概念フレームワーク、読んでますか?

今回は、包括利益と純利益の位置づけについてです。
概念フレームワークで示される利益は、包括利益と純利益です。

いわば、2本立てなんですね。

包括利益は、「純資産の変動額」です。

純利益は、「包括利益のうちリスクから解放された部分」です。

「株主資本の変動額」といってもよいでしょう。



概念フレームワークでは、包括利益と純利益を併記しています。

世界的にみると包括利益が地位を上げつつあります。

しかし、概念フレームワークでは、純利益を重視しています。

それは、包括利益に純利益に勝る有用性がないと考えているからです。

この場合、情報としての有用性は、何か別の理論から定まるという感じではなく、実際の投資家の判断が基礎にあります。

投資家の判断は株価に反映されると考えられます。

株価と利益との関係をなんか分析したりして、投資家が何を重視してるかの研究(実証研究)がベースにあります。

現状では、包括利益に純利益を上回る有用性があるとは考えられていません。

しかし、将来的にどうなるかはわからないでしょう。

包括利益が純利益を超える有用性を持つかもしれません。

概念フレームワークでは、そのような場合にも対処できるように2つの利益を併記しているのです。



純利益には、包括利益に勝る有用性があると考えられます。

これに対して、包括利益を支持する立場から純利益が適切でない理由としてあげられるのが純利益が「いじれる利益」という点でしょうか。

包括利益が時価(相場)そのものを動かさない限り変らないのに対して、純利益は、実際に売却するかどうかで異なります。

含み益のあるその他有価証券を売却すれば、純利益は増えます。

含み損のあるその他有価証券を売却すれば、純利益は減ります。

このように操作が可能という点が純利益の弱みといってよいでしょう。


概念フレームワークで2つの利益を併記している点に注目しましょう。



そうだ、会計基準を読もう!(純利益は包括利益に情報の有用性で勝りますが、操作可能な難点があります)


会計基準を読もう!<目次>