本年の財務諸表論のヤマの一つがリースです。

ファイナンス・リース取引は、売買処理が行われますが、その理由として、基準では、割賦売買取引との比較可能性を考慮したためと述べています。

どこがどう似ているのでしょうか。
そもそもファイナンス・リース取引の経済的実態は売買なので改正前基準から基本的には売買処理(29項)しています。

29項では、続けて、割賦売買取引との比較可能性に配慮したものであることが述べられています。

印象としてではなく、どのように割賦売買取引とファイナンス・リース取引は似ているのでしょうか。



割賦売買取引は、一般の商品売買取引よりも代金の受払いが分割、かつ、長期です。

一般の商品売買取引とのもっとも大きな違いはこの点にあります。

もう一点、指摘できるのが、割賦売買取引では、代金回収に配慮して、割賦金の完済までの間、所有権が売り手に留保される点でしょう。

つまりは、代金を全部払わないと完全には買い手のものにはならないのです。

このことをもって例えば、代金を完済しないと売買が行われたと考えることはできません。

商品自体は、引渡しの段階で、買い手が自由に使用できるのですから。



割賦売買では、代金の回収完了まで物件の所有権が移転しません。

この取引は、何かに似てませんか?

そう、所有権移転ファイナンス・リース取引です。

リース取引は、法的には賃貸借取引ですが、リース期間の満了時に所有権が移転する所有権移転ファイナンス・リース取引と割賦売買取引を比べるとあまりにもよく似ていることに気づきます。

期間の開始日に、借り手(買い手)は、物件を自由に使えます。

期間の終了日には、いずれも所有権が移転します。

こうなるともう割賦売買取引と所有権移転ファイナンス・リース取引ってどこが違うの?というくらい似ています。

もちろん法的には、そもそもが売買か、賃貸借かという違いがありますが、実態は限りなく近いです。

会計が捕まえるのは、必ずしも法形式ではなく、その経済的な実態です。

経済的な実態が同じ取引に関しては同じ会計処理が行われるべきでしょう。



所有権移転ファイナンス・リース取引での借り手の減価償却は、自己所有の固定資産とまったく同じに行われます。

所有権移転ファイナンス・リース取引と割賦売買取引の実態がまったく同じであるとすれば、借り手(買い手)の資産の減価償却もまったく同様に行われるべきことになります。