概念フレームワーク、読んでますか。

今回は、意志決定有用性を支える特性の一つ「意思決定との関連性」の話です。
財務報告の目的は、投資家の意思決定に役立つことにあり、会計情報に求められる基本的な性質は、「意思決定有用性」です。

意思決定有用性の下位特性には、これを「支える特性」と「制約条件」があります。

今回は、意思決定有用性を支える特性のうち、「意思決定との関連性」をみていきましょう。



投資家は、企業の不確かな業績を予測し、投資判断を行います。

この投資意思決定に役立つためには、会計情報は、投資意思決定に役立つ性格を持っている必要があります。

より具体的には、どのような会計情報が投資意思決定に役立つのでしょうか。

概念フレームワークでは、意思決定有用性を支える特性として「意思決定との関連性」と「信頼性」をあげています。

今回とりあげるのは、このうちの「意志決定との関連性」です。

意思決定との関連性の下位特性として「情報価値の存在」と「情報ニーズの充足」をあげています(第2章末の図で位置づけの確認を!)。



まずは、「情報価値の存在」から。

私たちの周りには情報がたくさんあります。

しかし、たくさんある情報のすべてが私たちの何らかの判断の材料になるわけではありません。

たとえば、出がけに傘をもっていくかどうかを判断するケースで考えてみましょう。


灰色がかった雲が出ている。←○関連あり

テレビの天気予報で雨っていってた。←○関連あり

下駄の鼻緒が切れた←×関連なし(だましですな。って、下駄はかないし)


私たちは、たくさんの情報の中から必要なものを選び、さまざまな判断をします。

情報が私たちの行動に影響を与えるとき、その情報にはその行動に関連した価値があるといえます。



概念フレームワークで意思決定との関連性を支えるのが「情報価値の存在」です。

投資家は、さまざまな情報をもとに投資判断を行っています。

ある企業の新しい商品がものすごくいい。

カリスマ経営者が重病らしい。

こんな情報は、きっと投資家の投資判断に影響を与えるハズです。

つまりは、情報価値があります。

会計情報によって投資家の行動が変化するとき、その会計情報には、情報価値があるといえるでしょう。

このような意味での情報価値は、投資家の投資判断(最終的には株価)と会計情報との関係を調べることである程度はわかります。

このような研究(実証研究)も盛んに行われています。

ある会計情報が投資家の行動=株価に影響を与える。

そんなときにその会計情報には情報価値があるといえます。

ここでは、情報価値が投資家の意思決定に影響を与えることは、実際に確認可能である点を確認しておきましょう。



意思決定との関連性として概念フレームワークがもう一つあげているのが、「情報ニーズの充足」です。

情報価値の存在はある程度、実証研究などで確認できました。

しかし、まったく新たな会計基準を考えるときは、情報価値を確認する方法がありません。

そんなときに意味を持つのがこの情報ニーズの充足です。

ある会計情報に対してニーズがある(だろう)ことをもって意思決定との関連性があると考えるのです。

まあ、何をもってニーズがあるとするかの問題はありますが、コンバージェンスなんかで新しい基準を考える場合にもこの情報ニーズがあるといってよいでしょうか。

また、情報ニーズというのは、ある意味では、情報価値のようにそれが有益であるか等は、確かめようがありません。

その意味でも無制限にニーズのみが一人歩きすることは危険でもあります。

情報価値の存在が確認可能であるのに対して、情報ニーズがやや興味本位な面があることも確認しておきましょう。


意思決定有用性を支える特性として「意思決定との関連性」には、情報価値の存在と情報ニーズの充足があります。

情報価値があるからこそ、意思決定に関連し、投資家の意思決定に役立つ。

意思決定との関連性は、情報価値の存在をメインに情報ニーズも考えるのねといった感じででいのではないでしょうか。


そうだ、会計基準を読もう!(まま、そこそこって感じで)


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