今年の簿記論の出題をみながら簿記論学習の今後を考えてみました。
今後の簿記論学習において留意すべきなのは次の諸点ではないかと思います。

(1)基礎項目を重視する

(2)標準的な総合問題でのスピードを重視する

(3)時事的な構造論点に注意する



(1)基礎項目を重視する

本年の第一問が難易度の高いリースの貸手の処理でした。

第一問に注目がいきがちで、それも当然だと思います。

しかし、私は第一問よりも第二問に興味を引かれます。

出題分野が様々で量も多く、難易度も高い。

それが第二問の特徴です。

次年度に若干の調整をしてくるにせよ量の多い、難易度の高い問題が続くと想定するのが自然でしょう。

専門学校等もそれに応じた対策をとるハズです。

つまりは答練等もその方向での変化があるハズです。

もちろん本試験に受かることが重要で答練をこなすことが重要なのではありません。

しかし、それ以前の学習で答練も本試験も見据えていないと直前期に何をしてよいのやらわからないという事態に陥ってしまう可能性があります。

それを回避するには、やはり事前に圧倒的といえるほどの基礎的な個別問題に習熟しておく必要があるでしょう。

やや細かい条件チックな出題にも対応したいところです。



(2)標準的な総合問題でのスピードを重視する

総合問題を意識しつつ個別問題を多くこなすことで総合問題への対処もはかることは可能です。

もちろん総合問題を数多くこなすことも必要でしょう。

量の多い、難易度の高い出題が現実になされてしまった以上、スピード対策も重要です。


(3)時事的な構造論点に注意する

今年の本試験を振り返ると簿記論でのリースの出題や財務諸表論での資産除去債務の出題等の新しい項目の出題はやはり目立ちます。

簿財共通ですが、この傾向は変わらないでしょう。

そこで注目したいのが企業結合(事業分離)です。

平成21年の第二問で企業評価を問う出題がなされていますが、これは企業結合の改正等にかかわらない部分です。

ここ数年、企業結合に関する計算での出題がそれ以外にはありませんので、これは本当に要注意です。

事業分離を絡めた出題があるのかはわかりませんが、第一問で比較的大きな個別問題が十分に予想されるのではないでしょうか。

また、リースの貸手のような難易度の高い問題の可能性がないとはいえませんが、やはり十分な対策をとっておくべきでしょう。