利益は収益から費用を差し引いて計算します。

収益や費用をいつ(認識)、いくら(測定)計上するかがわかれば利益も計算できるでしょう。

特に収益や費用の認識が利益計算の大きな課題です。

収益や費用の認識に必要な発生、実現、対応の各重要概念を企業会計原則の規定を手がかりにみていきましょう。
まずは過去の出題でも丸ごとよく記載されている企業会計原則 損益計算書原則一Aです。

これはものすごく重要です。


「すべての費用及び収益は、支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。」



ちょっと整理してみましょう。


(1)収益・費用は支出・収入に基づいて計上する

(2)発生した期間に割当てる


(1)が収支額基準を意味し、(2)が発生主義を意味するといわれます。

測定に全く問題がないわけではありませんが、ここでは認識に絞りましょう。

課題は、「発生とは何か」です。

これを突っ込むと大変そうです。

ここでは単に何らかの意味での価値の変動(増減)と考えておきましょう。

費用の側でいえば減少ですね。

消しゴムを使ったら、だんだん消しゴムは減って小さくなります。

消しゴムの価値は使う事で無くなる。

このような価値の減少(や増加)を発生と考えておきましょう。



具体的な例で仕訳を考えておきます。

備品(耐用年数5年、残存価額ゼロ、直接法)500円を期首に現金で購入したケースです。


購入時:(借)備   品500 (貸)現金預金 500

決算時:(借)減価償却費100 (貸)備  品 100


支出額は500円ですが、その全額が当期の費用になるわけではありません。

支出額500円のうち、当期の価値の減少(消費)額、100円が当期の費用として認識されます。

発生主義には、支出額のうち当期に発生した分を切り取る作用があるといえるでしょうか。

支出額を発生額に絞るのが「発生」といってよいかもしれません。



損益計算書原則一Aを支出に限定してみておきましょう(一部省略)。


「すべての費用は支出に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。」



どうです。

損益計算書原則一Aが随分と身近になりませんか(って、なってなかったらゴメンなさい)。

まずは発生、そして発生主義の意味を実感することが大事でしょう。



もっとも現行の企業会計は発生主義だけで損益計算をしているわけではありません。

収益の認識には、限定が加わります。

それが次の課題である「実現」です。



対応とは何か(3)