(仕入諸掛を仕入に含める理由)
講 師:「次の取引で売上総利益を計算してもらうと5円だったね。」

(例)2個仕入@50円 1個売上@60円

引取運賃10円


仕入:(借)仕  入100 (貸)現  金100

諸掛:(借)仕  入 10 (貸)現  金 10

売上:(借)売 掛 金 60 (貸)売  上 60

決算:(借)繰越商品 55 (貸)仕  入 55


売上高60円−売上原価(100円+10円−55円)=5円


講 師:「それじゃあもし、仕入諸掛を費用にしていたら当期の売上総利益はいくらになるかな?」

モン吉:「えーっと、めんどくさいなあ。」

講 師:「何かいったかな。」

モン吉:「いえ、独り言で〜す。売上高は60円。売上原価は期首ゼロ+当期100円−期末50円=50円。売上総利益は、60円−50円=10円です。」

講 師:「当期の純利益はいくらかな?」

モン吉:「えーっと、めんどくさくないですよっと。売上総利益10円−仕入諸掛10円=0。あっ、ゼロです。」

講 師:「それじゃあ次の期に商品が60円で売れたら売上総利益はいくらかな?」

モン吉:「次の期は、売上高60円−売上原価50円=10円です。」

講 師:「純利益は?」

モン吉:「諸掛は前の期に費用にした前提だから純利益も10円です。」

講 師:「同じ商品を2個仕入れて、1個はその期に販売した。1個は翌期に販売した。当期と翌期の利益は同じ方が合理的じゃないかな。」

モン吉:「たしかに言われてみるとそうです。」

講 師:「仕入時の諸掛を仕入に含めるのはそんな理由からなんだよ。」

モン吉:「売上との関係を考えてるんですね。よくわかりました。」

講 師:「売上と対応させるためっていってもいいよね。」


(販売諸掛の取扱い)
モン吉:「販売時の諸掛はどうするんでしたっけ。」

講 師:「販売時の諸掛は、そのまま費用にすればいいのさ。」

モン吉:「これはどうしてですか?」

講 師:「売る時の諸掛だからそのときにもう売上はたつよね。」

モン吉:「対応させる売上は、もう当期の収益に全部計上されている。だからそのまま費用でいいんですね。」

講 師:「そう。同じ諸掛でも仕入諸掛と販売諸掛では取扱いが違うのは、売上との対応関係が異なるからなんだよ。」

モン吉:「売上との対応関係が大事なんですね。」

講 師:「会計学では、この考え方を費用収益対応の原則っていうね。」

モン吉:「費用収益対応の原則?」

講 師:「今は簿記の話だからそれほど気にしなくていいけど、収益(売上)と費用(売上原価等の費用)の対応関係をはかる考え方さ。」

モン吉:「費用収益対応の原則ですね。ちょっと難しいですけど勉強になりました!!」


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