財務諸表論 超短答問題２５（損益取引の意義）

（問題）損益取引とは何か。

（解答）

解答は一番下です。


（コメント）

損益取引とは、自己資本（株主資本）の利用による間接的増減取引です。

最終的な純利益が変動する取引です。

典型的には、商品の仕入取引、売上取引等が該当します。

資本取引と損益取引の区分を考えるときは、資本取引の範囲を確定させ、それ以外の取引をどのように会計処理をすべきかを考えるべきかもしれません（資本取引とそれ以外の取引を区別するという意味です。）。

建物の取得取引も建物の取得原価が減価償却費を通じて損益計算に含まれるのですから損益取引（資本取引以外の損益計算に影響する取引）というべきでしょう。

損益取引により生じた剰余金が利益剰余金です。

利益配当は、この利益剰余金の減少を伴いますが、株主との直接的取引であるため、資本取引に該当します。

なお、このような意味での損益取引の定義等が試験で問われる可能性は極めて低いといえます。

（会計基準等）
・企業会計原則　一般原則三


（関連note）
・誰でもわかる資本と利益


（財務会計講義＜第25版＞）
・資本と利益の区別の原則：63頁
・剰余金区別の原則：253頁


（つながる会計理論＜第２版＞）
・2-4　資本と利益区別の原則：14頁
・Ch2問題１−３：（空欄補充）：17頁
・Ch2問題２−３：（正誤）：17頁
・Ch2問題２−６：（損益取引とは？）19頁


（解答）

自己資本（株主資本）の利用による間接的増減取引

Comments

[1. やまだ]

答練みたいな難しい問題は無理に時間をかけて答えを合わせたりするよりは、解ける問題を繰り返す方が良いと言うことですね。

[2. 講師]

そうですね。
基礎的な問題の精度をあげておく。
実際の本試験ではそれで対処できる項目を解く。
そのための予行演習が答練という感じではないかと思います。

[3. やまだ]

実は簿記2級では答練復習が効果的だったので、簿記論でもやりましたが、2級と違いとても答えを合わせきれる問題ではなく時間の無駄をしてしまいました。答練前までに基礎固めをしないとしんどいなということがわかりました。

[4. 講師]

量と何位度の問題なのかもしれませんね。
答練までに基礎を固めて、答練では、やる箇所とやらない箇所の判断の練習をするという感じかもしれません。
その方向性でぜひがんばってください！！

[5. komako]

先生、こんにちは！

お時間のある時に教えていただけるとありがたいです。

損益取引によって獲得された利益が、純資産を間接的に増加させる、という考え方で合っているでしょうか？

はっきりと理解ができていない感じです。

[6. 暮木孝司]

komakoさん、こんにちは。

おっしゃる感じで結構かと思います。

ちょっと解答の表現に株主目線が入ってるかもしれないですね。
株主から直接資金を受け入れた取引と株主から直接受け入れるのではなく、企業自身が増やして、それが結局は株主の持分（株主資本）を増やす。
そんなイメージかもしれません。

[7. komako]

ありがとうございます。

なるほど、株主の立場で考えるとそうなりますね。よく分かりました。

株主資本、純利益、包括利益、純資産の関係をはっきりと定着させないといけないですね。分かったような気になるのですが、なかなか苦労しています。

[8. 暮木孝司]

どういたしまして。

純資産関連は、実態がないだけにそれぞれのイメージをしっかり膨らませたいですね。
見えない分、一方向からだけをグリグリにやってもわかりにくいかもしれません。
気長に角度を変えてアプローチできるといいかもしれないですね。

計算と理論、剰余金区別の原則・純資産の部分の理論・貸借対照表の表示といった異なる箇所で学習すると思いますので、そのときにズームインって感じがいいかもしれません。
ご参考まで。

[9. shuntokumaru]

夜分遅くスミマセン。
若しくは、おはようございます。

増資(資本取引)の際の株式交付費の支払いが、損益取引となることについて、自分の中で旨く説明がつきません。
営業活動で儲ける為に利用する資金を調達するのに掛かったお金だから、みたいな解釈でいいのでしょうか？

[10. 暮木孝司]

shuntokumaruさん、こんばんは。

国内基準では、資本取引を株主間取引と考えています。
株式交付費は株主間取引ではないので資本取引ではないというのが大きいでしょうか。
その他にはおっしゃるような財務コストの面がある点と株式交付費を安くあげるなんてことも損益に反映した方がいいという理由が「繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い」３（１）にはあるようです。

海外基準は、直接控除（資本取引）です。
株式交付費は当然かかるのだらかそれを引いた純額を調達したって考えも成り立ちそうですね。
ホントに考え方の違いなのかもしれません。

[11. shuntokumaru]

有難うございます。

まずは資本取引をガッチリ定義付けてから、判断するのですね。
しかし、海外では資本取引とは初耳でした。
勉強になりました。