税理士試験 簿記論 講師日記

税理士試験 簿記論、財務諸表論、簿記検定の問題、学習方法等をアドバイス。

どこまでをやるか?

どこまでをやるのか?(簿記一巡)

やや(かなり)くどめですが、簿記一巡の流れを。

(1)開始手続
開始記入(英米式)・開始仕訳 → 再振替仕訳
(2)期中手続
(3)決算手続
決算整理 → 決算振替(損益振替→資本振替)

総合問題の出題で注意しなければならない点をあげておきましょう。

(1)再振替仕訳
まずは、再振替仕訳です。
前期末試算表、期首試算表スタートの出題の場合に、試算表に経過勘定項目が残っていれば、再振替仕訳を行う必要があります。
決算整理前試算表スタートの場合でも、試算表に経過勘定項目が残っていれば、もちろんやる必要があります。

(2)個人企業の資本振替
個人企業の資本振替(損益××× 資本金×××)の貸方勘定科目は、資本金です。
未処分利益を使うのは、会社です。

(3)試算表の種類
整理前試算表に決算整理を加味したのが、決算整理後試算表です。
まだ、決算振替が行われていない訳ですから、決算整理後試算表の繰越利益剰余金勘定は、決算整理前と何ら異なりません。
このような試算表レベルの話も簿記一巡の手続きがしっかりと身についていれば、恐れることはないといってよいのではないでしょうか。

(損益振替)
(借)収益の勘定××× (貸)損   益×××
   損   益×××    費用の勘定×××

(資本振替)
(借)損   益××× (貸)繰越利益剰余金×××

どこまでをやるのか?(特殊商品販売)

特殊商品販売は悩ましい。

新基準全盛の今、従来的な論点の比重は相対的に低くなっているといえるでしょう。
中でも帳簿組織(特に特殊仕訳帳)の実践的な重要性は低く、試験での出題のウェイトにも反映しているといってよいと思います。
これに対して、一般の商品販売や固定資産取引の重要性が「相対的に」低くなることはあっても、重要性そのものが低くなることはないでしょう。
新基準が導入されても商品販売や固定資産取引が無くなる訳ではありません。
相対的なウェイトが下がるだけの話でしょう。
むしろ、ある種のバランス感覚が働き、新基準とバランスよく出題しようという意向が働く可能性の方が高いのではないかと思います。

それでは特殊商品販売はどうなのかです。
結論的には、近年の出題は多いので、どう考えてもやらざるを得ません。
実は、平成16年度の第3問で、あれほど特殊商品販売が手厚いことに少し驚きました。
平成15年の出題が手厚かっただけに連年は厳しいです。

割賦、試用、委託あたりはもちろんやっておく必要があるでしょう。
難易度が高い場合は、実は、合否にあまり影響を与えない可能性が高いです。
しかし、難易度が低いケースが問題です。

実際のところ、割賦販売が出題されやすいというのも、実践的な重要性があるという訳ではなく、それが難しくできるから!という程度の理由でしかないであろうことは、なんか釈然としないですが、やっぱりやるしかないでしょう。

どこまでをやるのか?(合併、株式交換・移転、会社分割)

合併については、やはり皆さんもいやだなーと思われているのは、配点の大きい本格的出題ではないかと思います。

本格的出題があるとすると第3問での可能性が高いのではないでしょうか。

無論、小問での、第1問・第2問での出題はあり得るでしょう。

第3問での出題がなされた場合には、極めて難易度が高くなる傾向があります。

この場合に大事な事は、一つです。

「あきらめてはいけません。」

第3問で、全面的に合併等を絡ませた出題がなされた場合には、難易度が高い可能性が高いですが、その場合にも解ける箇所は必ずある筈です。

そこを外さないためにも、例えできないなと感じても、いや、合併が出来なかったとしても、決してあきらめてはいけません。

あきらめた瞬間に細かい部分に目がいかなくなります。

問題を解く気力が無くなります。

とにかくできる箇所をやる。

それがとても大事です(このことは答練レベルでもいえることだと思います)。

第1問・2問の小問での出題の場合、基本的な事項の出題時は、慎重に対応する必要があるでしょう。

また、やや難解な出題がある可能性もありますが、小問での出題時は、あまり、時間をかけないことが重要かと思います。

ただし合併等は、ちょっとやっていないと勘がにぶるという面があるかと思います。

その意味では、典型的な出題(それほど難易度の高くない総合問題)については充分習熟しておく必要があるでしょう。

どこまでをやるのか?(デリバティブ)

デリバティブは、税理士試験では、頻出という感じではありません。
ただ、公認会計士試験での出題実績は多いですし、日商1級での出題実績もあります。
今後は、やっておかなければならない項目になっていくのではないかと思います。

ただ、非常に難易度が高いものも多く、分岐が多いのが特徴です。
いくらやってもまだあるのかといった感があります。
あまり細かい点を追いかけるのは得策ではありません。
もっとも為替予約(デリバティブの一種です)は、別格と考えてください。
振当処理も、独立処理もバリバリにこなせるようにしておくべきでしょう。

デリバティブ関連でおさえて欲しいと思うのは、次の2点です。

(1)ヘッジ会計(時価ヘッジと繰延ヘッジ)
会計基準における取扱いを考えてもヘッジ会計は外せないと思います。
ヘッジ会計の基本をその他有価証券を例にとって考えてみるといいかと思います。
有価証券の評価がしっかりしていれば、それほど難解という訳ではありません。
時価ヘッジ会計は、現状では、このその他有価証券にしか適用がありませんので、時価ヘッジと繰延ヘッジを比較するには、これしかないということになります。

(2)スワップ取引
それ以外のデリバティブ取引といっても出題される可能性が高いとするとやはり現実的な利用の多いスワップあたりではないでしょうか。
金融商品会計基準の制定以前にも税理士試験での出題事績があります。
これも会計処理が面倒というよりも、取引そのものがややこしいというのが難点で、ムリに会計処理をおさえるというよりも、取引の仕組みの理解に重点をおくべきではないかと思います。

どこまでをやるのか?(全般)

直前の答練等では、かなり細かい部分が出題されたりします。
どこまでをやるのかの判断は難しいと思います。
そこで、あくまでも一つの考え方ですが、判断基準を示しておきます。

それは次の三点です(出題予想という点からするとその他に過去の出題実績や近時のトピックスかどうかも加味すべきでしょう)。
(1)会計基準に規定があるかどうか
(2)一般的か、特殊か
(3)理論的に重要か否か

(1)会計基準との関係
会計基準に規定がない項目が出題されない訳ではありません。
また、商品販売や固定資産取引等は、会計基準に規定のない部分も少なくないでしょう。
しかし、会計基準に規定されるような分野(金融商品等)で、会計基準に全く規定がなく、実務指針にいきなり規定されているような項目は、出題されたとしても結果として必ずしも合否に影響しない可能性が高いと考えられます。
つまりは、後回しにすべきだと思います。

(2)実際の利用
もう一つが、実際に利用されているか否かです。
全くないしはほとんど利用されていない処理が出題されることは、やや考えにくいです。
これは、実務経験がなければ、なかなか想像しにくいでしょうが、現実的な利用と実際の出題とはゆるやかにリンクしているといってよいと思います。
例えば、リース取引における貸手の会計処理として、売買処理は、現実的には、採用されていないのではないかと思います。
このようなケースは、実際には、出題しにくい項目といってよいでしょう。

(3)理論的な重要性
理論的に重要であると出題者が考えた場合には、(1)、(2)の点では、重要性があるとは考えにくくても、出題されることがあります。
特殊仕訳帳制度などは、「現実的な利用」は皆無といってよいでしょう。
出題者が出題するとすれば、「理論的に重要」と考えている場合が多いといってよいのではないでしょうか。

(1)から(3)のうちに、外形的に区別がつきやすいのは、(1)です。
会計基準に実際に規定されているのかをみればよい訳ですから。
その意味では、金融商品、税効果、退職給付等の会計基準が明確に存在する分野については、会計基準に規定されているのか否かを、ラフなやるかやらないかの基準にするとよいのではないかと思います。

後は、個別に聞いてください(って、なんじゃそりゃみたいな)。

どこまでをやるのか?(商的工業簿記)

商的工業簿記の出題も本支店会計と同様、過去の出題実績は、まあ多いといったところではないかと思います。
典型的な出題については、充分習熟しておく必要があるでしょう。
特に原価と期間費用への割り振りは、「慣れ」の要素が大きいですから、典型的な出題での演習は不可欠でしょう。
ちなみに、平成17年の第3問が、ソフトウェアの製造業でした(ビックリです)。
簿記論での出題を考える場合に、適用業種の限定がない場合(個別問題に多い)と適用業種の限定がある場合(総合問題に多い)があります。
特に第三問では、ある程度の業種が想定されている場合が多いです。
出題のしやすさや実際の企業の数からして次のような感じで出題可能性があるといってよいのではないでしょうか。

(1)商業・サービス業 → (2)製造業 → (3)建設業

商業やサービス業に必要な簿記の知識は、いわば他のすべての業種にも共通的に必要ですから、対策が必要なのは、(2)製造業、(3)建設業あたりでしょうか。
まさか、例えば、ガス会社が出題されるということも考えにくいでしょう。
製造業は、とっても想定しやすい業種になると思います。

もっとも簿記論の製造業では、本支店会計と同様に、決算整理等のウェイトも高い場合が多いので、基礎的な個別項目の補強は、構造論点の出題への対処にも直につながることになります。
と、商的工業簿記+個別項目の見直しということでよろしくお願いいたします(って、本支店の時と同じか)。

どこまでをやるのか?(本支店会計)

本支店会計は、簿記論固有(財務諸表論での出題が考えにくい)といってもよく、そもそもの重要性は高く、出題頻度も多いです。
この点は、同様に構造論点と呼ばれる帳簿組織とは、その重要性の位置付けは、まるで違うといってよいでしょう。
ここ数年間は、本支店会計の出題がありません。
ということで、第1問(又は第2問)ないしは第3問での出題が想定しやすいと思います。
場合によると2問(第1問と第3問など)もあるかなあ(かなあです)などとも思っています。

第1問(又は第2問)で本支店が出題される場合には、実際の難易度とは別に典型的な本支店会計という感じの出題になりやすいようです。
これに対して、第3問で出題された場合には、何か付加的な要素(複数支店等)が加わる等の難易度が上がった出題が考えられないではないでしょう(出ないで欲しいですが)。

という訳で、本当に重点的にやっておくべきでしょう。
典型的な本支店間取引、内部利益の除去については、充分習熟しておく必要があると思います。
特に内部利益については、その付加の関係を簡単に図示するなどの工夫は不可欠でしょう。
また、合併財務諸表の作成だけではなく、帳簿記録にも充分習熟しておいて欲しいと思います。

もっとも簿記論の本支店会計では、割と通常の決算整理等のウェイトも高い場合が多いので、基礎的な個別項目の補強は、構造論点の出題への対処にも直につながることになります。
特に第3問で、構造的に難易度の高い出題の場合には、結局は、個別論点(通常の決算整理等)で決まってしまうという場合も少なくありません。

と、本支店会計+個別項目の見直しということでよろしくお願いいたします(ちと意味不明?)。

どこまでをやるのか?(帳簿組織)

令和4年(第71回)第一問では、単式簿記!が出題されています。

かつては税理士試験で重要項目であった帳簿組織をどこまでやるのか?を考えてみました。
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どこまでをやるのか?(CF計算書)

キャッシュ・フロー計算書は、平成19年に直接法での出題がありました。
出題はキャッシュ・フロー計算書を資料とした総合問題という感じです。
今後、間接法も含めて十分な習熟が望まれます。

特殊な論点を除けば、キャッシュ・フロー計算書の作成は、むしろ極めて簿記チックという面が強いでしょう。
逆にいえば、簿記の基礎的な力があれば、キャッシュ・フロー計算書は、「ある程度は」できる筈です。
その意味では、基礎的な出題に対する習熟をはかっておく必要はあると思います。
また、キャッシュ・フロー計算書の学習は、推定簿記に対する対処の意味でも有効ではないかと思います。
ただし、あまり特殊な論点にまで踏み込む必要はないでしょう。
基礎・応用期で学習した項目、ごくシンプルな直接法と間接法によるキャッシュ・フロー計算書の作成で充分な筈です。

基礎的な個別項目、あるいは構造論点でも本支店、合併、商的工業簿記・建設業会計あたりに学習上の不備を感じるならそちらを優先させるべきでしょう。

どこまでをやるのか?(連結)

連結財務諸表や持分法について、どの程度の学習を行えばよいのでしょうか?

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