包括利益基準、読んでますか?

今回は、包括利益基準の対象である包括利益って何?というお話です。
包括利益と純利益との関係に関する過去記事(「包括利益と純利益」←長いですがオススメです)もぜひご参照いただくとして、まずは、包括利益の定義を整理しておきましょう。

包括利益を基準から離れて、イメージすれば、「財産法的な利益」という感じでしょうか。

あるいは純利益に時価の評価益を加えたものといってもよいかもしれません。

純資産(資産−負債)を時価で評価して、その増えた分が包括利益です。

財産法による利益は、「期末純資産-期首純資産」で計算されます。

純資産がどれだけ増えたか。

つまりは、「一期間に純資産が増えた額」が包括利益です。

基準では、利益をプラスのみではなく、マイナス(損失)も含めて使っているので、「増えた額」よりも「変動した額」の方が正確でしょうか。

基準の言い方でいうと「純資産の変動額」が包括利益です。



正確な定義をみておきましょう。

「包括利益」とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち、当該企業の純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない部分をいう。



包括利益基準は、そもそもが包括利益の「表示」基準です。

包括利益をあくまでも表示の側面から示したものであるため、正確な定義では、財務諸表が強調されています。


後段は、「資本取引を除く」という意味です。

増資などの資本取引で純資産が増えても、利益(包括利益)にはなりません。

純資産の変動から資本取引によるものを除くのは当然でしょう。

なお、持分権者には、株主以外に新株予約権者や非支配株主(連結の場合)も含まれます。



概念フレームワークの定義も示しておきましょう。

「包括利益とは、特定期間における純資産の変動額のうち、報告主体の所有者である株主、子会社の少数株主(非支配株主)、及び将来それらになり得るオプションの所有者との直接的な取引によらない部分をいう。」


表現は違いますが、包括利益基準と同じです。

まずは、包括利益を具体的にイメージし、その定義の意味を正確に表現できるようにしておきましょう。


そうだ、会計基準を読もう!(包括利益は、資本取引以外による純資産の変動額です)


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