次の項目にそれぞれ資産性はあるでしょうか?

(1)繰延税金資産

(2)繰延資産

(3)(退職給付引当金の)年金資産

概念フレームワークができてから資産性という切り口は、一つの大きな論点です。

概念フレームワークでは、資産を「過去の取引または事象の結果として報告主体が支配している経済的資源」と定義し、経済的資源を「キャッシュの獲得に貢献する便益の源泉」と定義しています。

このような資産の定義を踏まえて、一つずつみておきましょう。



(1)繰延税金資産

繰延税金資産には、換金価値がありません。

誰も他人の会計上の税金の前払いを欲しいとは思わないでしょう。

概念フレームワークでは、キャッシュの獲得に関連づけて資産を考えています。

繰延税金資産は、法人税等の前払いを意味し、将来のキャッシュ・アウトフローを減額させる効果を持ちます。

この意味で繰延税金資産は、将来のキャッシュの獲得に貢献するといえますので、回収可能性に問題がない限り資産性ありです。




(2)繰延資産

繰延資産には、換金価値がありません。

しかし、繰延資産は、繰延資産はそもそも将来の収益の対応関係からその設定が根拠づけられるものです。

概念フレームワークのもとでの繰延資産はやや微妙です。

キャッシュの獲得に貢献するなら資産性ありといえるでしょうが、やや微妙である点は念頭においておきましょう。




(3)年金資産

年金資産は、財産そのものなのでいずれの資産概念のもとでも資産性ありです。

企業が支配していないとの理由で資産性なしとする記述をみかけることがあります。

しかし、概念フレームワークにおける支配は、経済的資源から生み出される便益を享受することができる状態をいい、退職給付債務の支払いに充当できる(それしかできないですが)わけですから企業が支配しているといえます。

繰延税金資産は、税効果会計基準において将来の法人税等の減額効果をもって資産性が説明されていますが、これと同様といえるでしょう(年金資産に資産性がないなら、繰延税金資産にも資産性はないというべきです。)。

ただし、退職給付に充てる前提がありますので、現行制度上は、これを退職給付債務から控除して計上することとされています。