概念フレームワーク、読んでますか?

今回は、会計基準の周辺の話です。
概念フレームワークは、財務会計の考え方をまとめたものです。

といっても、純粋な会計理論だけを考慮しているわけではありません。

現在の置かれている環境を考えています。

環境は、会計を考えるうえでの制約になることもあります。

このような意味での環境(制約要因)としては、市場慣行、投資家の情報分析能力、法の体系や考え方などがあります。



市場慣行や法規制など、国が異なれば会計基準をとりまく環境も違います。

すごく有名なところでは、税法(税務)と会計の関係があります。

日本では、税務で確定決算基準という考え方があります(以下、試験には余り関係ありませんが)。

確定決算基準は、税務で会計(確定決算)を前提にする考え方です。

税務の側で会計を考えるのだから会計に大きな影響はないのでは?

そう考えられるかもしれませんが、影響は小さくありません。

特に会計基準よりも税務の方が細かく規定されているケース(たとえば減価償却など)は、税務がある種の基準として機能していることが少なくないのです。

税務が会計をいわば利用しているハズなのに、逆に会計で税務が基準のような意味を持つことがある。

このような働きは、「逆基準性」などと呼ばれます。

つまりは、税法の規定が会計での基準のような役割を果たすことがあるんです。

250%定率法は、税務で規定された減価償却方法です。

250%定率法が税務で導入されたことにより、会計のテキスト等も書き換えられています。

このような取扱いが代表例といえるでしょう。

これに対してアメリカでは、税務と会計が距離をとっているといわれます。

そのため税務が会計に与える影響が小さいです。

会計と税務が密接にリンクしている国とそうでない国とで会計基準をつくる際にも、まったく同じわけにはいきません。

国際会計基準のお膝元であるイギリスなどは、完全分離です。

会計と税務がまったく並行して存在する国では、会計で好き勝手(言い過ぎ?)をやれる余地も大きいでしょう。

しかし、税務と会計の関連が深いと、会計の側でもできるだけ税務にも配慮してという発想が働くハズです(以前ほどではありませんが)。

また、そうしないと実際に困る(混乱する)のは、企業でしょう。

税務のあり方を一つとってみても、前提(環境)は国ごとに異なることがわかります。

そのような前提(環境)をムシしない(ムシできない)と概念フレームワークは考えているのでしょう。



もっとも、経済の局面では、かつてよりも垣根が取り払われて、国ごとの差異は小さくなっています。

このような事情を背景に会計基準の収れん(コンバージェンス)の動きも進んできました。

しかし、環境の違いをムシして会計基準を一つにする(アドプション)のではなく、できるだけすり合わせること(コンバージェンス)を指向している。

概念フレームワークの基本的な立場といえるでしょう。

そのすり合わせの素材としても概念フレームワークが意味を持つといえるのです。

コンバージェンスとアドプションの議論にも会計基準の開発が環境にどの程度配慮すべきかが影響しているといってよさそうです。


そうだ、会計基準を読もう!(いや、試験とはあまり関係なかったかな)


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