分配可能額以外の「いわゆる配当可能額」はありません。

あるとする記述は、ただのミスです。

しかし、なぜあるとの記述が多いのか。

検証企画第2弾。

詳しい根拠等は、トップページの記事をご覧ください。

その他の記事も含めた記事の一覧は次の記事をどうぞ。

「会社法であそぼ」がうらやましい


配当可能額が分配可能額と別個に存在しない理由。

それは、「会社法で規定していないから」です。

剰余金の配当は会社法上の行為です。

会社法の行為である剰余金の配当の限度を考えるのに企業会計が顔を出す必要はありません。

まずは会社法(会社計算規則)の規定をきちんと考える。

それが先決です。


大きな流れは次の感じです(囲みですが、引用ではありません)。

(1)会社は剰余金の配当ができる(453条)

(2)剰余金の配当をする場合は、配当財産の帳簿価額の総額を決めなければいけない(454条1項)

(3)株主に交付する金銭等の帳簿価額の総額は、その行為が効力を生ずる日の分配可能額を超えてはいけない(461)




配当可能額が別途存在するという場合の根拠とされる規定は445条4項です。

剰余金の配当をする場合には、剰余金の配当により減少する剰余金の額の10分の1の額の準備金を計上しなければならない。



私には、この規定が配当を金額的に制限する規定にどうしても読めません。

配当をする場合は規定の準備金を計上しろ。

それ以上のことをいっているとは読めません。

しかし、そう解釈してしまう人もいる。

同じ文章を読んで結論が異なるのはとてもビックリです。

ただ、思いあたるのは、旧商法時代の取扱いです。

旧商法では、利益準備金の積立て(現在の準備金の計上に相当)と平行して、配当可能利益(現在の分配可能額に相当)の計算において、利益準備金の要積立額を控除する規定があったことです。

現在も配当可能額が別途存在するとの記述は、従来のこの取扱いを引きずったものといってよいでしょう。

そうでないという方の反論をお待ちしています。