このブログでも過去にとりあげていますが、会計基準に「クリーン・サープラス関係」という言葉が登場しますので、実際の基準をベースにその意味を確認しましょう。

クリーン・サープラスは、日本語にあえて訳せば、きれいな「剰余金」(会社法の「剰余金」ではありません)といったところでしょうか。

フローの計算書(損益計算書等)の利益が貸借対照表の「剰余金」にきれいに反映している関係です。

損益計算書等の利益がちゃんと剰余金になっている。

損益計算書等を経由しないでいきなり「剰余金」にならない。

こんな関係を「クリーン・サープラス関係」といいます。



「クリーン・サプラス関係」に関する会計基準の規定をみておきましょう。

包括利益の表示に関する会計基準の規定です(注1)。


ある会計期間における資本の増減(資本取引による増減を除く。)が当該期間の利益と等しくなる関係をいう。



算式で示すと次の感じでしょうか。


資本の増減=利益



上記の注1がふられているのが21項です。


包括利益の表示によって提供される情報は、投資家等の財務諸表利用者が企業全体の事業活動等の財務諸表利用者が企業全体の事業活動について検討するのに役立つことが期待されるとともに、貸借対照表との連携(純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係)を明示することを通じて、財務諸表の理解可能性と比較可能性を高め、また、国際的な会計基準とのコンバージェンスにも資するものと考えられる。



注目は、貸借対照表との連携のかっこ書です。

「純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係」

包括利益基準では、この「純資産と包括利益とのクリーン・サープラス関係」を示すことで一定の役割を果たすと考えています。

これも算式でおきかえておきましょう。


純資産の増減=包括利益


もう一つ算式で示されるクリーン・サープラス関係があります。

それは、株主資本と純利益の関係です。


株主資本の増減=純利益



整理しておきましょう。


(1)資本の増減=利益

(2)純資産の増減=包括利益

(3)株主資本の増減=純利益


(1)がごく一般的な話で、わが国では現状は、個別で(3)の関係が成り立ち、連結で(2)と(3)の関係が成り立っていることになります。


実際の試験でも出題されているクリーン・サープラス関係についてでした。