概念フレームワーク、読んでますか。

今回は、意志決定を支える特性の一つである「信頼性」の話です。
意思決定有用性を支える特性の一つが「信頼性」です。

信頼性は、文字どおり、会計情報が信頼できる性格を意味します。

信頼性のない(信用できない)会計情報は、意思決定に有用ではないでしょう。



信頼性の下位概念として、概念フレームワークでは、(1)中立性、(2)検証可能性、(3)表現の忠実性をあげています。

さすがにこのあたりまでを視野に入れた出題はない気がします。

飛ばすのも何ですので、簡単に整理しておきましょう。

「中立性」は、特定の利害関係者に偏ることのない中立的な情報であること。

「検証可能性」は、主観に左右されない事実に基づいた情報であること。

「表現の忠実性」は、事実と会計情報とが明確な対応関係をもつこと。



(1)中立性

会計情報が信頼性を持つには、中立性が求められます。

誰かに偏りすぎてはダメということですね。

経営者と投資家の利害は、必ずしも一致しせん。

経営者が市場での資金調達を有利に進めるためちょっと業績をよくみせたい。

そんな誘惑にかられることもあるでしょう。

いかに、経営者に自主的な開示の動機があっても、経営者を全面的に信頼するわけにはいきません。

できるかぎり特定の利害関係者に偏ることのない財務報告が求められます。



(2)検証可能性

会計情報が信頼性を持つには、検証可能性が求められます。

利益測定には、どうしても見積りの要素が入ります。

そのこと自体は、やむを得ません。

しかし、その場合もできるだけ、事後に検証のできる事実に基づいた財務報告が求められます。

正規の簿記の3要件(網羅性、秩序性、検証可能性)の一つとしてあがっているのと同じ意味ですね。



(3)表現の忠実性

会計情報が事実をできるかぎり忠実に表現したものであることも求められるでしょう。

とはいっても会計記録が企業活動のすべてを網羅しているわけではありません。

どうしても一部を切り取ったものにならざるを得ません。

たとえば商品販売を考えても企業はいろんなことをしていますが、会計記録としては売上がたつくらいのものです。

いろんなことをたくさんするでしょうが、商品が売れたという事実だけが売上に集約されるのでしょう。


商品を売った → 売上をたてる


ですからなおのこと企業が行った事実と会計情報ができうるかぎりリンクして、それをきちんと表現したものであることが求められるわけです。

ある事実が行われた(売った)ら、それが忠実に会計情報に反映される(売上)。

表現の忠実性は、そんな事実と会計情報がきちんと対応していることを想定しているのです。


信頼性に「中立性」、「検証可能性」、「表現の忠実性」があることを知っているあなたは、もう、概念フレームワーク上級者!(そうか?)


そうだ、会計基準を読もう!(意思決定有用性を支える特性としての信頼性には、中立性、検証可能性、表現の忠実性がある)


会計基準を読もう!<目次>