平成24年度試験の振り返り。

今回は計算と理論という視点で考えてみました。

今年の簿財の隠れテーマともいえるのが「計算と理論の融合」ではないでしょうか。

すごく昔は簿記論で理論が出題されていました。

配点はもちろん少ないのですが、税理士試験の簿記「論」だから理論問題の出題はあり得るという話も聞いた記憶があります。

しかし、最近は数字や科目を問う出題がほとんどで、文章で解答する問題は本当に久々です。

10年ほど前に文章の穴埋めがちょろっと出題された程度でしょうか。



昨年の試験で言えば、具体的には、簿記論(計算)での比較仕訳や理論の出題、財表(理論)第一問が両者を意識していると思います。

簿記論での理論の出題は本当に久しぶりです。

社債発行差金に関する出題でかなりビックリしました。

来年もこの理論的な出題や比較仕訳を発展させた出題が予想されるでしょう。

もっともこれはそのような問題を想定してこれをやれということではありません(たぶん)。

そのような問題にも対処できるような学習をしろということに他なりません。

その勘定はどんな使い方をしているのか?

その仕訳にはどんな意味があるのか?

他に考えられる処理はないか?

あるとすればどんな考えに基づいているのか?

会計処理ができるだけではなくて、その意味も考えて学習をすべきだというメッセージに思えます。

もちろん受験上は、そのメッセージに素直に答えるべきでしょう。

その方が良い結果に繋がることは間違いありません。



財務諸表論の第一問は表示に絡めた出題でした。

問題の穴埋め文章が注記であり、流動・固定分類を問うなど理論として想定はできるもののすごく強い意識が向かう部分でもありません。

やや落とし穴という気がしなくもありませんでした。

しかし、出されても文句は言えないだけに痛いところです。

通常は、計算で問われる部分といってよいでしょう。

財表でも計算と理論の融合を窺わせます。



簿記論と財務諸表論は一つの科目でもよいくらい。

先行する公認会計士試験で両者はすでに統合されています。

実際の出題でも理論と計算が交互に出題されていたり、同一の設問の中で両者を問うなど理論と計算の融合は大きな課題になっているようです。

内容的に先行する傾向のある会計士試験のこのような傾向を取り入れた税理士試験の出題は今後も続くとみるべきでしょう。

学習にあたっても計算と理論の融合を意識するとよいのではないかと思います。

計算(仕訳)の意味内容をとり、理論を具体的処理で考える。

学習の方向性も見えてきそうです。



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