資本と利益の区別を要求するのが一般原則の第三原則です。

この第三原則の「前段」を適正な期間損益計算のために行われる取引の区別、「後段」をその結果として生じたストックの区別とするのが一つの見方です。

しかし、実際には、第三原則に対する考え方には、かなりの分岐がみられます。
第三原則の文言からいえそうなことを整理しておきましょう。

第三原則を簡略化します。


�〇駛棔β傘彈莪�を区分せよ。

特に、

�∋駛棔ν�益剰余金は混同するな。


今、このようにみた場合、気になるのが前段と後段の間にある「特に」という語です。

「特に」という場合は、強調を意味しますが、通常は「その手前にあるもののうち」という意味を含みます。

文章を素直に理解すれば、前段の意味内容は、後段の意味内容も含むと考えられるでしょう。

前段のうち「特に」後段はきちんとしろという文章にとれそうです。


事実、企業会計原則を作られた立場の方はそう理解していたようです。

資本取引は、株主との間の取引とそれ以外の資本剰余金の変動取引。

損益取引は、営業取引のように結果として純利益を変動させる取引とそれ以外の利益剰余金の変動取引。

整理すると次の感じです。


資本取引　＝　株主との取引＋資本剰余金の変動取引

損益取引　＝　純利益を変動させる取引＋利益剰余金の変動取引


ここで少し微妙なのが利益処分取引です。

利益処分取引は、利益剰余金を変動させる株主との取引です。

これをどのように考えればよいのでしょうか。


利益剰余金を変動させる　⇒　損益取引？

株主との取引　⇒　資本取引？


企業会計原則を作られた立場の方は、これを損益取引と位置付けていたようです。

利益処分により利益剰余金は減少します。

利益剰余金の増減取引は損益取引だという理屈です。

結果として資本金や資本剰余金を増減させる取引は資本取引、利益剰余金を増減させる取引は損益取引との理解に基づいているといえるでしょうか。

しかし、このような理解には、期間損益計算を重視する立場からの批判が見られました。

会計の目的は取引をきれいに分類することかといえばそんなことはありません。

企業活動を描き、その企業がどれだけ稼いだのかを企業外部者に伝えることにこそ会計の大きな役割があるハズです。


資本と利益の区別（４）へ