税理士試験 簿記論 講師日記

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圧縮記帳

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圧縮記帳
直接減額方式
積立金方式
保険差益の圧縮記帳
将来加算一時差異


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将来加算一時差異−積立金方式による圧縮記帳(非減価償却資産の場合)

【積立金方式による圧縮記帳と税効果】
税務上、積立金法式による圧縮記帳が認められています。
剰余金の処分は、損益計算に影響を与えませんが、所得計算上、損金算入が認められます。
圧縮記帳は、課税の減免ではなく、延期制度で、損金算入が行われる会計期間で課税所得と企業利益とでは差異(将来加算一時差異)が生じ、税効果会計が適用されます。
そもそも積立金方式による圧縮記帳は、直接減額方式(や引当金方式)に代えて用いられる方法です。


【会計処理】
一連の会計処理を示しておきましょう。

発生:法人税等調整額××× 繰延税金負債 ××× ← 圧縮額×税率
処分:繰越利益剰余金××× 圧縮積立金  ××× ← 圧縮額−税効果額
解消:繰延税金負債 ××× 法人税等調整額×××
圧縮積立金  ××× 繰越利益剰余金×××


【注意点】
税効果会計を適用する金額は、圧縮額に税率を乗じた金額です。
剰余金の処分で、圧縮積立金として積立てる金額は、圧縮額から税効果額(すでに繰延税金負債として計上した金額)を控除した金額でよいことになります。
非減価償却資産の場合に解消の仕訳が行われるのは、該当資産を売却等した場合ですが、この場合には、発生時の逆仕訳が行われます。


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(★)保険差益の圧縮記帳

【保険差益の圧縮記帳】
火災等により滅失した資産の帳簿価額を超えた保険金を受取った場合には、圧縮記帳が認められています。
基本的な考え方は、国庫補助金の圧縮記帳の場合と異なりません。
保険差益の圧縮記帳の場合の圧縮額は、「保険金から焼失時の帳簿価額を控除した金額」、いわば「譲渡益相当額」です。


【会計処理】
(例題)
機械(帳簿価額150円)が火災により焼失(200円の保険あり)。その後200円の保険金を受領し、全額で機械を取得した。

(焼失時)    (借)火災未決算150 (貸)機  械150

保険金200円を受領
(保険金受領時) (借)現金預金200 (貸)火災未決算150
                       保険差益  50
                    「保険金−焼失時の簿価」(譲渡益相当額)

(新資産の取得) (借)機  械200 (貸)現金預金200

(圧縮記帳  ) (借)機械圧縮損50 (貸)機  械 50

※積立金方式については、国庫補助金と同様です。


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積立金方式による圧縮記帳(非減価償却資産)

積立金方式

【一連の会計処理】
国庫補助金の圧縮記帳の一連の会計処理(積立金方式)を直接減額方式と同様の事例で考えてみましょう。

(事例)国庫補助金100で、機械300(耐用年数5年、残存価額なし、定額法)を取得

(1)国庫補助金の交付時
(借)現金預金100(貸)国庫補助金収入100

(2)固定資産の取得
(借)機械装置300(貸)現金預金300
※ここまでは、直接減額方式と同様。

(3)決算
(借)減価償却費   60(貸)減価償却累計額 60
   繰越利益剰余金100   国庫補助積立金100 ←積立て
   国庫補助積立金 20   繰越利益剰余金 20 ←取崩し
※減価償却費:取得原価300÷5年=60
 圧縮前の金額が基礎になります。

【積立金方式の考え方】
圧縮記帳の本来的な意味は、取得原価(帳簿価額)の圧縮です。
その点からすれば、取得原価を直接減額する処理(直接減額方式)が想定されているといえるでしょう。
しかし、全く同一の固定資産を取得した場合を考えるとわかるように、国庫補助金を取得したか否かで、取得原価、そしてその後の減価償却費が異なるのは必ずしも理論的ではありません。
以前は、引当金として計上することもありました。
しかし、現行の企業会計原則注解18に照らして、国庫補助金を引当金計上することは妥当ではありません。
直接減額方式、引当金方式ともに、企業会計上(ないしは商法上)は、必ずしも好ましい処理方法とはいえません。
このような事情を踏まえ、税法で、直接減額方式、引当金方式以外に認めているのが、積立金方式です。

剰余金の処分と圧縮記帳は、本来的には、何ら関係がある訳ではありません。
剰余金の処分により、任意積立金を積立てた場合(意思表示をした場合)には、税法上、直接減額方式による圧縮記帳を行ったのと同様の効果を認めているに過ぎません。

積立金方式によれば、固定資産の取得原価は、当初の取得原価のままですから、企業会計上は、その金額を基礎として減価償却を行うことになります。
ただし、税務上は、いずれの方法によっても所得金額は同じになるべきで、積立金方式による減価償却費のままでは、税務上は、多すぎることになります。

直接減額方式による減価償却費相当額(損金算入限度額)と積立金方式による減価償却費相当額(企業の計上した減価償却費)の差額は、税務上は、益金の額に算入されることになります。
積立金の積立てという本来は、当期の損益(所得)に関係のない行為で、損金算入を認めるのですから、その取戻し、つまりは、逆の行為が行われた場合には、全く逆の処理を行うことになります。
つまりは、益金算入と圧縮積立金の取崩しを行います。

積立金の積立て(会計) …… 損金算入(税務)
積立金の取崩し(会計) …… 益金算入(税務)
この二者が、セットで行われます。


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直接減額方式

【直接減額方式】
今、国庫補助金の圧縮記帳の一連の会計処理(直接減額方式)を具体的事例をもって示すと、次のようになります。

(事例)国庫補助金100で、機械300(耐用年数5年、残存価額なし、定額法)を取得
(1)国庫補助金の交付時
(借)現金預金100(貸)国庫補助金収入100

(2)固定資産の取得
(借)機械装置300(貸)現金預金300

(3)決算
(借)機械圧縮損100(貸)機械装置   100
   減価償却費 40   減価償却累計額 40


国庫補助金収入は、制度会計上は、あくまでも収益(特別利益)です。
この国庫補助金をもって、固定資産を取得した場合には、圧縮記帳を行うことができます。
圧縮記帳のそもそもの意味合いは、取得原価の圧縮(減額)記帳ということになりますが、この場合の相手科目は、機械圧縮損等(特別損失)を使用します。
また、貸方の機械装置に関しては、機械圧縮額等の間接控除科目を設ける場合もあります。
取得原価を圧縮(減額)した以上、事後の減価償却費の計算は、圧縮後の金額が基礎とされます。


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(★)圧縮記帳

【圧縮記帳とは】
「圧縮記帳」とは、国庫補助金等の交付を受けて固定資産を取得した場合等において、一定の金額について、取得原価を減額して経理する方法をいいます。
圧縮記帳の固有の意味は、取得原価の圧縮にあります。
圧縮記帳の処理方法には、直接減額方式と積立金方式とがあります。


【圧縮記帳の目的】
圧縮記帳の対象となる国庫補助金等は、あくまでも制度上(会社法、税法等)は、収益です。
しかし、そもそも固定資産の取得を前提に交付を受けた国庫補助金等に対してそのまま課税を行ったのでは、その固定資産の取得に支障をきたすことにもなりかねません。
そこで税法では、一定の経理(剰余金の処分等)を要件として、課税の特例措置を認めています。
ただし、国庫補助金相当額の課税の減免を行うのではなく、あくまでも課税の繰延(延期)を行うことに圧縮記帳の目的があります。
圧縮記帳制度は、課税の減免制度ではなく、課税の繰延制度です。


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