アメリカには50の州があり、それぞれの州で会社法が分配規制をもっています。

それらを一括して語るのは、微妙な面がありますが、おおむねいくつかの基準を組み合わせたものになっています。

そのうちの一つが支払不能禁止基準です。
アメリカの分配規制はいくつかの類型に区分できます。

(1)支払不能禁止基準

(2)剰余金基準

(3)利益剰余金基準

(4)純利益基準

貸借対照表の貸方が異なるので一概にはいえませんが、おおむね我国の考え方は、(2)ないしは(3)に近いといえるでしょう。

我国ではみられないのは(1)と(4)です。

ここでは(1)の支払不能禁止基準を考えてみます。



もともと分配規制は、株主への不当な財産の流出を防ぎ、債権者の保護をはかるのが目的です。

債務の返済ができない配当を禁じたのが支払不能禁止基準です。

おおむね、

(1)債務の弁済ができない状態での配当の禁止

(2)配当をすることで債務が弁済できなくなる配当の禁止

の2つを内容としています。

債権者の保護を考えるのが分配規制ですから、その実質にもっともかなった規制といってよさそうです。

我国ではこのような規定はおかれていません。

確かに実質的にこの規定が生きれば、債権者の保護に資するのは間違いありません。

しかし、具体的な財源等の数字が伴わない規制では、よりどころに乏しい面があります。

後の株主と債権者の紛争を考えても、水掛け論になってしまいがちです。



考え方としては最も債権者保護に資するといえそうな支払不能禁止基準ですが、具体的でないことが大きな欠陥でしょう。

しかし、このような規定ないしは規定を生む素地が後のアメリカの分配規制に大きな影響を与えた。

そういってよいのではないかと思います。



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