概念フレームワーク、読んでますか?

今回は、純利益についてです。
まずは、概念フレームワークでの定義をみておきましょう。

純利益とは、特定期間の期末までに生じた純資産の変動額(報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主、及び前項にいうオプションの所有者との直接的な取引による部分を除く。)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、報告主体の所有者に帰属する部分をいう。純利益は、純資産のうちもっぱら株主資本だけを増加させる。



いや、長いですね。

少しわかりやすい言葉に置き換えてみましょう。


純利益とは、当期末までに生じた純資産の変動額(資本取引による部分を除く。)のうち、その期間中にリスクから解放された投資の成果であって、株主に帰属する部分をいう。純利益は、純資産のうちもっぱら株主資本だけを増加させる。



ざっくりとは、「当期末までの純資産の変動額(資本取引を除く)のうちリスクから解放された投資の成果」が純利益です。

まずは、純利益の定義をしっかりと読み込んでおきましょう。


以下、少し細かくみていきます。


(1)特定期間の期末(当期末)までに生じた

包括利益が「特定期間の」純資産の変動額であるのに対して、純利益は、「特定期間の期末までに生じた」純資産の変動額です。


包括利益……当期

純利益……当期まで


こんな違いがあることになります。

この違いは、純利益にリサイクリングがあるためですね。

リサイクリングは、過去の包括利益をもう一度、純利益にすることです(詳細は改めて)。

このリサイクリングの取扱いがあるため、当期だけでなく、当期以前の純資産の変動額も定義に含める必要があります。



(2)資本取引を除く

増資等により純資産の額が増加しても利益にならないのは、包括利益と同様です。

増資で現金が増えた→純資産が増えた→利益が増えた

などという話になっては困るということでしょう。



(3)リスクから解放された投資の成果

リスクからの解放は、「投資にあたって期待された成果が事実として確定すること」をいいます。

期待が事実になること。

それがリスクからの解放です(これまた改めて)。

事業投資(商品販売等)については、「実現」と基本的には、変わりませんので、実現で考えてもよいでしょう。

包括利益を「リスクからの解放」という視点で絞り込んだのが純利益です。


(4)純利益は株主資本を変動させる

概念フレームワークで重視している利益は「純利益」です。

この純利益を生み出すのが株主資本。

株主資本の変動額が純利益であるといってもよいでしょう。


そうだ、会計基準を読もう!(まずは定義のうちの大事な部分をしっかり読み込みましょう)



会計基準を読もう!<目次>