平成22年の簿記論の出題は、第一問が本支店会計と第二問が個別4題でした。

いわゆる学者出題(第一問と第二問)と実務家出題ではやや毛色が異なります。

昨年の出題を例に、対処法をちょっと考えてみました。
昨年の第一問は、本支店会計の総合問題でした。

少し、あれっと思ったのが支店分散計算制度での出題です。

本支店間取引の処理方法には、支店集中計算制度(一回、本店を通すやつ)と支店分散計算精度があります。

実は、支店集中計算制度の方が難しいですが、そのためか実際の演習等では、支店集中計算制度が出題されることが多いように思います。

この点、普段の演習の勢いのまま解いてしまうとむむむっといったことになってしまう可能性があるかもしれません。

本支店に限らず、処理の分岐は、よく見慣れているものといったことではなしに、分岐そのものを少なくともしっかりおさえておく必要があるでしょう。



第二問は、個別4題です。

この4問で30分はきつくない?といった分量で1問を手抜きしてちょうどいいくらいの感じではなかったでしょうか。

資産除去債務が新しく、商品勘定の処理(総記法)が古典的でした。

新しい項目をきちっとおさえているか、やや古典的な論点もしっかりおさえるかのいずれかで、全体の底上げがはかれていれば、勝負になったのではないかと思います。



たいした総括はできませんが、次の点を指摘しておきましょう。


(1)処理の分岐に注意する

演習で中心的に出題される方法が出題されるとは限りません。

それは出題の便宜上の理由である場合もあります(難しいからこれができれば他もできるハズ等)。

標準的なテキスト等にはのっているであろう処理の分岐はしっかりと意識しましょう。

支店分散計算制度や商品勘定の総記法の出題なども解いている段階で想定できるかができるかどうかの境界ではなかったでしょうか。

その前提としては、ガツガツと問題を解いていたかというよりは、そんな処理もあったということを知識として持っていたかが重要でしょう。

まあ、第一、総記法とか、ガツガツ解くほどの問題がないと思いますし。



(2)テキスト等に戻ることを恐れない

今後(すでに?)、簿記論では、演習中心のスタイルになっていくことと思います。

(1)とも関連しますが、せめて確認の段階でのテキスト等に戻ることを心がけましょう。

普段、解いてない項目の記述もテキストにはあるハズ。

(1)のような出題に対処するためにも、応用的な出題に対処するためにも、問題を解いた後の確認をその問題の解説ではなく、ごく一般的なテキストで行うことは有効だと思います。



簿記論は、ほぼ計算しか出ませんが、だからこそ内容に目を向けることも必要ではないでしょうか。