アメリカにおいて資本剰余金概念が確立されたのは今から80年ほど前のことです。

驚くほど古いという印象はありません。
アメリカにおいて資本剰余金概念が登場してから登場したといってもよいのが利益剰余金基準です。

文字どおりに我国でいえば利益剰余金相当を分配可能とするのが利益剰余金基準です。

旧商法(特に平成13年改正以前)の我国の分配規制は、これにもっとも近いものでした。

しかし、資本剰余金概念が登場する以前に剰余金を分配していたことからもわかるように必ずしもアメリカの各州で資本剰余金の分配が禁じられていた訳ではありません。



立法や法解釈の立場は大きく次の3つにわかれます。

(1)資本剰余金は利益ではなく、分配不能

(2)資本剰余金は利益ではないが、分配可能

(3)資本剰余金は利益であり、分配可能

いずれの立法や裁判例もあるのですが、もっとも多いのは(3)です。

資本剰余金を既存株主とのバランスを保つ上で払い込んだものと理解し、これを利益剰余金に近いものとみる裁判例もあるようです。

資本剰余金が利益である。

慣習法の国、アメリカの判例でこれを利益とする判断が下されたことがある。

会計学的には、紛れもなく資本なんでしょうが、そのような法的な判断が行われたアメリカにどのような素地があったのかは興味深いところです。



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