新しい財務諸表である包括利益計算書。

個別での適用は当面凍結されましたが、連結では制度化されています。

はじめての包括利益計算書」では税効果なしで考えましたが、同事例に税効果を加えて考えてみました。

再掲ですが用語を整理しておきましょう。

「包括利益」(定義):「純資産」の変動額(時価の変動額)

包括利益(計算):「純利益」+「その他の包括利益」=「包括利益」

その他の包括利益:「その他有価証券評価差額金」の変動額(「その他有価証券」の時価変動額)

組替調整額:当期と前期以前の「包括利益」で「当期純利益」に含まれた金額(結局は「その他有価証券」の売却損益)




以下、設例で考えてみましょう。

設例:
現金100円の出資をうけて会社を設立
その他有価証券を第1期に100で取得
第1期末時価120円
第2期に130円で売却
税効果あり(40%)税効果の計算のときは(1−40%)を60%で書きます。


<定義ベース>
第1期
包括利益12⇒(その他有価証券期末20−期首0)×60%=12
純利益  0
※期末純資産:(その他有価証券120−繰延税金負債8)−資本金100=112

第2期
包括利益18⇒(期末118−期首112)=6
純利益 18(うち有価証券売却益30)
※期末純資産:(現金130−未払法人税等12)−資本金100=118

<包括利益計算書>
包括利益計算書
当期純利益    18
その他の包括利益△12
包括利益      6

(注)
その他有価証券評価差額金
当期発生額     10
組替調整額   △30
その他の包括利益△20
税効果額        8
税効果後     △12



税効果が入ると微妙にわかりにくいですね。

各期の包括利益は、定義どおりに計算して60%をかけて出ます。

その他有価証券評価差額金にかけています。

実際の計算書は、純利益からスタートするんで、二重計算にならないように組替調整(売却益)を引きます。

注からスタートして、当期発生額(時価変動額)10と組替調整△30の合計がその他の包括利益です、

その他有価証券評価差額金の動きで追いかけると、次の感じです。


<その他有価証券評価差額金の動き>
(1)税効果なし
期首20+発生10−組替調整30=期末0

(2)税効果あり(全部に×60%)
期首12+発生6−組替調整18=期末0


計算書ベースだと税効果をまとめてやるから分かりにくいのかもしれません。

ぜひ定義、計算書、その他有価証券評価差額金の動きを追いかけてみてください。