棚卸資産会計基準、読んでますか?

棚卸資産基準における時価といえば、正味売却価額ですが、もう一つの時価−再調達原価−の話です。
棚卸資産基準における時価には、売ったらいくらの「正味売却価額」と買ったらいくらの「再調達原価」があります。

棚卸資産基準では、基本的には資金の回収可能額を意味する正味売却価額をとることとしています。

ただし、一定の場合には、再調達原価をとることができます。

どういう場合かというと、

(1)再調達原価の方が把握しやすく、再調達原価の動きが正味売却価額にリンクしている

(2)継続適用している

という場合です。


(1)把握しやすい、正味売却価額にリンク

製造業における原材料などは企業の側ではそれを売却する訳ではありません。

加工を加えた後に製品として販売します。

いくらで売れるのかに関心も乏しいでしょう。

再び買う金額ならわかります。

これが再調達原価です。

もっとも再調達原価の方が把握しやすいとはいっても売値と買値がバラバラに動く可能性がある場合は、問題があるでしょう。

しかし、ほぼ値動きがリンクしている場合(多くはそうでしょう)には、再調達原価でもいいよという取扱いです。


(2)継続適用
再調達原価を採用するのはある種の簡便法であり、継続適用が要件とされます。

基準で想定している時価はあくまでも資金の回収可能額である正味売却価額です。

再調達原価は例外として認めているにすぎません。

正味売却価額がとれるならそれをとるべきでしょう。

そこで再調達原価については継続適用が要件とされています。


そうだ、会計基準を読もう!!(再調達原価にも目をむけましょう)


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