも、きちんと解答できません。


期首試算表(前期繰越試算表)→(1)開始 →(2)期中 →

決算整理前試算表 → (3)決算(整理) →

決算整理後試算表


問題で与えられた資料の解答要求をよく確認しましょう。


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