(問題)真実性の原則にいう真実が相対的真実である理由を2つ示しなさい。

(解答)
解答は一番下です。


(コメント)
真実性の原則は、真実な報告を求めますが、唯一の絶対的な真実ではなく、「相対的真実」といわれます。

相対的真実にならざるを得ない理由としては、次の2つを指摘できます。


(1)複数の処理の容認

今日の企業会計では、ひとつの事実に対して複数の会計処理が認められていることが少なくありません。

有形固定資産の減価償却方法(定額法、定率法等)、棚卸資産の払出単価の決定方法(先入先出法、平均法等)など多くの局面で複数の処理が顔を出します。

処理が複数あり、その中からの選択が許容されている以上、最終的な利益数値もその選択に依存します。

処理が複数あったら真実も1個じゃないってことですね。


(2)見積りの介入

減価償却費の計算要素には、取得原価、耐用年数、残存価額があります。

このうち取得原価は、基本的には、第三者との過去の取引金額を基礎にしているので、見積の要素は入りません。

しかし、いつまで使えるのか?(耐用年数) またその時点でいくらで売却が可能なのか?(残存価額)については、あくまでも将来の予想に過ぎません。

全く同じ状況が考えられたとしてもその見積りに誤差がある方がむしろ自然でしょう。

このように企業会計では会計処理にあたって将来の予測(見積り)に依存することが少なくありません。

将来の予想を含む以上、会計数値も絶対的なものではありえないのです。




(会計基準等)
・企業会計原則 一般原則一


財務会計講義<第25版>
・真実性の原則:61頁


(関連問題)
問題20(真実性の原則における真実)


つながる会計理論<第2版>
・2-2 真実性の原則
・Ch2問題3−2(相対的真実性とならざるを得ない理由)


(解答)
(1)複数の会計処理が認められているため
(2)会計処理にあたって見積もりが介入するため