財務諸表論 超短答問題９７（税効果会計の方法）

（問題）税効果会計の方法を２つあげよ（税効果会計基準のとる方法を先にあげること）。

（解答）

解答は一番下です。


（コメント）

税効果会計の方法には、資産負債法と繰延法があります。

資産負債法は、企業会計上の資産負債と課税所得計算上の資産負債の差異（一時差異）に着目した方法です。

適用される税率は差異の解消時の税率であり、税率の変更時には新しい税率により繰延税金資産・繰延税金負債を再計算します。

繰延法は、企業会計上の費用・収益と税務会計の損金・益金の差異（期間差異）に着目した方法です。

適用される税率は差異の発生時の税率であり、税率の変更時にも繰延税金資産・繰延税金負債の再計算はしません。

税効果会計に係る会計基準では、資産負債法を採用していることもあわせて確認しておきましょう。

（会計基準）
・意見書三


（財務会計講義＜第25版＞）
・繰延税金資産と繰延税金負債：226頁


（つながる会計理論＜第２版＞）
・14-3　資産負債法と繰延法：139頁
・Ch14問題１−２（空欄補充）：141頁
・Ch14問題２−２（正誤）：141頁
・Ch14問題３−６（短答）：143頁
・Ch14問題４−２（総合）：143頁

（１）資産負債法
（２）繰延法

Comments

[1. 福ふぐ]

先生、初めまして、こんばんは。

財表を勉強しています。
抽象的な質問で申し訳ないのですが、
税効果会計の方法って、
何の方法を指しているんですか？

法人税等調整額ですか？
繰延税金資産・負債の計上額ですか？
この両方のことで「適用方法」みたいなことなんですか？

下らないことに引っかかってないでって思うのですが…

[2. 福ふぐ]

先生、こんばんは。

解決しました。
「法人税の額を適切に期間配分する」方法ですね

基準読んでて気づきました
やっぱり基準の読み込みですね

[3. 暮木孝司]

福ふぐさん、こんばんは。
よろしくお願いします。

資産負債法と繰延法では、資産負債の違いに注目するか（資産負債法）、収益費用と益金損金の違いに注目するか（繰延法）という考え方の違いがありますね。
この考え方の違いから、具体的な差異の捉え方なんかも違ってくるかと思います。
そんな流れでおさえられるといいなあと思います。

[4. たっくん]

先生こんばんは。


いま簿記1級の勉強をしている大学生です。

連結決算について質問です。
子会社を80％で取得したときを前提としたとき、子会社は利益を親会社と少数株主に配当します。
それに対する修正仕訳は、



少数株主持分××／配当金××
受取配当金○○／配当金○○

[5. yuu]

先生、以前勉強方法を質問させて頂いたものです。（シングルマザーで、今年財表と簿記論を受験予定のものになります。）

税効果会計ですが、なぜ基準は資産負債法を採用しているのでしょうか。

以前ご説明になっていらっしゃったら、すみません。
ネットで検索をしてもなかなか出てこず、もしよかったら、お教えください。

[6. 暮木孝司]

yuuさん、こんばんは。

世界が資産負債法に流れたというのが一番大きな理由な気がしますが、教科書的には、将来の法人税等に対する影響額を示すためといった辺りなんでしょうか。

基準自体を読んでいると法人税等を配分して、税引前当期純利益との対応をはかるのが目的といっていて、単純なアプローチ（資産負債アプローチＶＳ収益費用アプローチ）で割り切れなさそうなところが微妙ではありますが。

[7. yuu]

先生、お返事をありがとうございました。また、こちらからの返事が遅れてしまいまして、申し訳ありません。

税効果会計の会計処理の方法２つ、資産負債法と繰延法、目的はそれぞれ、教科書的には、将来の法人税等の支払額の影響を示すこと、法人税等と税引き前当期純利益とを期間的に対応させることとあります。

基準では、期間的な対応をメインに書いているようですが、資産負債法を採用していて、その目的は教科書では将来の支払額の影響を示すとあります・・。

目的観について混乱してきています・・。

資産負債法の採用理由は、これに関連して、資産除去債務の両建処理と引当金処理のように、包摂するから、といったかんじで採用しているのかと思いました・・。それか、一時差異（資産負債法）であって期間差異でないものはないからか、など・・。

目的のところと、その大きな流れと、自分の考えていたことは、まったく関係ないものでしょうか・・。自分で言っていても、ごちゃごちゃとしてしまっていて、要領を得ずに、申し訳なく思っております。

目的は、2つあって、その目的と採用理由は連動しないでしょうか。

[8. 暮木孝司]

どういたしまして。

色んな手続きでも、ある目的観があったとして、会計基準等のすべてがその目的観にかなうわけではないと考えるといかがでしょうか。

つまり足して２で割ったとかって話ですね。
会計基準は、現実的なルールですから、妥協の産物でもあります。
一つの目的なり、観点ですべてのルールが説明できるわけではないってことかもしれないですね。

資産負債を重視する考え方を取り込んではいるけれども、できるだけ収益費用を重視した考え方にとどめたい。
そんなスタンスが基準の多くにあると考えるといいかもしれないですね。