(収益の認識)
講 師:「試用販売が一般販売と大きく違う点は、商品を相手に渡しても売れたとはいえない点だね。」

モン吉:「お試し販売ですもんね。」

講 師:「一般の商品販売では、商品を相手に引き渡せば、売上を計上するけれど、試用販売の場合は、引渡しただけじゃ売上は計上できないね。」

モン吉:「それじゃあ、どうするんですか?」

講 師:「相手が買ったといった段階で売上をたてるのが自然だね。」

モン吉:「お客さんが買うよっていった時点ですね。」

講 師:「そうだね。買取の意思を表示した時点で売上をたてる。それが原則だね。」

モン吉:「でも、試用販売で実際にはわざわざ買いますって返事はしませんよね?」

講 師:「一般的には、試用期間を設けて、その間にイヤなら返品してくださいって感じかな。」

モン吉:「その時はどうするんですか?」

講 師:「期間が過ぎても連絡がなければ売上をたてるってことでいいんじゃないかな。」

モン吉:「原則的には、買取の意思表示で売上をたてるけど、試用期間が過ぎた時点でたてる場合もあるって感じですね。」

講 師:「おっ。きちんと整理できたね。」


(対照勘定法)
モン吉:「具体的な処理方法にはどんな方法があるんですか?」

講 師:「方法はいくつか考えられるけど、一つは対照勘定法と呼ばれる方法だね。」

モン吉:「割賦販売のときの対照勘定法と同じですか?」

講 師:「考え方はまったく一緒だよ。」

モン吉:「えーっと、割賦販売の場合は回収時点で売上をたてるのが、試用販売の場合は相手が買ったといったらたてるんですね。」

講 師:「そうだね。基本的な処理を具体的にみておこうか。」

モン吉:「バナナジュースでお願いします。」

講 師:「ほら、モン吉くん。ジュースは飲んだら無くなっちゃうじゃないか。」

モン吉:「バナナジュースでお願いします。」

講 師:「しょうがないな。じゃあ、バナナジュースでいこうか。」


(事例:あくまでもバナナジュース)
原価80円 試用販売売価100円

仕入時 :(借)仕   入 80 (貸)現   金 80

引渡時 :(借)試用未収金100 (貸)試用仮売上100

意思表示:(借)売掛金  100 (貸)試用売上 100
        試用仮売上100    試用未収金100


講 師:「対照勘定は、ただの売価でのメモだから、それほど気にしないでいいね。」

モン吉:「これは割賦販売と同じですね。」

講 師:「そうだね。自分で仕訳をきるときは好きな科目でいいよ。」

モン吉:「試算表に科目があるときは、貸借が同額の科目が対照勘定でしたね。」

講 師:「そうだよ。よくわかってるじゃないか。」

モン吉:「割賦販売のときにやりました!!」

講 師:「一連の処理はどうかな?」

モン吉:「引渡時点で対照勘定を売価でたてて、意思表示時点で売上をたてて、対照勘定の逆仕訳ですね。」

講 師:「これは割賦販売と同じだから大丈夫かな。」

モン吉:「売掛金はだだの売掛金でいいんですか?」

講 師:「試用販売は、お試し販売に特徴があるんで、売掛金に特徴がある訳じゃないから区別する意味は少ないんじゃないかな。」

モン吉:「それじゃあ区別しなくていいんですね。」

講 師:「区別するかどうかは企業の自由って面もあるから、問題でも臨機応変にね。」

モン吉:「科目の使い方は思ってたよりも緩めなんですね。」

講 師:「実際の簿記論の試験でも多様だから思い込まない方がいいかもしれないね。」

モン吉:「わかりました。」


モン吉くんと学ぶ試用販売(3)


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