(問題)動態論のもとで重視されている利害関係者は誰か。

(解答)
解答は一番下です。


(コメント)
かつて企業をとりまく利害関係者のうち債権者が重視される時代は長く続きました。

しかし、証券市場の発達を受け、企業の資金調達が直接金融(借入金)から間接金融(株・社債)に移るとともに利害関係者の中心も投資者にシフトします。

そんな中で登場した会計観が動態論(動的貸借対照表論)です。

動態論では、収益力を把握するための損益計算が重視されます。

動態論の下で、貸借対照表を一定時点の売却価値のある財産の一覧表とみるのではなく、損益計算を行った後の未解決項目を収容する一覧表とみます。

貸借対照表を企業の清算価値を前提とした静的な状態を前提とするのではなく、あくまで動く企業の一断面をとらえたものとみるのです。

企業は有する財産を売却して債務を返済しなくても、本業でもうけていれば借金も返せます。

利害関係者の関心も所有財産を売却してどれだけ債務が返済できるかではなく、どれだけ儲けて債務が返済できるかに移っていきます。

収益力、もうける力をきちんと表示することが動態論の課題です。

もっとも静態論的な考え方が全くなくなった訳ではありませんが、企業活動のネライは、利益の獲得にあり、どれだけの利益を獲得したかをきちんと示すことに動態論のネライがあります。



財務会計講義<第24版>
・なし


つながる会計理論<第2版>
・3-2 静態論と動態論


(関連問題)
問題7(金商法会計の中心的利害関係者)
問題11(金融商品取引会計の主要機能)


(解答)
投資者(家)