(売価還元低価法の合理性)
講 師:「それじゃあ、売価還元低価法の原価率はいくつかな?」

モン吉:「えーっと、値下を加味しないで、分子÷分母っと。」


分子:当期仕入80円
分母:当期仕入80円+原始値入額20円=100円
分子÷分母=80%


モン吉:「80%です。」

講 師:「評価額は?」

モン吉:「えーっと期末売価90円×80%=72円です。」

講 師:「売価は100円から90円に1割下がってる。実際の時価(この場合は再び買う場合の時価)が1割下落していても不思議はないよね。」

モン吉:「実際に比例するんですか?」

講 師:「実際の値動きはまた別だろうね。でもおおむね比例して動くって考えてもそう遠くはないね。」

モン吉:「ちょっとわかりにくいです。」

講 師:「通常の低価法と比べてそんなには不合理じゃないってところかな。」

モン吉:「そんなに、ですか。」

講 師:「そうだね。売るときの時価と買うときの時価は正比例する訳じゃないし、おおむね合理的くらいじゃないかな。」

モン吉:「なんか微妙なんですね。」


(もう一つの期末売価)
講 師:「あ、あと原価率をかける期末売価を値下前の金額でやるとどうなるかな?」

モン吉:「値下前ですか。えーっと100円×80%=80円です。あれっ。原価に戻りました。」

講 師:「そうなんだ原価に戻っちゃうんだよ。」

モン吉:「低価法なのに原価なんですか?」

講 師:「そうだね。原価率をかける前の売価を値下後じゃなくて当初の売価を使うと原価に戻るんだ。」

モン吉:「それはおかしいなあ。これはパスですね。」

講 師:「うーん、パスといいたいんだけどそうもいえないんだ。」

モン吉:「だって売価還元低価法なのに原価になったらおかしいじゃないですか?」

講 師:「それはそうなんだけど。」

モン吉:「あっ。もし売価還元原価法のときに原価率をかける期末売価に値下前の金額を使ったら期末の金額は原価よりも大きくなっちゃうじゃないですか。」

講 師:「すごいところに気がついたね。」

モン吉:「だって、値下前の金額は100円。売価還元平均原価法の原価率は80/90だから。えーっと。」

講 師:「きりのいい数字はでないけど、原価よりも高くなっちゃうね。」

モン吉:「やっぱりおかしいや。」


(正常売価と実勢売価)
講 師:「そうなんだ。やはりちょっとおかしいんだけど税法がこの考え方をとっているようだね。」

モン吉:「えーっ。どうして税法ではそんなやり方をするんですか。」

講 師:「税法のことはよくわからないけど、期末の売価をドーンと値上・値下する(と言い張って)期末評価額を意図的にいじることを防ぐネライもあるかもしれないね。」

モン吉:「いずれにせよここまではやらなくていいですね。」

講 師:「平成18年の第二問問2が実は値下前の金額を使っているんだ。」

モン吉:「えっ。そうなんですか。」

講 師:「値下前の金額を正常売価、値下後の金額を実勢売価といってるようだね。」

モン吉:「正常売価とか、実勢売価といわれただけでアウトです。」

講 師:「正常売価がむかしの定価とか通常販売価額、実勢売価が実際の店頭価額って感じかな。」

モン吉:「問題での対処はできない自信があります。」

講 師:「そんな自信は持たれても困るな。」

モン吉:「でも全く知らない言葉がでてきたら問題は解けません!!」

講 師:「いや、平成18年の出題はきちんと使用する金額の指示もあるから問題をよく読めばそんなことはなかったんだ。」

モン吉:「でも、面くらいます。」

講 師:「それはそうだね。でもどんなときでもあきらめたらダメだよ。」

モン吉:「えーっと。がんばってみることにします。」

講 師:「さっきのちょっとおかしいという点も含めて出題のポイントにそのことの指摘もあるんでぜひ読んでおいて欲しいな。」


モン吉くんと学ぶ売価還元法・応用編(7)


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