概念フレームワーク、読んでますか。

今回は、会計情報を投資意思決定以外に利用する話です。
財務報告の目的は、投資家の意思決定に資することにありました。

もっとも、財務情報は、投資家の意思決定目的以外にも様々な用途に利用されます。

たとえば、会社法では、株主への分配可能額の算定に会計数値を利用します。

税務申告でも会計数値を利用します。

自己資本比率規制(銀行)、ソルベンシー・マージン規制(保険会社)なども会計数値を利用した規制の一種です。

このような他の目的と意思決定目的との関係を概念フレームワークはどう考えているでしょうか。



概念フレームワークでは、あくまでも投資意思決定目的が主目的であり、それ以外の利用目的を副次的目的としています。

投資家が「主」で、それ以外の利害関係者を「従」とみているんですね。

概念フレームワークでの記述、そして会計基準でも、まずは投資意思決定目的が優先します。


主目的 → 投資意思決定目的

副次的目的 → 利害調整目的(会社法、税務での利用等)



あくまでも主目的は、投資意思決定の支援ですが、副次的目的も考慮されます。

具体的に記憶に新しいのは会社法の影響でしょう。

数年前に商法から会社法への移行があり、会計のことは会計にまかせるというスタンスは強くなりました。

会社法と会計との接点ともいえる配当規制は、会社法での株主と「債権者」との利害調整の問題です。

概念フレームワークでは、副次的な目的の話ですが、配当規制がらみは会社法が優先します。

何を資本金や準備金にするのかは、会計の問題ではなく、会社法の問題です。

会社法の導入にあたって、会社法を尊重しながら会計のルールが改められました。

このように副次的目的といえども影響が大きければ、きちんと考慮します。



概念フレームワークでは、会社法とのかかわりのように、副次的目的を配慮することもあります。

しかし、常に副次的目標を考慮するわけではありません。

影響が小さければムシせざるを得ないでしょう。

あくまでもコストの問題です。

会計基準を改正すれば、副次的目的に会計情報を利用している人は、個々に契約を交わし直す必要が出てくるかもしれません。

たとえば、社債を発行する際には、社債契約というのをかわします。

その中には企業の赤字が2期続いたら、全部償還しろ等の規制があったりします。

会計基準が変更されれば、このような個別の契約にも影響するでしょう。

しかし、個別の契約全部を考慮することはとてもできません。

そんなときは、あくまでもコストと便益を勘案して考える。

概念フレームワークの立場です。


細かい点はともかく、概念フレームワークが投資意思決定目的を主とし利害調整目的等を副次的目的としている点をしっかり理解しておきましょう。


そうだ、会計基準を読もう!(主目的<投資意思決定>と副次的目的<利害調整等>との関係をおさえよう!)


会計基準を読もう!<目次>