日本実業出版社 大久保様より献本御礼。

著者は「夢をかなえる勉強法」の伊藤真氏。

司法試験受験界のカリスマ講師である。


税理士試験をはじめとする難易度の高い試験に挑戦している皆さんにお聞きしましょう。


あなたの心、折れてませんか?

税理士試験をはじめ難易度の高い本試験、いや、直前模試の洗礼を受けた方ならおわかりだろう。

一部の例外的に優秀な方を除いて。


心が折れる。


音をたてて折れてしまう。

膨大な量。

見たことのない資料。

圧倒され、我を忘れる。

時間との戦いに負ける。

できるハズのことができない。

ただ、時間だけが過ぎていく。

終了後、しばし呆然とする。

そんな繰り返し。

普段は偉そうに講釈をたれている講師も例外ではない。

もちろん、それを覆い尽くすだけの力がありさえすればよい。

しかし、そんな人はごくわずかだろう。

学力の不足は一朝一夕には補えない。

その前にすべきことがあるのだ。



折れた心を紡ぐ、いや、折れない心への著者の処方がここにある。

折れない心の「お守り」が本書である。

「お守り」をいくつか抜粋しておこう。


・どんな勉強法よりも大切なのは合格後の自分を思い描くこと。

・やりなおせる謙虚な心が夢をかなえる最大の武器。

・「これでいいだろう」という妥協を徹底的に排除する。

・今日まで手にしてきたもの、失ってきたもの、すべてがあってここにいる。


再難関といわれる司法試験の受験指導に30年以上も携わってきただけあってそのことばには力がある。

私の受験指導暦など及びもしないが、思うことが驚くほどに似ていることの不思議を感じる。

違いといえば、写真でしか拝見したことのない見た目(いい男)とその美声(いい声)か。

その美声を吹き込んだCDがついている。

私には、活字は活字という固定観念があるせいかいまひとつその形態にはなじめないが、実際に聞いてみると思った以上にいい。

活字よりも音が生活に密着している方にはオススメ。

巻末付録のしおりも残念ながら本をきりとることに抵抗があるのでややいただけない。


本書は各章が受験生におくった手紙ではじまる。

その一節に次のようにある。

大事は小事の積み重ねでしかありえません。

魔法の杖などないのです。


そう、魔法の杖などないのだ。

あたりまえのことをあたりまえにできるか。

ごくあたりまえの小事を積み上げられるか。

30年という年月を経てなお夢を語る、いや、夢を語る大事さを語る著者のことばに嘘はない。

司法試験受験生だけでなく、多くの税理士試験受験生に手にしてもらいたい「ささえ」の一冊である。