分配可能額を超える配当は、「違法配当」と呼ばれます。

違法配当については、有効説と無効説の対立があるようです。

これは純然たる会社法の問題といってよいでしょう。

違法配当とは別に取締役は、分配可能額の範囲内で配当を行っても責任を負う場合があります。

それが「欠損てん補責任」です。

すごく単純にいうと期中に分配可能額の範囲内で配当を行っても決算が欠損だったら欠損部分(正確には欠損部分と配当額の少ない金額)を取締役が面倒みろという規定です。

欠損てん補責任は定時株主総会の決議による配当には適用がありません。

分配可能額の範囲内で配当を行った場合でも期中配当に適用はあります。

しかし、「いわゆる配当可能額」の範囲内で配当を行っていればこの欠損てん補責任がない訳ではありません。

もし、そうなら分配可能額とは別に「いわゆる配当可能額」がある意味もあるかもしれません。

でも、「いわゆる配当可能額」の範囲で配当を行っても欠損てん補責任を負う場合がある。

取締役の責任(欠損てん補)との関係で配当可能額が別途存在することにはなりません。

このことと分配可能額ギリギリの配当を行うのが好ましくないといった議論は混同すべきではないでしょう。

それはただの配当政策(配当をどれだけしようかな)の話で会社法の解釈にかかわる話ではありません。



定時株主総会での剰余金の配当について、取締役は欠損てん補責任を負いません。

欠損てん補責任を負う可能性があるのは、期中配当です。

仮に期中の利益を見越して分配可能額一杯の配当を行った。

しかし、決算を組んでみたら予想に反して損失が出た。

で、期末に分配可能額がマイナスなら取締役が責任を負います。

期中の損益を分配可能額に反映させたい(できれば取締役が責任を負いたくない)のであれば、臨時計算書類を作成して、期中の損益を分配可能額に反映させることができます。

この場合は、剰余金の額が増えるのではなく、あくまでも分配可能額が増えるだけです。

会社法が剰余金の額と分配可能額を別個に考えている点は注目してよいでしょう。