企業会計原則では、長期工事の請負に関する収益の認識基準は、工事進行基準と工事完成基準の選択適用でした。

これが変更になったのですが、どうして変更されたのでしょうか?

以前の取り扱いの何がいけなかったのでしょうか。
従来の長期工事の請負に関する収益の認識は、工事進行基準と工事完成基準の選択適用でした。

どちらでもよいというのが従来だったわけです。

工事契約基準では、基本的に工事進行基準に一本化しています(成果の確実性が認められない場合は工事完成基準)。

従来の選択適用では何がまずいのでしょうか。

工事契約基準ではこの辺のいきさつについて、両者の選択では、財務諸表間の比較可能性が害されるとの指摘があります(29項)。

比較可能性には、期間比較と企業間比較がありますが、ここでは、企業間比較を意味しています。

いろんな企業で基準をマチマチに使っていたのでは、企業どおしで財務諸表を比べられないでしょというのが理由です。

これまでも新しい基準が出題されるケースでは、その制度の趣旨や旧制度の問題点がよく出題されています。

しっかりとおさえておきましょう。



以下、余談に近いです。

概念フレームワークには、財務報告を行うにあたって求められる会計情報の質的特性が記述されていました。

そこに比較可能性があります。

質的特性としては、意思決定有用性を筆頭にそれを支える特性に意思決定との関連性と信頼性をあげています。

また、意思決定有用性の一般的制約となる特性として内的整合性と比較可能性をあげています。

比較可能性は、ここにあります。

いわば最低条件に近いものとして位置づけられています(ちょっと弱めなんですね)。

概念フレームワークでの会計情報の質的特性も軽く念頭においておきましょう。