平成24年度試験の振り返り。

今回は「基礎」と「応用」という切り口で考えてみました。
まずはわかりやすい財表から。

財表は昨年を踏襲し、応用の傾向が引き続き強い出題でした。

会計基準から1問、基礎理論から1問という構成は昨年と同様です。

しかし、第一問の入口が注記文例という一風変わった出題でした。

理論の出題として表示を問うあたり、かなり趣向が凝らしてあります。

問4なども難しいという声しきりですが、マイナスの正味売却価額や売価還元低価法の論点は当ブログでも紹介しています。

マイナスの正味売却価額は、過去の予想問題としても出題しています。

正味売却価額がマイナスになった場合はどうなるんだろうか?

売価還元低価法は本当に低価法と同じ理屈なのか?

そんな疑問を持ちながら結論の背景を読むことができれば解答として絶対に出てこないということはないと思います(厳しいですが)。

そもそもの棚卸資産の出題が予想できなかったことが私としては大きいです。

第二問は昨年と同様の雰囲気を持つ出題ですが、穴埋めが語群になっていた分だけ手掛けやすいと感じたかもしれません。

そもそもの難易度は高いと思います。



昨年の簿記論の出題に仕訳が多かったのは大きな特徴でした。

まずは個別処理が軸にある事の表明だったのでしょう。

今年も仕訳の出題がありましたが、対比の虫食いという趣向が凝らしてあります。

この点で出来不出来が大きくわかれたかもしれません。

(1)単純な仕訳⇒(2)処理の対比仕訳⇒(3)?

このままの流れからは変化をつけた仕訳が予想しやすいですが、問題自体は当てられる気がまったくしません。

普段から仕訳の意味や枝別れを意識する学習が求められる事は間違いないでしょう。



以上、簿記論・財務諸表論ともに昨年よりも工夫が凝らしてあるように感じます。

簿記論は来年度に試験委員の変更がありません。

財務諸表論は1名の変更がありますが、ベタベタの問題が出るとはとても考えられません。

いずれもそのままの傾向が継続すると予想できるでしょう。


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