いきなり問題です。
「のれん」が登場する会計基準の規定をあげてみてください。
規定の番号というより、あの基準のこんな話のところといったあげ方で結構です。
企業会計原則と概念フレームワークも含めます。
旧規定で必ずしも死んでいない規定も含めましょう(営業権も)。
一個じゃなくて、できるだけたくさんです。
どうでしたでしょうか?
随分ありますね。
このうちのれん(価値)に関する規定を短く引っ張っておきましょう。
さて、ここで再び問題です。
これらは同じ意味を持つものでしょうか。
それとも異なるものでしょうか。
さあ、どっち?
結論だけ知りたい方は、最後だけをご覧ください。
いや、結論だけ知っても意味ないじゃん。
そう思われる方は、ちょいと長いですがお付き合いください。
一つずつ考えてみましょう。
(1)企業会計原則 注解25
のれんは、かつて「営業権」と呼ばれていました。
企業会計原則のこの規定は、古いですが、基本的な考え方は生きています。
それは、「買入のれんのみを計上する」という考え方です。
対価をもって取得したのれんを「買入のれん」といいます。
これに対して、対価のない自らつくりだしたのれんが「自己創設のれん」です。
現行の制度上、自己創設のれんが計上されることはありません。
(2)概念フレームワーク 第4章21項
ここをあげたあなたは立派な概念フレームワークマニアです。
この規定を利用してのれん(価値)を定義してみましょう。
まずは、規定を算式で整理してみます。
利用価値=市場価格+のれん価値
のれん価値=利用価値−市場価格
こう整理できるとのれん(価値)がみえてきます。
のれん価値は、「市場価格」をこえる「利用価値」です。
この利用価値は減損会計で出てくる「使用価値」と同じです。
資産を使い続けたときのキャッシュフローの割引価値で測定します。
100万円で機械を買う。
通常、その100万円(原価)は、機械を取得するときの市場価格です。
原価は、取得段階の時価に等しいです。
企業は、その機械に対して、100万円を超える価値をみいだすからこそその機械を買うんでしょう。
私たちのように趣味だから金額は関係ない。
そんなことはありません。
使えば100万円以上の価値を生み出すハズだからその機械に100万円という市場価格と同額を出して、購入するわけです。
仮にその機械が120万円分の価値を生み出すと考えるならのれん価値は20万円です。
(3)固定資産の減損に係る会計基準ニ4
固定資産の減損に係る会計基準でものれんが登場します。
のれんが減損の対象になるからですが、ここでは、ちょっと違う規定に注目しましょう。
それは、意見書の三1です。
のれんという言葉は出てきませんが、同じ意味を持つ箇所があります(探してみてください)。
ちょっとわかりにくいですが、出だしに注目しましょう。
「市場平均を超える成果」という部分です。
時価は、いわば市場平均です。
これを超えて期待される成果。
そう、それがまさに「のれん」です。
(4)企業結合に関する会計基準31項
「のれん」というとまっさきに思い浮かぶ規定かもしれません。
やはりここも算式で整理しておきましょう(負債はカットします)。
取得原価−受け入れた資産に配分された純額=のれん
ある企業を買収する。
その企業の資産(先ほどの機械にしましょう)が100万円だとします。
その企業を120万円で買収する。
その企業の取得原価は、対価である120万円で測定されます。
取得した企業が100万円(時価)の資産を持っていれば、その資産は100万円で受け入れます。
企業の取得原価120万円とその企業の資産の時価100万円の差額がのれんです。
(5)連結財務諸表に関する会計基準24項
これも式で整理してみましょう(正ののれんを前提にします)。
子会社に対する投資−子会社の資本=のれん
「子会社に対する投資」は、時価で考えます。
「子会社の資本」も資産と負債を時価評価しますので、やはり時価です。
仮に資産が時価100円の機械だけの(そればっか)企業の株式を120円で全部取得したケースを考えてみましょう。
子会社に対する投資は、株式の取得時の時価120円です。
資産の時価は100円。
つまり、個々の資産の時価ベースで100円の会社の株式を120円で買ったことになります。
この投資と資本の相殺消去により生ずる差額(のれん)は、もちろん20円です。
のれん(価値)は、市場価格(時価)を超える利用価値(使用価値)です。
市場価格はいわば市場の平均値。
その市場の平均値を超えて期待される成果がのれんです。
もっとも、具体的な対価がなければ、制度上、のれんが計上されることはありません。
企業(事業)の利用価値を認め、これに対価を支払うときにのれんは生じます。
具体的には、合併や株式取得(→連結)という局面でのれんが生じます。
一見、異なるかにみえるのれんをめぐる規定。
状況を整理すると実は同じというお話でした。
のれんを軸にこれらの規定を横断的に整理しておきましょう。
いつかどこかで役に立つハズです。
「のれん」が登場する会計基準の規定をあげてみてください。
規定の番号というより、あの基準のこんな話のところといったあげ方で結構です。
企業会計原則と概念フレームワークも含めます。
旧規定で必ずしも死んでいない規定も含めましょう(営業権も)。
一個じゃなくて、できるだけたくさんです。
(1)企業会計原則 注解25
(2)概念フレームワーク 第4章21項
(3)固定資産の減損に係る会計基準ニ4
(4)企業結合に関する会計基準31項
(5)連結財務諸表に関する会計基準24項
(6)持分法に関する会計基準11項(以下では、省略します)
どうでしたでしょうか?
随分ありますね。
このうちのれん(価値)に関する規定を短く引っ張っておきましょう。
<概 フ レ>のれん価値=利用価値−市場価格
<減損基準>市場平均を超える成果
<企業結合>のれん=取得原価−受け入れた資産に配分された純額
<連 結>のれん=子会社に対する投資−子会社の資本
さて、ここで再び問題です。
これらは同じ意味を持つものでしょうか。
それとも異なるものでしょうか。
さあ、どっち?
結論だけ知りたい方は、最後だけをご覧ください。
いや、結論だけ知っても意味ないじゃん。
そう思われる方は、ちょいと長いですがお付き合いください。
一つずつ考えてみましょう。
(1)企業会計原則 注解25
営業権は、有償で譲受け又は合併によって取得したものに限り貸借対照表に計上し……なければならない。
のれんは、かつて「営業権」と呼ばれていました。
企業会計原則のこの規定は、古いですが、基本的な考え方は生きています。
それは、「買入のれんのみを計上する」という考え方です。
対価をもって取得したのれんを「買入のれん」といいます。
これに対して、対価のない自らつくりだしたのれんが「自己創設のれん」です。
現行の制度上、自己創設のれんが計上されることはありません。
(2)概念フレームワーク 第4章21項
利用価値は、報告主体の主観的な期待価値であり、測定時点の市場価格とそれを超える無形ののれん価値を含んでいる。
ここをあげたあなたは立派な概念フレームワークマニアです。
この規定を利用してのれん(価値)を定義してみましょう。
まずは、規定を算式で整理してみます。
利用価値=市場価格+のれん価値
のれん価値=利用価値−市場価格
こう整理できるとのれん(価値)がみえてきます。
のれん価値は、「市場価格」をこえる「利用価値」です。
この利用価値は減損会計で出てくる「使用価値」と同じです。
資産を使い続けたときのキャッシュフローの割引価値で測定します。
100万円で機械を買う。
通常、その100万円(原価)は、機械を取得するときの市場価格です。
原価は、取得段階の時価に等しいです。
企業は、その機械に対して、100万円を超える価値をみいだすからこそその機械を買うんでしょう。
私たちのように趣味だから金額は関係ない。
そんなことはありません。
使えば100万円以上の価値を生み出すハズだからその機械に100万円という市場価格と同額を出して、購入するわけです。
仮にその機械が120万円分の価値を生み出すと考えるならのれん価値は20万円です。
(3)固定資産の減損に係る会計基準ニ4
固定資産の減損に係る会計基準でものれんが登場します。
のれんが減損の対象になるからですが、ここでは、ちょっと違う規定に注目しましょう。
それは、意見書の三1です。
のれんという言葉は出てきませんが、同じ意味を持つ箇所があります(探してみてください)。
事業用の固定資産については、通常、市場平均を超える成果を期待して事業に使われているため、市場の平均的な期待で決まる時価が変動しても、企業にとっての投資の価値がそれに応じて変動するわけではなく、また、投資の価値自体も、投資の成果であるキャッシュ・フローが得られるまでは実現したものではない。
ちょっとわかりにくいですが、出だしに注目しましょう。
「市場平均を超える成果」という部分です。
時価は、いわば市場平均です。
これを超えて期待される成果。
そう、それがまさに「のれん」です。
(4)企業結合に関する会計基準31項
取得原価が、受け入れた資産及び引き受けた負債に配分された純額を上回る場合には、その超過額をのれんとし………」
「のれん」というとまっさきに思い浮かぶ規定かもしれません。
やはりここも算式で整理しておきましょう(負債はカットします)。
取得原価−受け入れた資産に配分された純額=のれん
ある企業を買収する。
その企業の資産(先ほどの機械にしましょう)が100万円だとします。
その企業を120万円で買収する。
その企業の取得原価は、対価である120万円で測定されます。
取得した企業が100万円(時価)の資産を持っていれば、その資産は100万円で受け入れます。
企業の取得原価120万円とその企業の資産の時価100万円の差額がのれんです。
(5)連結財務諸表に関する会計基準24項
親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本との相殺消去にあたり、差額が生じる場合には、当該差額をのれん……とする。
これも式で整理してみましょう(正ののれんを前提にします)。
子会社に対する投資−子会社の資本=のれん
「子会社に対する投資」は、時価で考えます。
「子会社の資本」も資産と負債を時価評価しますので、やはり時価です。
仮に資産が時価100円の機械だけの(そればっか)企業の株式を120円で全部取得したケースを考えてみましょう。
子会社に対する投資は、株式の取得時の時価120円です。
資産の時価は100円。
つまり、個々の資産の時価ベースで100円の会社の株式を120円で買ったことになります。
この投資と資本の相殺消去により生ずる差額(のれん)は、もちろん20円です。
のれん(価値)は、市場価格(時価)を超える利用価値(使用価値)です。
市場価格はいわば市場の平均値。
その市場の平均値を超えて期待される成果がのれんです。
もっとも、具体的な対価がなければ、制度上、のれんが計上されることはありません。
企業(事業)の利用価値を認め、これに対価を支払うときにのれんは生じます。
具体的には、合併や株式取得(→連結)という局面でのれんが生じます。
一見、異なるかにみえるのれんをめぐる規定。
状況を整理すると実は同じというお話でした。
のれんを軸にこれらの規定を横断的に整理しておきましょう。
いつかどこかで役に立つハズです。
さて、現行の連結基準では、第25場ではなく、第24項が正しいのではないでしょうか。
ま、大した問題ではありませんが・・・。