「収益認識に関する会計基準」をごく簡単にまとめておきました(←だから入門の入門です)。

まずは、試験に直接的に関係しない話からです。

収益認識基準は超大型基準で2021年4月以後に開始する事業年度から強制適用され、2018年4月以後に開始する事業年度から任意適用することができます。

いつから本格的な試験で出題されるかは不明ですが、強制適用までの期間が3年と長いこともあって、ある程度やっておかなければならないことは間違いありません。

ちょっと(かなり)やっかいなのがこれまでの収益認識の考え方(実現主義やリスクからの解放)との関係の記述がない点です。

これまでの例でいうと従来の考え方との違いの検討が結論の背景でなされていました。

今回は諸事情(国際基準の丸のみ)からそれをやめてしまったようです。

いいかえるとここがすごく大事に思えます。

これまでの収益認識の考え方との関係はひとまず置いておいて、以下では、収益認識基準の入門の入門と題して、ごく簡単な入口の話をしておきましょう。
まずは、基本となりそうな原則的な規定を簡単にみておきましょう。

収益認識基準の16項です。

本会計基準の基本となる原則は、約束した財又はサービスの顧客への移転を当該財又はサービスと交換に企業が権利を得ると見込む対価の額で描写するように、収益を認識することである。


新しいというだけで難しいですね。

まずは、誤解をおそれずに、できるだけ短くいきましょう。


(1)財・サービスの移転を (2)対価の額 で認識する。



ここまで短くすると一安心です。

それほど解説を加えなくても大丈夫な気がしますが。

とりあえずは、商品やサービスを相手に渡して、その受領した代金で収益を認識するといった理解で結構です。

すでに学習経験のある方については、収益認識における実現主義を学習しています(リスクからの解放でも基本的な考え方は同じです。)。

そのときに実現の要件を2つ学習しているハズ。

その1つ目の要件を財・サービスに代えればこの収益認識基準における収益認識もそれほど苦労せずにいけそうですね(細かい点は別として)。

これは激烈におススメです。

財は財貨と同じで、サービスは役務や用役と同じです。

対価は、たとえば現金や現金同等物(現金等価物)や貨幣性資産の受領、対価の成立等として記述されることも多いですが、似ていればよいです(こだわる必要はないです)。


いくつか注意点を。

1点注意しなければいけないのが「認識」という言葉の使い方です。

一般に認識は、費用や収益がいつ発生したかの問題で、いくら発生したかという測定の問題を含んでいません。

しかし、基本原則には、「対価の額で描写するように、収益を認識する」とありますので、測定も含んだ意味で使われているようです。

その測定には見積りの要素も含むというのがこれまでとの大きな違いといってよいでしょう。

認識=いつ、測定=いくらというよりも両者を含んでいる意味で使われている点に注意しましょう。

もう一つが対象です。

収益の認識といってもすべての収益が対象となるわけではありません。

顧客との契約により生ずる収益が対象なので、例えば金融商品に関する会計基準における評価益は対象になりません。


「描写」(←しんどそうです)というのがどうにかならなかったのかと思わないでもありませんが、まずは基本原則からスタートです。



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