今では原価計算って何?という情けない状態ですが、これでもいちおう日商一級を持っています。

もう合格証書はどこかにいってしまいました。

もしかすると幻かも。

どんな問題を解いたかを思い出す糸口さえ見つけられません。

しかし、それでも今だに忘れられない記憶があります。
学習をはじめた当初から簿記はそこそこ性に合っていたのか日商一級受験までの簿記検定はすべて一回で合格していました。

ただ、日商一級は別でした。

急に勉強の方向性が見えなくなってしまったのです。

それなりに勉強はしていました。

でも、自分の実力がどの程度かわかっていませんでした。

どの程度の合格可能性があるのかもまるでわかっていませんでした。

本当に何もわからないままに迎えたはじめての本試験。

何かの科目で問題全体が皆目わからない出題があり、それがダメ押しに近い感じです。

問題を解きながらも「これはダメだな」と思っていました。

結果は不合格。

ところがです。

確か68点ほどでギリギリの不合格だったのです。

一つの科目が足切り(40%未満)かもと思っていたのに足切りではなく、なおかつ全体でもあとわずか2点だったのです。

これにはかなり驚きました。

自分の解いた印象はすごく悪かったのに結果の点数はギリギリ。

よく聞く傾斜配点かなとも思いつつ、あと2点だったことで悔しさが急にこみあげてきたことを覚えています。



さて、あとわずか2点の悔しさをバネに次回は全力投球で満点合格とでもいけば、物語としては美しかったでしょう。

しかし、現実はそうなりませんでした。

勉強に対する確信は相変わらずもてず、したがってそれほど勉強した訳でもありません。

かといって、まったくやらない訳でもなく、ズルズルと中途半端な日々を過ごしていました。

そんな中、前回とほぼ変わらない状況で迎えた2度目の本試験。

実力はもしかすると前回より落ちていたかもしれません。

問題から受ける印象も前回とさほど変わりありませんでした。

ただ、一点だけ変わったことがありました。

それは、前回は2点差で落ちたんだから前回ちょっとだけミスった箇所を1〜2個クリアすれば受かると思ったのです。

そのために試験中にしたことといえばはじめてから終わりまで一切気を抜かなかったことです。

ねばったんです。

時間はやや余ったので慎重に見直しもしました。

その過程で間違えも数か所、直しました。



2度目の受験は72点で合格しました。

1度目と2度目の自分の実力はひいき目にみても同等かやや落ちていたハズです。

それでも受かったのは気を抜かなかっただけ。

それだけしか違いは見当たりません。



その後の税理士試験の模試や本試験でもこの2点の差の運命の違いはよく思いだします。

同じ2点なら足りずに悔しい思いはしたくない。

そのためにしなければならないことは、ただひとつです。

一つ一つの試験に持てる力を発揮するだけの気持ちをしっかり持つことです。

それだけの違いしかありません。

今でもこの話は自戒の念も込めてよくします。

あと2点の違いに泣くか、笑うか。

結果は事後にしかわかりません。

しかし、事前に決まっていることもあるのです。

そんなことを強く感じます。



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